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リドリー・スコット監督『最後の決闘裁判』は『羅生門』風ミステリー、ヴェネチア国際映画祭で議論白熱 ─ マット・デイモン&ベン・アフレック出演・脚本

最後の決闘裁判
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

リドリー・スコット監督、マット・デイモンアダム・ドライバーベン・アフレック共演『最後の決闘裁判』が、2021年9月10日(現地時間)、第78回ヴェネチア国際映画祭にてワールドプレミア上映を迎えた。

会場にはマット・デイモンとベン・アフレック、『フリー・ガイ』(2021)の好演も記憶に新しいジョディ・カマー、そしてリドリー・スコット監督と脚本家のニコール・ホロフセナーが水上バスで登場。大きな歓声が沸き起こり、一同はファンの声援に応え、サインや写真撮影にも笑顔で応じた。

最後の決闘裁判
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『羅生門』風ミステリー、その現代的テーマ

本作は、いまだ真相不明として歴史に残る“フランス最後の決闘裁判”を描いた実話ミステリー。事件を告発した被害者の女性マルグリット(ジョディ・カマー)、被害者マルグリットの夫カルージュ(マット・デイモン)、訴えられた容疑者ル・グリ(アダム・ドライバー)という3人の視点から描かれるという、黒澤明監督『羅生門』(1950)を思わせる三幕構成だ。

事前に行われた記者会見では、デイモンが「(原作を)読んですぐ、リドリー・スコットのことが頭に浮かんだ。リドリー以外にこの時代をうまく表現できる監督はいないんじゃないかと思った」と語った。また、リドリーは「マットは取り憑かれたように『羅生門』の話をしていた。ひとつの行為が3つの視点で語られる、そこに私も惹きつけられた」という。

本作ではデイモンとアフレックが、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)以来24年ぶりに共同脚本を担当。アフレックは「マルグリットのキャラクターに惹かれた。勇敢でとても強く、危険を覚悟で正義を行おうとしている。観ている人に共感してほしいし、私たちにも違った見方が必要だと思ってもらえればと願っている」と述べ、本作の現代的なテーマを示唆した。

最後の決闘裁判
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

謎に包まれた決闘裁判については、男性側の視点しか歴史的記録や資料が残されていない。そこでデイモン&アフレックは、被害者の女性・マルグリットのパートを担当する脚本家として、『ある女流作家の罪と罰』(2018)のニコール・ホロフセナーを起用した。また、マルグリット役のジョディ・カマーも脚本会議に参加したという。

カマーは「同じセリフが出てくる3つのシーンがあるけれど、すべてはどう演じるかにかかっている。微妙なニュアンスや表現の違いを感じ取って欲しい。私が同じセリフを言うと、相手が全く違う態度で受け止める。それが3人の脚本家によってもたらされた力だと思います」とコメント。ホロフセナーは「彼女の身に降りかかった出来事は、今でも誰かが経験しているものだと思う」と語った。「けれども、私はそういう形では書きたくなかった。私が書きたかったのは、彼女が経験したようなことが起きた時、人間ならどう行動するのかということ」。

会見終盤には、ある記者とスコット監督、デイモン&アフレックらが議論をする一幕も。「第二幕と第三幕の暴力表現に大きな違いを見出せない」と口にした記者に、監督は「本当に映画を見たのか?」と思わず声を荒げ、アフレックも「別物です。同じ暴力を描いているけれど、ル・グリの視点が違うことは明らか」と反論。デイモンも「騎士の世界で生きるル・グリには理解できないことが表現されている」と話すなど、視点を変えての三幕構成についての議論が行われたのち、監督が撮影や演出面を解説し「もう一度映画を見たまえ」と述べて会見は終了した。

なおレッドカーペットでは、多くのゲストやマスコミ、ファンの歓声に包まれる中、世界中から集まったスチールカメラマンの要望に応え、デイモンとアフレック、シックな黒のドレスに身を包んだカマー、リドリー・スコット監督が明るい笑顔を見せた。

最後の決闘裁判
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
最後の決闘裁判
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最後の決闘裁判
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
最後の決闘裁判
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なお、リドリー・スコット監督は、ヴェネチア国際映画祭とカルティエが新たに創設した「Cartier Glory to the Filmmaker Award(カルティエ グローリー トゥ ザ フィルムメーカー アワード)」を受賞。これは優れた映画製作者に敬意を表し、現代の映画業界に大きく貢献した人物に贈られるもので、プレミア上映前には受賞セレモニーも行われた。ちなみにプレミア上映の9月10日は、ちょうど70年前の1951年9月10日、第12回ヴェネチア国際映画祭にて『羅生門』が日本映画初の金獅子賞を受賞した日。運命的な一致を見せた、記念すべきプレミア上映となった。

映画『最後の決闘裁判』は2021年10月15日(金)より全国公開。

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THE RIVER編集部
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