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『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』はどう評価されたのか ─ メディアやジョージ・ルーカスの反応は

スター・ウォーズ/フォースの覚醒
© Walt Disney Studios Motion Pictures 写真:ゼータイメージ

スカイウォーカー・サーガ完結作『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』を控え、新たな3部作の第1作であるスター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015)を振り返る頃合いだ。創造主ジョージ・ルーカスの元を離れ、キャスリーン・ケネディ率いるルーカスフィルムと米ディズニーがJ・J・エイブラムス監督と共に創り上げたスタート作『フォースの覚醒』は、2015年の公開当時、どのような評価で迎えられていたのだろうか。海外メディアやジョージ・ルーカスの意見を振り返っていく。

新たなトリロジーの旅立ち、海外評価は

『フォースの覚醒』は、米レビューサイトRotten Tomatoes上では批評家スコア93%。シリーズ最高評価は『エピソード5/帝国の逆襲』(1983)の95%だが、本作はこれに続く2位の評価ということになり、『エピソード4/新たなる希望』(1978)と同スコアである。なお、『フォースの覚醒』の続編『最後のジェダイ』(2017)は評価が大きく分かれた作品で、批評家スコア91%に対し観客スコアは43%。一方『フォースの覚醒』は観客スコアも86%と、悪くない評価を得ていることが分かる。(本記事公開時点。)

海外メディアのレビューにいくつか目を通すと、『スター・ウォーズ』の新たな旅立ちを好意的に祝福する声が多い印象だ。「『スター・ウォーズ』とは、すなわち不可抗力的な文化現象であり、絶対的な存在。積極的または想像的に作り直すことは拒まれるだろう。それは、この(1作目としての)楽しい初挑戦の妨げになるかもしれない」とは、米Varietyの言う通り。このレビューでは、『フォースの覚醒』には妥協点があると認めながらも「これまでファンと自認しなかった層にも充分届く勢いの愛と配慮」があると評価、「映画史上最も愛されるアンサンブルの世代交代という困った仕事に挑んだ」J・J・エイブラムス監督の仕事を「期待以上」と讃えている。

ベテラン映画批評家のトッド・マッカーシーは米The Hollywood Reporterに「ジョージ・ルーカスによる基礎が残るところに、J・J・エイブラムス監督はスティーブン・スピルバーグに近い感覚の要素を取り入れている」と書き、具体的には「『インディ・ジョーンズ』の域」と表している。「『フォースの覚醒』は、熱心に、そして徹底的に課題をこなす、とても優秀な生徒の作品のよう。何をするべきか、何をしないべきかも心得て、この世界の専門家、つまりはローレンス・カスダン(『帝国の逆襲』『ジェダイの帰還』脚本)に従事できるほどに賢い生徒だ。」

J・J監督への評価は他にも。米Vainity Fairには「J・J・エイブラムスはスター・ウォーズの神話を力強く、かつ自然に拡張するという達人技をやってのけている。」「今作では、失敗しがちなポイントを、ほぼ全てクリアしている」との評が載った。米The Wrapには、「エイブラムスは文字通りにも哲学的にも、新しいアングルでこの題材をとらえている。例えば、白く輝くストーム・トルーパーに血を付けたり、Xウイングの女性パイロットだったり、惑星の破壊をそこの住人目線で描いたり。ジョージ・ルーカスが大昔に贈ったものから大きく離れているわけではないのに、斬新な衝撃がある」とのレビュー。

一方、このレビュー記事では、「『フォースの覚醒』の楽しさの多くは、懐かしい面々の驚きの登場に依っている」といった「ファンサービス」に頼りすぎているという指摘も見落とせない。

過去作の反復?

このように『フォースの覚醒』で指摘されやすいのは、伝説の第1作『新たなる希望』との類似点があまりにも多いのでは、という点だ。これは古参のファンを喜ばせられる一方で、英Entertainment Weeklyが記しているように「デジャヴ感」を思わせる。「懐かしい面々との再会に夢中になってしまって、ストーリーが『新たなる希望』のプロットを真似ている点を忘れてしまいそうになる。でも、このデジャヴ感は否定できない。ファースト・オーダーは、デス・スターよりもデカくて凶悪なものを作っていて、反乱側の戦略は1977年(『新たなる希望』)に使われたものの使い回しだ。」

The Atlanticに言わせれば、『フォースの覚醒』は「色々な面で、続編と言うよりリミックス。見覚えのあるシーンやキャラクター、テーマ、会話の、愛のマッシュアップ」だ。「オリジナルの『スター・ウォーズ』と言えば、何もかもがオリジナルだった。映画製作を、良くも悪くも永遠に変えてしまった。」同記事は、『フォースの覚醒』の要素は、「過去の喜び」の反復に由来しており、「一部の人にとって、それでは不充分かもしれない」と指摘し、「ノスタルジーに囚われている」と憂いている。

「『フォースの覚醒』は今年の最大作。でも、最高作だろうか?」そう切り込む米Esquireは、「今作の成功は、オリジナル作の魔法は再生できると証明している。完全な形ではないにしても」と複雑な思いがある模様。「『フォースの覚醒』は、オリジナル3部作にあった父と息子による力学を取り入れ、上手いこと反転させている。『帝国の逆襲』が親にめちゃくちゃにされる話なら、『フォースの覚醒』は我が子に破滅させられる話だ」と、『フォースの覚醒』の物語における「神話構造」は「プリクエルの反省を活かしている」と評している。その上で、「でも、傑作だろうか?」と本題に入っていく。

「オリジナルのスター・ウォーズには、サイエンス・フィクション、侍映画、西部劇、オペラ、連続ラジオドラマ、レースカー映画、噛み合わないカップルのコメディ、アラビアのロレンス、マペットに第二次世界大戦ドキュメンタリーの影響があった。でも『フォースの覚醒』に見られる影響は、スター・ウォーズだけ。

「言い換えれば、『フォースの覚醒』は、スター・ウォーズで育った人が作ったスター・ウォーズであって、それが最大の弱み。同時に、真の強みでもある。楽しかった子供時代に深く繋いでくれるし、エイブラムスはそういう喜びを搾り取る術を知っている。」

『フォースの覚醒』の懐古主義は、ネガティブな指摘ばかりではない。確かに米Colliderも本作の「成功」と「偉大なオリジナル3部作の威を借りている」事実の両面を指摘しているが、「過去作への愛を振り返って安らぎを与えてくれる」と喜んでいる。「『フォースの覚醒』は全くの新時代と言うよりは架け橋のようなものだが、観客をもう一度遥か彼方の銀河系に導くことが出来ている。もし2作目と3作目が今作の基盤の上 に組み立てられたら、もうこのシリーズから離れられなくなりそう。」

GamesRadarは「『フォースの覚醒』は完璧ではないかもしれない。でも、どんな些細な欠点にも10個は正しい所がある。ヒステリックな程に期待されていた作品だけど、ガッカリする人はいないんじゃないかな」と擁護する。

ComicBookMovieは「シリーズ最高」「新しいファンも年季の入ったベテランのファンも、きっと『フォースの覚醒』が好きになるはず。J・J・エイブラムスは、ファンが望む素晴らしいスター・ウォーズを作ってくれた。彼自身もファンだから、愛がたっぷり詰まっている」と大絶賛だ。映画監督でポップカルチャー界の代表格的存在ケヴィン・スミスも、自身のYouTubeチャンネルで「求めていた続編。めちゃくちゃ楽しくて、由緒正しくて、クレイジー」と口にしている。

それでは、『スター・ウォーズ』生みの親、“創造主”ジョージ・ルーカスはどう受け取っていたのか。

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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