『トップガン マーヴェリック』配信サービスからの買付交渉を拒否、劇場公開死守の方針

2021年7月の米公開を控えている『トップガン マーヴェリック』は、映画館業界が苦境に立たされている現在もなお、劇場公開での封切りが見据えられているようだ。製作を務める米パラマウント・ピクチャーズが、大手配信サービスからの買付け交渉を断固拒否していたことがわかった。
情報を伝えている米Wall Street Journalによれば、米Netflixや米Apple TV+など、大手配信サービスを保有する企業が『トップガン マーヴェリック』の配給権獲得を目指して、パラマウント社に交渉を持ちかけていたという。こうした動きは、コロナ禍の影響で生じた度重なる公開延期や劇場の運営状況を鑑みると妥当だろう。
この交渉に、パラマウント側は応じない意向を示しており、『トップガン マーヴェリック』の配給権売却を「検討すらしていない」とのこと。これは、「本作が生み出す莫大な興行収入の可能性を見据えてのこと」だという。コロナ禍においても本作の劇場公開を死守するパラマウント社の意向が伺えるだろう。
その一方で、パラマウント社は自社製作の作品全てにおいて、劇場公開に固執しているわけではない模様。事実、エディ・レッドメインやマーク・ライランスら豪華俳優陣が集結した『シカゴ7裁判』(2020)の配給権はNetflixが獲得しているほか、エディ・マーフィ主演の『星の王子 ニューヨークへ行く2』(2021)の配給権は米Amazonの手に渡っている。加えて、マイケル・B・ジョーダン主演の『Without Remorse(原題)』やビリー・ホリデイの伝記映画『The United States vs. Billie Holiday(原題)』など、パラマウント社は自社製作の作品に関して、積極的な売却の動きも見せているのだ。
壮観のスカイアクションは無論のこと、約35年ぶりの続編とだけあり、大きな期待が寄せられているであろう本作について、劇場での鑑賞を望むファンは多いはず。パラマウント社が、こうしたファンの映画体験を視野に入れた上で、売却拒否という判断に至っているのかは定かでない。とはいえ、同社が自社製作の作品について、意図的に公開形式の棲み分けを行っていることは間違いないだろう。
現状、『トップガン マーヴェリック』の公開日は2021年7月2日。当初、公開は2020年6月に予定されていたが、コロナ禍による影響で2度の延期を経ている。今後の感染状況次第では、約半年後に迫った封切りを無事に迎えられるのかも未知数だ。劇場での上映を望みつつも、度重なる延期により作品鑑賞の機会だけが延々と奪われていくというジレンマを抱くファンの存在もある中で、『トップガン マーヴェリック』を巡るパラマウント社の決断には今後も注視していくべきだろう。
Source: Wall Street Journal