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【インタビュー】『TITANE/チタン』は『シェイプ・オブ・ウォーター』のような愛の物語 ─ ヴァンサン・ランドンが日本文化に通じる要素明かす

TITANE/チタン
© KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020

『RAW~少女のめざめ~』(2016)にて世界中に衝撃を与えた監督、ジュリア・デュクルノー。その最新作『TITANE/チタン』が、2022年4月1日(金)より日本上陸となった。

カンヌ国際映画祭の最高賞、パルムドールに輝いた本作。主人公アレクシアは、幼い頃の交通事故により、チタンプレートが頭蓋骨に埋め込まれた。それ以来、“車”に対し異常な執着心を抱き、危険な衝動に駆られるように。ある日、自らの犯した罪により行き場を失った彼女は、ヴァンサンという名の消防士と出会う。10年前に息子が行方不明となり、今は独りで生きる彼の保護を受けながら、ふたりは奇妙な共同生活を始めるが……。

この度、THE RIVERはヴァンサンにふんしたヴァンサン・ランドンとインタビューする機会に恵まれた。『女と男の危機』(1992)『君を想って海をゆく』(2009)『母の身終い』(2012)などで知られており、ステファヌ・ブリゼがメガホンをとった『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(2015)では、カンヌ国際映画祭・男優賞を受賞。フランスを代表する名優が本作では哀愁をおびた消防士役を見事に演じ切り、ロサンゼルス映画批評家協会賞・助演男優賞に輝いた。そんなランドンが語る“愛の物語”とは?

ホラーではなくラブストーリー

TITANE/チタン
© KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020

──本作では目を背けたくなるような過激な描写の多い奇天烈な物語が展開されますが、主人公のアレクシアをはじめ、あなたがふんしたヴァンサンの心情が丁寧かつ繊細に描かれており、思わず感情移入してしまい涙を流してしまいました。この映画の脚本を初めて読まれた時、どんな感情を抱いたのでしょうか?

脚本を読んだときは、頭で理解するというよりは、心で感情的に反応してしまいました。だから、冷静に分析するという感じではなかったです。辛いと感じるところもあれば、心温まる気持ちにもさせられました。もちろん、私が演じている男は愛する息子を失い、絶望してはいますけど。本当は死にたいところでもあると思いますが、それでも彼は何とか生きようとしていて、現実から目を背けるためにも、自分の肉体の若さを保とうと努力しているわけです。そんななかでアレクシアに出会ったことにより、彼はまた人生、そして人を愛するようになっていくのです。

──消防士であることからも彼は一見して強そうな男として登場します。ただ、彼は息子を失っていて、実際には心に深い傷を負っています。そんな繊細な役どころを演じる上で意識されたことはありますか?

まず、“演技をする”ということはあまり好きではありません。私は頭で冷静に考えて演技を披露するのではなく、“その人物を体現し、成り切る”ことにいつも努めています。だから、私の演技の仕方というのは、どちらかというと感覚的なものでしょう。心理的な側面や台詞はそれほど大事ではなく、動物のように捉えるようにしています。つまりはどんな外見をしているのか、身体的構造をしているのかを見ていて、そこからどんなふうに歩くのか、どんなふうに物を食べるのか、そういったところから入り、彼を理解しようとしました。もちろん、全ての役で同じようなことをしているわけではありませんよ。

──『TITANE/チタン』のジャンルはホラーやスリラーと位置づけられると思うのですが、ラブストーリー/愛の物語であると個人的には感じました。

その通りだと私も思います。もちろんジャンルは少し異なりますが、ギレルモ・デル・トロの『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)のようなラブストーリーに近いでしょう。

ダンスシーンで羞恥心を解放

TITANE/チタン
© KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020

──アレクシアとのダンスシーンについて教えてください。この映画では、“自分を許す”、“自由になる”というような題材にまで踏み込まれていて、このシーンはその核となるところだと感じました。ダンスが苦手と海外の取材では答えていましたが、今ではいかがでしょうか?

ダンスが苦手というわけではないのです。ただ、ダンスというのは自分を開放したり、心のままに踊ったりするものですが、僕は逆に緊張してしまって。さらに、みんながじっと僕の方を見てくるので、余計に緊張してしまい、気詰まりな思いになります。しかもこのシーンでは、80人ぐらいの製作陣の前で踊らなければなりませんでした。

──80人の前ともなれば、緊張してならなかったのではないですか?

監督には笑われましたけど、スタントマンのような感じで踊りました。僕自身は恥ずかしがり屋ですが、スタントマンのように激しく演じることで、自分の中の羞恥心を解放していったのです。だから、このようなシーンをまた撮影する機会があれば、もしかしたら同じような方法で最初から羞恥心を開放することが出来るかもしれませんね。

日本文化に通じる映画

TITANE/チタン
© KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020

──先ほど、私より前の取材で日本映画への関心を語っていましたが、実際にはどのような映画、監督の作品に出演してみたいですか?

日本映画に限らず、アジア作品に関心があります。現在の監督は名前がすぐには出てこないのですが、若い時には黒澤監督や溝口監督が好きでした。もちろん宮崎監督のことも知っていますが、どちらかというとアニメーションの方なので。そういえば是枝監督は日本の方ですよね?

──はい、日本の監督です。是枝裕和監督といえば、『誰も知らない』(2004)をはじめ、『海街Diary』(2015)や『万引き家族』(2018)など知られていますね。

彼の映画に出演するのが私の夢です。実は一回、サン・セバスティアン国際映画祭でも会ったことがあって。そんな簡単に上手くいかないことはわかっていますけど。

──『TITANE/チタン』には日本映画的なところはあると思いますか?

この作品はとても日本の文化に近いものがあると思っています。それは自己犠牲であるところをはじめ、英雄的に威厳や純粋さを忘れずに生きていこうとするところでしょう。よくジュリア・デュクルノー監督にも、“『TITANE/チタン』はヨーロッパやアメリカ映画というよりも、これはアジアの映画だ”というふうに言っていたくらいですよ。

──本日は貴重な時間をいただきありがとうございました。次は是非とも来日してください!

もちろんです、いつでも行きますよ!

TITANE/チタン
© KAZAK PRODUCTIONS – FRAKAS PRODUCTIONS – ARTE FRANCE CINEMA – VOO 2020

映画『TITANE/チタン』は、2022年4月1日(金)より公開中。

衝撃の予告編はこちらから

Writer

Minami
Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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