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『スパイダーマン:スパイダーバース』短編アニメ公開 ─ メンタルヘルスの重要性を説くホラー調作品

https://youtu.be/AFPLRIdn1pk?si=4KKR7wOgn4zyEj7c

米ソニー・ピクチャーズが手がける『スパイダーマン:スパイダーバース』シリーズの新作短編アニメ『The Spider Within: A Spider-Verse Story(原題)』が、公式YouTubeアカウントで配信となった。

約7分(本編部分は約5分)の本作は、マイルス・モラレスが精神的疲労による悪夢に苛まれるホラー調の作品。映画『スパイダーバース』シリーズとは全く異なる、暗く恐ろしい作風のもので、スーパーヒーローとして、ひとりの若者としての重圧を恐怖映画風に描いたものだ。

ニューヨーク、ブルックリン。マイルス・モラレスはヘッドフォンをかけ、夜道を帰宅している。スパイダーマンとしても、私生活でもうまくいかない日々。扉を開ける前に一呼吸おき、気持ちを切り替えて「ただいま」と言う。まるで何も起こっていないように、家族に心配をかけないように。

父親ジェファーソンはホラー映画を3本レンタルしてきたといい、鑑賞会を勧めるが、「疲れているから」とマイルスは自室に籠る。明かりもつけず、窓辺に腰掛けてヘッドフォンを装着するマイルス。視線の先にはレンズ部分が破損したスパイダーマンのマスクがあり、ヒーロー活動が過酷なものになっていることが示唆される。

ヒーローと学生の二重生活はうまくいかず、この頃のマイルスは集中力を欠いているようだ。身体ごと落下していく感覚、ウェブの出ないシューター(サム・ライミ版『スパイダーマン2』でも描かれたことだ)。

マイルスはベッドに倒れ込むが、気持ちが落ち着かない。そこに、自分の姿の恐ろしい影が立っている。影が襲いかかると、マイルスは止まらない地下鉄の暗い車内にいる。勇気を出して影に攻撃を試みるが、通用しない。

やがて影は巨大な蜘蛛となってマイルスを襲い、かと思えば無数の蜘蛛に分裂し、身体のあちこちを這う。恐ろしい幻影に追われるマイルスは、いよいよひとりではいられなくなった。階下の父親を頼り、散歩に誘って相談してみる。「最近、ちょっと色々あってさ」「何があったのか聞かせてくれ」「何ていうか、宿題とか、女の子とか、1人の女の子がさ……」。

本企画は、ソニー・ピクチャーズ・アニメーションとソニー・ピクチャーズ・イメージワークスが主催する、「過小評価グループ(Underrepresented group)」に属する業界志願者向けの長期指導プログラム「LENS」の一環として製作されたもの。今回の配信リリースは、自身もメンタルヘルスの問題を抱えていたケヴィン・ラブによって設立された基金「Kevin Love Fund」とのパートナーシップにより実現した。

YouTube動画には、「Kevin Love Fund」へのリンクが添えられている(募金が行えるようだが、日本からは現在受け付けていないようだ)。ページには次のように書かれている。

「誰にだって、人生で難しい気持ちを経験するもの。悲しみや恐れ、孤独、それから怒り。こうした感情は辛いものと感じるかもしれません。しかし、私たちに何か問題があるというサインではないのです。これは人間であるということの一部。難しい感情を経験すると、多くの人はそれを直感的に無視しようとしてしまいます。しかし、それがかえって感情を大きく、強くしてしまいます。今回の『The Spider Within』で、マイルスは圧倒的な不安に苦しんでいます。父親に調子を聞かれた時も、“ああ、元気だよ”と気軽な返事をし、感情を押し殺そうと自室に向かいます。自分の感情を無視することによって、その感情は強まり、影のような姿となって、そして巨大な蜘蛛となって現れます。私たちは皆、『内なる蜘蛛』を持っています。表現されない不快な感情が大きくなっていくのです。このレッスンで生徒たちは、ヒーローとは通常、無敵で、感情を表に出さない人物として描かれることについて考え直す機会を得ることができます。マイルスの物語を見た後には、弱さこそが実は私たちのスーパーパワーであることを知るのです。

不快な感情を認め、表現するために使えるいくつかの方法を学びましょう:

    • 信頼できる大人に相談し、経験していることを共有する。
    • 絵を描いたり、文章を書いたりして表現する。
    • 自分の体験談を共有し合うことで、圧倒されそうになった時、自分はひとりではないことを知る。

メンタルヘルスの話をする時、相手がサポートを必要としているかどうかを確認することの重要性が、しばしば強調されます。しかし、それと同じくらい重要なステップがあります。それは、若者が苦しんでいる時に、手を差し伸べる方法を教えることです。マイルスをお手本に、生徒たちは信頼できる大人を頼り、”ねえ、ちょっといいかな?”と言って会話を始める方法を学ぶのです。」

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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