【ネタバレ解説】『サンダーボルツ*』ラストシーン&おまけシーン ─ アベンジャーズ新章に繋がる超重要展開の意味とは

この記事には、『サンダーボルツ*』の重大なネタバレが含まれています。

『サンダーボルツ*』おまけシーン解説
『サンダーボルツ*』のおまけシーンは二つ存在する。一つはエンドロール途中に挿入されるミッドクレジットシーンで、スーパーマーケットにてレッド・ガーディアン/アレクセイが自身の姿が印刷されたシリアルの箱を女性客に見せびらかすが、気づいてもらえないというシーン。これは、劇中でアレクセイが「いつかシリアルの箱になる」との夢を語っていたことのコメディ的伏線回収だ。
今後への本格的な予告となったが、エンドロール後に登場するポストクレジットシーン。ここでは、本編から14ヶ月後が描かれる。サンダーボルツはすっかりニュー・アベンジャーズとして活動しているらしく、新しい「A」マークがシャッターに施された基地に集まっている。
彼らがアベンジャーズであることは政府公認となっているが、新キャプテン・アメリカのサム・ウィルソンが「アベンジャーズ」の名称利用に反対しているという。“バキ翼”コンビの相方バッキーが説得を試みたが、うまくいかなかったそうだ。

アレクセイは「AvengerZ」とモジった名称で商標権を突破しようとユニフォームまで作って提案するが、エレーナの反応は冷ややかである。
一方、エレーナは宇宙の危機が迫っていると警告する。そこに「余剰次元」という聞きなれない領域からの船が接近しているとのアラートが入る。モニターで確認すると、一隻の宇宙船が地球に向かって飛来している。宇宙船が角度を変えると、そこに刻まれているのは「4」の文字……、そう、これはファンタスティック・フォーの宇宙船だ。

2025年7月25日に公開される映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』では、1960年代風のニューヨークを舞台に、マーベル史上最初のヒーローチームであるファンタスティック・フォーの活躍が描かれる。彼らの世界はMCU神聖時間軸(アース616)とは別世界になると見られる。
チームメンバーを演じるペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス=バクラックはいずれも『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に出演するから、彼らがアース616のヒーローたちとどのように合流するかが注目されている。
『ファースト・ステップ』では、惑星を喰らう最大脅威ギャラクタスとその超次元的使者シルバーサーファーが襲来。『サンダーボルツ*』のラストで彼らの船がアース616のこちら側にやってきたということは、『ファースト・ステップ』の劇中世界がギャラクタスらによって滅ぼされてしまい、ファミリーがアース616に逃げてきたり、あるいは助けを求めてやってきたりするということか。マーベル・ユニバース最高の頭脳の持ち主であるリーダーのリード・リチャーズが、科学によってマルチバースを超える方法を編み出すと考えるのは自然なことだ。

『サンダーボルツ*』のおまけシーンは『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』に直接つながる、極めて重要な示唆を行っているかもしれない。マルチバースの不思議はまだ解明されていない事柄が多く、ファンタスティック・フォーは何か別の脅威を連れてやってきたのかもしれない。次なるラスボス、ドクター・ドゥームは原作コミックで主にファンタスティック・フォーの宿敵として登場することが多いヴィランだ。猛スピードで飛来する船からは何やらただならぬ切迫感がみられたが、果たして彼らはどんな事情を抱えて異次元の旅に飛び出していたのか……?
ところでこのおまけシーン、本編とややテイストが異なることに気づいた方もいるかもしれない。「あのシーン、僕は撮っていないんです」と、ジェイク・シュライアー監督は米Comicbook.comに語っている。撮影現場には同席したというシュライアーは、同シーンが『ドゥームズデイ』の撮影に先行したものの一環であると示唆している。「まもなく製作が始まる企画のセットからのものです」。

実はこのシーンは、製作のかなり後期になって決まったものだといい、映画公開時のインタビュー時点で「たしか一月くらい前に撮影されたばかり」とシュライアーは認めている。つまり2025年3月ごろに撮影されていたということだ。
『『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)では、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのジェームズ・ガン監督がエクゼクティブ・プロデューサーとして参加し、ガーディアンズのメンバーが登場する場面を監修した。しかしシュライアーは『ドゥームズデイ』と続編『シークレット・ウォーズ』でサンダーボルツの登場場面に手を入れず、2作の監督アンソニー&ジョー・ルッソ兄弟に委ねると、筆者の取材にて明かしている。「あのキャラクターたちはまた別の物語と共に前進するもの。もちろん、僕は彼らのことを深く気にかけていますし、いくらか保護的にもなりますが、彼らに敬意が払われることを信じていますし、何よりも役者たちが正しい物語を守ってくれると信じています」。
果たして、おまけシーンでやってきたファンタスティック・フォーはサンダーボルツ……もとい、ニュー・アベンジャーズとどのように対面するのか?『サンダーボルツ*』は大ヒット公開中。何度でも劇場で堪能しよう。