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問題作『ザ・ハント』はソーシャルメディアの危険性を暴く ─ 製作ジェイソン・ブラム、作品の真髄を語る

ザ・ハント
(C) 2020 UNIVERSAL STUDIOS All Rights Reserved.

過激な内容や残酷描写からトランプ大統領を巻き込んで物議を醸し、一時は劇場公開が見送られたサバイバル・アクション『ザ・ハント』が2020年10月30日(金)に公開を迎えた。プロデュースを務めたのは、『ゲット・アウト』や『パージ』シリーズで知られるホラー/スリラーの旗手ジェイソン・ブラムだ。

このたびTHE RIVERでは、問題作『ザ・ハント』の真髄に迫るジェイソン・ブラムのインタビューを入手した。観る前にも、観た後にもじっくりと噛みしめられるコメントの数々をどうぞ。

ザ・ハント
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『ザ・ハント』ジェイソン・ブラム インタビュー

──作品について

『ザ・ハント』は第一印象というものがどれだけ間違って受け取られているかということを描いた、驚くべき物語です。かなり政治的な内容だし、僕自身も非常に政治的な人間だけれど、特定のグループを支持する作品ではありません。僕も含めて、すべての人間は安易な判断を下しがちなんだ、ということを描いている。これこそ、この映画で僕が好きな部分のひとつです。

それから、すごくパワフルな女性ふたりが物語の中心に据えられているところも気に入っています。ふたりは作品の軸になっているし、そろそろ女性ふたりが主役になる作品が登場してもいい頃だろうと思っていたんです。

ザ・ハント
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──ソーシャルメディアの描かれ方、その役割

『ザ・ハント』ではソーシャルメディアが重要な役割を担っています。この作品は第一印象や、誤解を招く印象についての物語だから。ソーシャルメディアにおける大きな問題のひとつは、断片的な情報をもとに人々が理性を失い、怒ってしまうところだと思う。それが誤解を招き、お互いに対する誤った認識につながっていくんです。『ザ・ハント』にはいろんな要素があるけれど、これが物語の中心となるポイントのひとつですね。

──キャストについて

「ごく普通のアメリカ人」を演じるすばらしいキャストがそろいました。エマ・ロバーツ、アイク・バリンホルツ、イーサン・サプリー、それから僕の大好きなテレビドラマ「THIS IS US」(2016-)のジャスティン・ハートリー。この4人が、映画のカギとなる「ごく普通のアメリカ人」です。そして、この全員にそれぞれ異なるサプライズが隠されています。

4人とも人あたりがよく、役者としてすばらしい才能の持ち主。全員、この脚本には僕と同じ反応を示しました。すばらしいエンターテインメント性を保ちながら、しっかりとしたメッセージを持つ映画にはなかなか出会えない。プロデューサーであれ、俳優であれ、監督であれ、そういった映画に出会ったらすぐに飛びつくものです。『ザ・ハント』は、まさにそういう映画だった。

ザ・ハント
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──作品のメッセージについて

本作は、どちらかの主張に偏るような物語にはしていません。むしろ、なぜ対立が生まれるのかを探りたいと思っていたんです。そのことが、この映画を特別な存在にしているんだと思いますね。また、もうひとつ大切なことがあって、それは、直感的に判断する“スナップ・ジャッジメント”。僕たちはソーシャルメディアによって、即座に他人への判断を下す癖がついているけど、その根拠はわずかな情報だけ。社会にとってはあまりよくないことだと思う。それが彼ら(監督のクレイグ・ゾベル、脚本家のニック・キューズ&デイモン・リンデロフ)と僕が掘り下げたかったことです。

だけど、それ以上に重要なことがある。『ゲット・アウト』や『パージ』(2013)と同じで、今説明したようなテーマだけを追求することはしないように気をつけた。誰もそんな作品は観てくれないから。映画というものはエキサイティングであるべきだし、感情に訴えること、オリジナル性を持つことが、作品自体の内容と同じくらい重要。『ザ・ハント』はそのすべてを兼ね備えている、最高に盛り上がる映画です。

ザ・ハント
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『ザ・ハント』

広大な森の中で目覚めた12人の男女。ここがどこなのか、どうやって来たのかも分からない。あるのは、巨大な木箱に収められた一匹の豚と数々の武器……。そこに突如、何者かによる銃声が鳴り響く。彼らは武器を取り、逃げまどいながら、やがて気づくのだった。ネットにはびこる「人間狩り計画」、セレブが娯楽目的で一般市民を狩るという“マナーゲート”が実在することを。しかし、“獲物”のひとりであるクリスタルが反撃に出たことから計画は狂い始め、やがて陰謀のすべてが明らかになっていく。

ザ・ハント
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出演者には、狩られる側として恐怖に突き落とされる”庶民階級”の女性クリスタル役に「GLOW: ゴージャス・レディ・オブ・レスリング」(2017-)のベティ・ギルピン。“上流階級”のアシーナ役を『ミリオンダラー・ベイビー』(2004)などのヒラリー・スワンクが演じるほか、ジュリア・ロバーツの姪であり、「アメリカン・ホラー・ストーリー」などに出演するエマ・ロバーツらが登場する。脚本・製作にはドラマ版「ウォッチメン」(2019)のデイモン・リンデロフ。監督は『コンプライアンス 服従の心理』(2012)『死の谷間』(2015)のクレイグ・ゾベルが務めた。

現代のアメリカを二極化する“上流階級VS庶民階級”の分断、ネットに蔓延する陰謀論から着想されたという本作は、SNSでのヘイト発言などを“人間狩り”に置き換えて過激に風刺。米国での銃乱射事件もきっかけとなり、ドナルド・トランプ大統領が間接的に本作を批判するなど物議を醸し、ユニバーサル・ピクチャーズは公開を一度撤回していた。

映画『ザ・ハント』は2020年10月30日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開中

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THE RIVER編集部THE RIVER

THE RIVER編集部スタッフが選りすぐりの情報をお届けします。お問い合わせは info@theriver.jp まで。

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