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【インタビュー】エル・ファニングが「THE GREAT」にこめたコメディ、美徳、フェミニズムとは

THE GREAT
Copyright © 2021 MRC II Distribution Company, L.P.

アカデミー賞10ノミネート・ゴールデングローブ賞5ノミネートを果たした映画『女王陛下のお気に入り』(2018)の脚本家トニー・マクナマラがタッグを組んだ宮廷ドラマ、「THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜」が、海外ドラマ専門チャンネル スーパー!ドラマTVにて2021年2月15日より独占日本初放送となる。先日発表された2021年(第78回)ゴールデングローブ賞ノミネートでも、テレビドラマ(ミュージカル/コメディ部門)にて作品賞、女優賞、男優賞の3部門に選出された評判作だ。

主人公エカチェリーナが国外から嫁ぎ、ロシア帝国の黄金時代を築き上げると同時に、女性としてはロシア史上最長在位を記録する女帝となる、その生涯を描く。

皇帝ピョートル大帝との政略結婚など歴史的史実をベースに、エカチェリーナの出生にまつわる架空の物語などを盛り込み、史実とフィクションを絶妙に織り交ぜたブラックなストーリーが見どころだ。

宮廷の陰謀、さらに夫ピョートルの愚行に悩まされながらも、自分の信じた道を突き進む若きエカチェリーナ2世を映画『マレフィセント』シリーズでオーロラ姫を演じた人気女優のエル・ファニングが熱演。夫でロシア皇帝ピョートルを、映画『X-MEN』シリーズや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)などで活躍するニコラス・ホルトが演じる。

この作品の放送を記念して、主演エル・ファニングが日本のファンのためにロングインタビューに登場。実はプロデューサーとしても本作を支えているファニングが、ドラマの魅力やテーマ性、裏話をたっぷり語ってくれた。

THE GREAT
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エル・ファニング「THE GREAT」インタビュー

──あなたはこのドラマで、プロデューサーも務めていらっしゃいますね。「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」のエカチェリーナの物語の、どんなところに惹かれたのでしょうか?

今作では、幸運にもプロデューサーになることができました。こういった大きなシリーズ作品をプロデュースするのは始めてです。脚本のトニー・マクナマラにエカチェリーナ役を打診されたとき、プロデュースの方もやってみてはどうかと尋ねてくださったんです。製作の舞台裏にまわって、(米配信の)Huluへのプレゼンにも参加しました。すごく新鮮で楽しかったです。まるで始めての場所に飛び込んで、今までにない新しい形で自分の能力を発揮する、劇中のエカチェリーナのような気持ちでしたね。だからある意味、撮影当時の私とエカチェリーナには共通点がたくさんあったんです。

エカチェリーナの物語はすごく魅力的で、トニーは彼女の物語を違った形で伝えています。エカチェリーナにはコメディ的な部分も取り入れていて、地に足のついた、共感しやすいキャラクターになっています。歴史もののドラマって、時々ちょっと浮世離れしたような感じがありますからね。でも「THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~」は現代的で、そういうところが気に入っています。

THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜
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──歴史ドラマというより、現代劇風ということでしょうか?

そうですね。歴史に基づいてはいますが、そこまで史実にこだわっていないんです。(史実を)膨らませるような自由さも時々ありました。とは言っても、大部分は当時のリアリティに基づいています。リサーチを重ねていたトニーが、当時実際にあった面白いことを見つけてくるんです。たとえば、妊娠検査として小麦にオシッコをかけるんですって。当時は本当にそんなことをやってたんですよ!ドラマのトーンとも合うから、トニーはそういったエピソードも少し取り入れています。

私達が目指したのは、私達ならではのエカチェリーナを作るんだということです。私達は彼女のことを知らないわけですからね。肖像画や絵はあっても、当時の彼女が見られる記録もないわけです。だから私は、彼女がいかに先駆者的存在だったか、象徴的なフェミニストだったかという要素をしっかりとらえて、それを自分の中に落とし込んで、皆さんが見たことのないような全く新しいキャラクターを作り出そうとしています。楽しかったですし、共感もできました。

THE GREAT
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──このドラマはストーリーやクレイジーなキャラクターたちなど、他の歴史ドラマとは違う面白さがありますね。「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」にも似た女性エンパワメントの要素があると思いますが、見進めるうちに、このドラマは唯一無二だと気づきました。今作が他のドラマと違ってユニークに感じられるのは何故ですか?

