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『TENET テネット』脚本の難しさに名優困惑「クロスワードパズルを解くよう」「今までで一番読み返した」

TENET テネット
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クリストファー・ノーラン監督の最新作『TENET テネット』は、いまだ何もわかっていない作品であり、そして何もわからないうちから“謎だらけ”であることだけがわかっている作品だ。主演のジョン・デヴィッド・ワシントンは、脚本の難解さゆえ、ノーランに毎日のように質問を投げかけていたことで知られている。

『ダンケルク』(2017)に続いての参戦となる名優ケネス・ブラナーも、本作の難しさには苦戦を強いられたようだ。映画監督としても『オリエント急行殺人事件』(2017)をはじめ数多の作品で実力を発揮してきた才能だが、英Total Filmでは「今までに参加してきた中で、脚本を一番読み返した作品」だったと語っているのである。

予告編に登場し、ワシントン演じる主人公とも言葉を交わしているブラナーだが、役どころの詳細は謎のまま。悪役めいた雰囲気も漂わせているが、ブラナーいわく「ワシントンの役に大勢が関わっていて、(敵とも味方とも)どちらにも予想できる。僕も悪役だと思われるかもしれませんが、物語はみなさんが思うようには展開しません」。なんでも、脚本を読むプロセスは「クロスワードパズルを解くようだった」というのだ。

“このキャラクターはこうだろう”という予想を、ノーランは私たちが演じる中で、あるいはシーンの中で、ひっくり返したり、もてあそんだりする。だから自分の役については(ノーランと)しょっちゅう話し合いました。型破りの変化をする役柄だったし、いつもサプライズの連続でしたから。」

先頃、ノーランは本作について「いわゆる“スパイ・ジャンル”を壮大な野心と規模で捉え、新しい領域へと連れていくものになる」と話していた。ブラナーも今回、「ノーランは既存のものを新たに作り直している」と証言。難解な脚本は、きっとそのための道しるべなのだろう。ちなみに“質問魔”だったワシントンは、ノーランが「すごく親切、とても穏やかに、丁寧に答えてくれる」ことを明かしていた。ブラナー相手でもその姿勢は変わらなかったに違いないが、もしや撮影現場では大勢のキャスト&スタッフが彼らと同じ状態だったのではないか……。

Source: Total Film (via IndieWire)

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。