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【レビュー】『ターザン:Reborn』はある意味王道だが、物足りない点も…

公開から約1週間が経過した『ターザン:Reborn』。 ようやく鑑賞の時間を持てたわけだが、全体的な感想としては「どこか物足りない」というものだった。

アレクサンダー・スカルスガルドの肉体美と映像美は確かに素晴らしい!けれど…

 

今作で主演をつとめたターザン約のアレクサンダー・スカルスガルド。 彼の甘いマスクとその鋼の肉体が躍動する様は確かに観る者を圧倒する。 そして、完全CGで再現された動物達のリアルな姿と、ジャングルの美しい景色が織りなす映像美はつい見入ってしまうほどだ。

ただ、ただしだ。 今作では、ある意味「ターザン」になじみの薄い人々には難しい作品かもしれない、というのが正直な思いだった。

観る前に知っておきたい?エドガー・ライス・バロウズの「ターザン」について

ターザンと聞くとあのディズニーの名作を思い浮かべる人も多いだろうが、実際には19世紀末に出版されたエドガー・ライス・バロウズの「ターザン」がその発端となっている。

ジャングルに置き去りにされ、両親が亡くなってしまった少年、ジョン・クレイトン。 ゴリラに育てられジャングルという故郷を持ちながらも、その後自身の母国である英国へと渡り、貴族としての人生を歩む彼。 筋骨たくましく卓越した身体能力と明晰な頭脳をもちつつ、内面ではそのどちらにも馴染めずにいるという葛藤を抱えているというのが彼の姿だ。

 

今作ではそんなターザンの内面性を語る描写が随所に見られた。 そういう意味では、『ターザン:Reborn』はある種原作に忠実な王道、と言えなくもない。 圧巻のアクションと映像美、そしてターザンの人間性に迫るヒューマンドラマと様々な魅力を持つ今作だが、全体的にやや中途半端なまとまり方に終始してしまった気がする。

数々の広告が裏目に出ている?

ターザン
http://screenrant.com/legend-tarzan-movie-2016-clips/

正直なところ、ここまでガッカリするほど作品の出来は悪くなかったはずだ。 映像やアクションや人間模様といった多彩な要素を、非常にバランス良く盛り込んで演出していたと思う。

にもかかわらずこれほど残念な思いを抱いてしまった要因の1つには、テレビやSNSで流れ続けていた広告映像があるのではないだろうか。 Facebookの広告では特に、ジャングルを縦横無尽に飛び回るターザンの映像と迫力の高速アクション!という謳い文句を常に目にしていた。 そんな宣伝文句に釣られて劇場へと足を運んだ人にとっては、ちょっとした「肩すかし」を感じてしまわないだろうか。

本当はもっともっとターザンの内面性にフォーカスを当てた宣伝もあって良かったはずだ。 むしろこの今作は、100年以上の歴史を持つターザンの葛藤と成長の物語を、最新の映像技術で進化させた大人のSF作品としてピックアップして欲しかったと感じずにはいられない。

追記
文中にて原作者に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。

誤:ウィリアム・バロウズ
正:エドガー・ライス・バロウズ

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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