きっと、作風のおかげだと思います。トニーが書く世界ってすごく新しくて。時代設定も、華麗なる逃避行って感じ。ゴージャスなセットや衣装もあって、観ていてとても甘美で美しい。それでいて、フェミニストの物語としてきちんと芯がある。エカチェリーナの物語はとても若くて繊細なところから出発して、全10エピソードを通じて、この男社会でどんどん成長していきます。自分の存在と意見を主張していくようになります。TV画面で皆さんに観て頂けることは、とても美しく、楽しいことだと思います。

私達、ずっと笑いっぱなしで。共演者のみなさん、すごく素敵なんです。とても仲良しになりましし、映像からも仲良しぶりが伝わってくるかも。登場人物はみんなキャラが立っていて、それぞれにストーリーがあって具体的。きっと皆さんも大好きになると思います。ドラマでは、そういうところが現れているはずです。

THE GREAT 〜エカチェリーナの時々真実の物語〜
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──ご自分のアイデアがドラマに活かされているところはありますか?

いろいろあります。トニーは書いたものに厳しいんです。アドリブとか、台詞をアレンジするみたいなことは許されませんでした。そういう点では、脚本をしっかり遵守しています。でもトニーにも不得手はありまして。彼は若い女の子じゃないんです。そこはお互い協力しあいました。トニーに色々聞かれて、自分の意見をエカチェリーナに取り入れているんです。エカチェリーナは美しくて、自信家なところもありながら、若干傲慢なんですよね。私は彼女のそんなところが好きだし、演じていて楽しい。トニーとは、そういう演技のバランスを話していました。

特にピョートル役ニコラス・ホルトとの共演では、2人の関係性を重視して、別々の次元にいるように見せないようにしています。すごく複雑な関係性を描きたくて。ニック(ニコラス・ホルト)とは、一緒にトニーとたくさん話しに行きました。トニーは、6〜8ページほどある素晴らしいシーンを書いてくれて、覚えきれないほどでしたけど、お互いに楽しみましたね。ニックのようなスパーリングパートナーがいるのは楽しいですし、このドラマにはそういうものが欲しかったんです。

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──今作ではセックスが重要で、セックスシーン次第で作風が変わってくるものだったと思います。難しかったことはありますか?

現実のエカチェリーナの人生でも、セックスは重要だったでしょう。彼女は性的に自由で、恋人が何人もいました。そういう点では、彼女の自由ぶりは当時にしては進んでいたと思います。もちそん、そういったところもドラマに取り入れようとしています。他にも淫らな要素はあります。特にニックが演じるピョートルのキャラクターですね。今作ではintimacy coordinator※ともご一緒しました。とても助けになりましたし、私も今までそういった方とご一緒したことはありませんでした。彼女はその場面で振り付けをしてくださって、誰もが快適にいられるようにしてくださったので、とても安心できる環境でした。そのおかげで、恥ずかしいこともできたし、してもいいんだという気持ちになれました。私にはニックもいましたし、愛人レフ役のセバスチャン(セバスチャン・デ・ソウザ)もいたので恵まれていました。このふたつのシナリオでは、エカチェリーナにとってのセックスは全くの別物。ピョートルとのセックスは、基本的に拒絶的で、ロマンスなんてあったもんじゃない。でもレフとのセックスは、彼のキャラクターがとても愛があるから、美しいシーンにしたかった。だからコーディネーターの方と、そういった二面性を演出しました。お互いにとても安心してできましたし、恥ずかしがっている場合でもなかった。それが一番ですね。

※intimacy coordinator:役者がセックスシーン、ベッドシーンの撮影に安心して取り組めるよう、現場に参加する専門家・コーディネーターのこと。

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THE RIVER編集部THE RIVER

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