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『TENET テネット』キャット役エリザベス・デビッキ、最初はキャスト候補ですらなかった

TENET テネット
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クリストファー・ノーラン監督作『TENET テネット』で主要人物のひとり、キャットを演じているのは、『コードネーム U.N.C.L.E.』(2015)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』(2017)のエリザベス・デビッキ。近年ハリウッドでの存在感を著しく高めている女優だが、本作をもってスターダムの階段をもうひとつ上がったといえるだろう。

もっともノーランは当初、キャットという役柄にエリザベスの起用をまったく考えていなかったそう。ケネス・ブラナー演じるセイターの妻という設定ゆえ、はじめは年齢がもっと上の、「いわゆる英国美女、とてもイギリス人らしい」女優を検討していたのである。米Varietyにてノーラン自身が明かした。

キャスティングの方針が覆ったのは、妻でプロデューサーのエマ・トーマスによる一言がきっかけだった。エリザベスの代表作『ロスト・マネー 偽りの報酬』(2018)を観たノーランは、エリザベスがアメリカ人だと勘違いしていたのだが、これをエマが訂正したのである(実際にはポーランド人の父親とアイルランド系オーストラリア人の母親の間に生まれた)。その後、ノーランは『ロスト・マネー』や『華麗なるギャツビー』(2013)、ドラマ「ナイト・マネジャー」(2016)を見返して演技の幅広さに驚いたという。見た目や話し方を自在に操る技術ゆえ、「同一人物とも思わなかった」そうだ。

エリザベス自身は『TENET テネット』の出演はオーディションで決まったものと強調しているが、ノーランは「彼女に特に求めることはありませんでした」と述べている。

「あるレベルに達した俳優に対して、監督として何かを求める必要はありません。だけど彼女が(テストを)やりたがったんです。僕が求めていることを自分がやれるかどうか、彼女が知ることが大切だったのだと思います。実際に彼女が演じたら、誰もが驚きましたよ。僕の想像通りにやってくれるどころか、期待をはるかに超えてくれたから。」

キャットという人物を、脚本家・監督として、ノーランは「とても難しい役」だと形容する。「(物語上)キャットはとても脆くなければいけないし、うまく利用されていなければいけません。けれど、同時に強さと深みも必要な役です。非現実的にしたり、物語を単純化したりせず演じるのは至難の業。だけど彼女は、弱さと強さを同時に演じてくれました。とても人間らしく、非常にリアルな人物として」。

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)より全国公開中。

Source: Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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