『トップガン マーヴェリック』を元NASA宇宙飛行士が大絶賛、熱くなりすぎて昔の無茶を語ってしまう

NASAの宇宙飛行士として3度の宇宙飛行を経験したクリス・ハドフィールドが、2022年の大ヒット映画『トップガン マーヴェリック』を大絶賛している。
米Vanity Fairの企画「宇宙航空映画レビュー動画」に登場したハドフィールドは、『トップガン マーヴェリック』の話題になると、開口一番野太い声で「この映画が大好きです」とベタ褒め。「これ以上に良いパイロット飛行映画を知りません。この映画を作った方々、特にトム・クルーズには称賛を送りたいです」と続けている。
前作『トップガン』(1986)から数十年後、クルーズ演じる主人公ピート・“マーヴェリック”・ミッチェルはパイロットとして輝かしい成績を収めていたが、ある時起こしてしまった部隊との一悶着がきっかけで左遷。現場を離れ、スクラムジェットエンジン搭載の極超音速テスト機「ダークスター」のテストパイロットを務めていた。
自身もかつてはテストパイロットだったというハドフィールドは、マーヴェリックがマッハ10の壁を越えようとする冒頭のシーンが大好きなのだという。目の付け所もプロならではで、興奮しながらこう語っている。
「彼が離陸に向けて滑走を始める時、楽しい工夫があって、こう言うんです。“情報を受け取ったよ、アルファ”。それって、彼が天候や滑走路の状況を伝える指示を聞いているということですから。そのおかげで管制塔も繰り返さなくて済む。映画では必須というわけではなかったと思うんですけど、それが本物らしさを出していた。個人的にすごく気に入りました。」
上官の反対を押し切り、ダークスターの速度テストを敢行したマーヴェリックは、誰もが無理だと思ったマッハ10の壁を越えてしまう。しかし、本能的にそれ以上を望むマーヴェリックは、マッハ10.1、10.2……とレバーを押し続ける。
指示役のホンドー(バシール・サラフディン)も“世界一速い男だ”と呟くが、これを聞いたハドフィールドがすかさず反応。「今、“世界一速い男”と言ってました?」と言った後、少しの間を置いて「僕は宇宙飛行士ですよ。マッハ25までいったことがあります」と張り合う。これが昔の自分を思い起こさせたのか、ハドフィールドはかつての無茶を語り始めた。
「僕がF18に乗ってエンジンテストをしていた頃、上空40,000フィートまで上昇しました。ちょうどマッハ2に届くかどうかのスピードで、F18にしては速いほうでした。上空40,000フィートでマッハ2。ここでどうしたと思います?僕はレバーを引いて上昇したんです。
徐々に自信もついてきたので、62,000フィートまで上がっちゃいました。F18では高すぎる高度です。テスト・パイロットの性(さが)みたいなもので、どれだけいけるかな?となってしまう。トムも同じことをやっているんです。現実では、10.1も10.2も変わらないんで、機体も無事ですよ。」
劇中ではこの後、加速し続けるダークスターは空中分解。マーヴェリックは、奇跡的に生還を果たす。「トム・クルーズが生還できたということは……」と続けるハドフィールド氏。「このダークスターには脱出ポッドがあったんでしょうね」と解釈した。
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