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『TENET テネット』タイトルロゴ、なぜ変更されたのか ─ 自転車用品メーカーと偶然の一致、ノーラン監督からメッセージ

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クリストファー・ノーラン監督の最新作TENET テネットのタイトルロゴが変更された。当初、本作のタイトルロゴは2つめの「E」「T」が反転しており、回転させても同じデザインとなるロゴだったが、2020年5月22日に公開された予告編では、この反転がなくなっている。

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もともと、『TENET テネット』のタイトルロゴと予告編が公開された2019年12月20日の時点で、ロゴにまつわる問題は浮上していた。2018年6月に創業された自転車用品メーカー、米Tenet Componentsのロゴとデザインが酷似していたのだ。同社はすぐさま、Instagramを通じて“弊社とクリストファー・ノーラン監督の映画は無関係”との声明を発表。一番の懸念は、同社の存在を知らなかった観客が「映画のロゴを盗用している」と誤解することだと記した。『TENET テネット』が発表される前から使用されていたロゴであるにもかかわらず、逆にバッシングを受ける可能性は十分にありうる。それほどよく似ているのだ。

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この“ロゴかぶり”問題については、すぐに米国の自転車専門メディアPinkbikeが取材している。Tenet Componentsの経営者であるタイラー・デスチャイン氏は、「Tenet」という社名は2017年から検討されていたもので、「信念」「信条」という意味が自社にぴったりだと考えたそう。「ただの偶然ということもあるけれど、私たちには大きなダメージになりうる」として、法律の専門家に相談したとも明かしている。しかしながら法的には、商標は業界内でのみ守られるもので、映画のロゴを変更するよう求めるのは難しいとのこと。逆に、専門家からは「追及すると先制訴訟を受ける可能性もある」とアドバイスされたという。結果的にリスクが大きすぎるためにこれは断念し、ロゴをめぐる誤解や、会社へのデメリットを避けられるよう、事実を広めてもらえるよう求めるにとどまった。

しかしこのたび、Tenet社のウェブサイトでは、ワーナー・ブラザースを通じてクリストファー・ノーラン監督からメッセージを受け取っていたことが発表されている。ノーランによる手紙には、ワーナーからTenet社のロゴを見せてもらったこと、「きちんと連絡を取り、私たちのロゴがあなたのものを参照したものでないことをお伝えしたかった」ことが記されていた。

「(映画のロゴは)私自身がデザインしたものです。これまでの6年間、私の物語やテーマの中心にあった言葉の対称性に惹かれて、作り上げてきました。ユニークなものを作れたと思っていましたが、あなたも同じクリエイティブな衝動に駆られていたのですね。私は、起こるはずのない偶然も起こりうるものだと考えています。そしてあなたが、我々の映画のタイトルにインスパイアされたのだと思われたくないことも深く理解しています。誤解をなくせるよう、どうぞ遠慮なく、私の言葉を引用してください。私は自分の作ったロゴが大好きですから、これが強制的なものだと思われないことを願っています。あなたのロゴが先であったと思われる以上、もしも望まれるなら、私はロゴの使用を中止することもできます。」

サイト上には、これに対するタイラー氏の返答も掲載されている。そこには、監督からの連絡に深く感謝するとともに、「双方が同意できる解決方法を見出せれば幸いです」と記されているのだ。タイラー氏の提案は、どちらも現状のロゴを使用しながら、映画とメーカーが混同されるリスクを下げること。「映画のロゴのフォントやスタイルを変更し、明らかに別物だとわかるようにするのはどうか」「ワーナーとノーランから、Tenet社とは無関係であることを報道向けに発表するのはどうか」という2つの内容が提示されている。もっともワーナー側はこれには応じず、ロゴの変更をもって対応したというわけだ。タイラー氏は今回、「両者が共存できることを願いましたが、現実には叶いませんでした」と記している。

Sources: Tenet Components, Pinkbike

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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