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【インタビュー】『TENET テネット』ロバート・パティンソンがすすめる楽しみ方 ─ 「湧き上がる思いに身を任せて」

TENET テネット
© 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

2020年9月18日(金)、クリストファー・ノーラン監督の最新作TENET テネットが待望の日本公開を迎えた。本作で主人公の相棒ニールを演じるのが、ハリウッドで今もっとも注目される俳優のひとり、ロバート・パティンソンだ。端正なルックスとミステリアスな雰囲気、それでいて骨太な人物像を的確に体現する演技術は、本作でもいかんなく発揮されている。

公開に先がけ、THE RIVERはパティンソンへの単独インタビューの機会に恵まれた。ノーラン作品の魅力や撮影秘話はもちろん、『トワイライト』シリーズからインディペンデント映画への移行、そして『ザ・バットマン』へと続く大作回帰の心境まで、本人がじっくり語ってくれている。

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(C) 2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

ロバート・パティンソンが語る『TENET テネット』の楽しみ方

── 脚本を初めて読んだ際、1時間かからずに読み終えてしまったとお聞きしました。まずは、どのような点に惹かれたのでしょうか?

野心的なところだったと思います。『TENET テネット』以上の意欲作はないでしょう。エマ(・トーマス/プロデューサー)とクリス(クリストファー・ノーラン)、それからあと2人ほどを除いて、まだ誰も読んでいない時点で読んだんだけれど、どんな物語なのかを知る者が誰もいない中、他に類を見ないほど大規模で、世界全体やその現実すべてを網羅している叙事的な物語なのだと気づいた。「そうか、ここまでデカいことをやろうとしているんだ」と思いましたね(笑)。ここまで規模の大きな夢に参加できるのは、胸が躍ることです。

── 〈時間の逆行〉というテーマ、ノーラン作品の傾向から、難しい話ではないかと予想している観客もいると思います。事前にアドバイスはありますか?

うーん、どうだろう。そう思っている人は多いと思うけれど、劇中には、クレマンス・ポエジー(ローラ役)が「理解しようとするのではなく、感じて」と言うセリフがあります。僕自身は長い時間をかけて分析し、物理学の複雑さを理解しようとしたけれど、それは不可能に近いと思う。逆行する世界を生きているという演技をする者でさえ、理解するのは至難の業(笑)。だけど、必死に理解しようとしたり、あるいは逆らったりしなくても、どこか不思議な感覚を覚えるもの。それはクリスの見せ方のおかげで、アクションシーンなどを撮影現場で見ていてもそういう感覚がありました。特に初めて観るときは、分析しようと思わず、湧き上がる思いに身を任せるべきだと思います。

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── とても多面的なキャラクターですが、ニール役を演じるにあたり、あらかじめイメージを細かく固めましたか? 現場の空気や、共演者との化学反応を重視したのでしょうか。

いや、どちらでもなかったですね。最初に脚本を読んだとき、いくつか思うところはあったんです。それで理論物理学者についての本を読んだんですが、一定の理解をするためには、数学の方程式を理解するときに使う、脳の中の、形状や色彩を解釈する部分を騙さないといけないって。そういう話を最初に読んだから、「うわっ、こういう分野で仕事をするのが楽しい人は、きっとかなり変わってるんだろうな」と思いましたね(笑)。

それがきっかけで、ニールは他の人なら考えるのが苦痛なことも楽しめる人物だろうと考えるようになりました。それ以降は、役を解釈する時にそのことを活かしていったんです。ただ、ある即興性があったのも確か。何が起きるか予測できないこともあって、たとえば(ボーイング)747が爆発するにしても、実際に現場に行くまでは想像もつかなかった。そんな状況では、誰もが童心に帰ったように感じますよね。

── 世界各国の撮影に参加されたかと思いますが、特に思い出に残ったのはどちらでしょうか?

エストニアがとても気に入りました。どんな所なのかをまったく知らなかったので、行く前は、いつでも凍えるほど寒いのかなと思ってて。ところがいざ行ってみると、とても美しい中世の都市だった。自分でもどんなことを期待してたのかと思いますよ。何もかもがすべて素晴らしかったので、滞在していたアパートを購入しそうになったほど(笑)。「数ヶ月後にはここに引っ越して、エストニアの市民権を取ろう」なんて思ったけど、まあ、実現しなかったですよね(笑)。

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── 主役のジョン・デイビッド・ワシントンとは初共演とは思えない相性の良さでしたが、「相棒」を演じる上での工夫はされましたか? なにか特別な思い出があったら教えてください。

ジョン・デイビッドと会ったのは、撮影が開始される前、彼を僕の誕生パーティに招いたときだけでした。彼が来てくれたのは夜中の0時近くで、もう僕は完全に酔っ払っていたので、初っ端から関係をぶち壊してしまって(笑)。それでも、最終的には大丈夫だった。ジョン・デイビッドはとても謙虚だし、仕事熱心だし、演技もすばらしいですよね。

えっと、どうやって絆を深めたかな……。リハーサルが7週間くらいあったのはすごく助かりました。絆が深まった大きな理由は、脚本の複雑さだったと思う。僕たち二人とも「一体どうすればいいの?」って思っていたし、ノーランの映画に出演するんだから、絶対に失敗するわけにはいかない。お互いに恐怖心を分かち合ったことが、何よりも絆を深めた理由だったな(笑)。初めのころ、僕は自分の力不足をすごく正直に話していて、ジョン・デイビッドも怖くないふりをするような役者じゃない。いかに怖いかをオープンにしていたから、少なくとも僕の方は、より安心できると感じていました。

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── 『トワイライト』シリーズのあと、しばらくインディペンデント映画を中心に活動されていましたが、本作や『ザ・バットマン』と大作が続きます。なにか心境の変化があったのでしょうか?

いえ、僕はいつも心に衝撃を与えるような作品を求めているんです。だけど、まあ、少しは変化があったのかな。一緒に仕事をする相手や、自分を置く環境を変えていこうとしているんだけれど、それは、そうすることで(慣れない)環境に反応せざるを得ないように自分を仕向けているところがあって。

今回のような大作の仕事は、ある意味で少し違ったタイプの演技になります。だけど別の視点から見ると、違うわけではないとも言える。つまり、観客から期待されるものがあると、ある種のアドレナリンが急上昇して、まるで戦闘準備をするような気分になるんですよ。そういう仕事は、どんな観客が対象なのかが分からない、もしくは観客がいてくれるのかさえ分からないような仕事とは違うもの。だから、ちょっと違った気持ちで臨むわけですが、そういう心境の間を行ったり来たりするのが面白いんですよね。

映画『TENET テネット』は2020年9月18日(金)全国ロードショー

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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