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『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は「作り直し多かった」 ─ J・J・エイブラムス『スカイウォーカーの夜明け』の自信と葛藤「結末を作るのは不得意」

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
©2020 & TM Lucasfilm

スター・ウォーズ』新3部作は、J・J・エイブラムスという名前を抜きにして語れない。スター・ウォーズ/フォースの覚醒(2015)で脚本・監督を、続く『最後のジェダイ』(2017)で製作総指揮を務め、完結編となる『スカイウォーカーの夜明け』で再び脚本・監督にカムバックしたのだ。待望の公開を控えた今、J・Jは『フォースの覚醒』当時の苦悩を改めて振り返りながら、来たる新作への自信と、再びの葛藤を明かしている。

はじまりの苦悩、終わりの葛藤

そもそもルーカスフィルムが『スター・ウォーズ』を再び始動させようとした際、「エイリアス」(2001-2006)「LOST」(2004-2010)で頭角を表し、『ミッション:インポッシブル』『スター・トレック』の復活を成功させたJ・Jに白羽の矢が立てられたのは必然的だった。ジャンル作品における愛情と実力も、かつての名作を現代のものとして甦らせる手腕もぴったりだったのだ。

ところがオファーを受けた当時、J・Jは素直に仕事を引き受けなかった。その理由は「好きすぎて近づけなかった」「嫌いになって終わりたくなかった」から。そしてクリエイターとしては、失敗してしまうことがあまりに恐ろしかったという。それでも結果として、J・Jは新3部作の幕開けを自身の手で担うことになった。そして「エピソード9」から監督前任者のコリン・トレボロウが離脱したのちには、ピンチヒッターとしてシリーズ完結の任を負うことにさえなったのである。製作のスケジュールは極めてタイトだった。

J.J.エイブラムス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19679067265/

Entertainment Weeklyは『スカイウォーカーの夜明け』を完成させる直前のJ・Jを直撃。製作の状況を尋ねられたJ・Jは、『フォースの覚醒』の完成直前と比較すると「比べ物にならないほど良い」と言い切っている。

今回よりも『フォースの覚醒』のほうが再撮影は多かったし、ストーリーの調整もたくさんありました。キャラクターがうまくいっているのか、俳優たちが『スター・ウォーズ』の映画を担えるのかが分からなかったんです。分からなかったことが多かった。だけど今回は、誰のどういうところが成功しているのかを理解していましたし、全員がかつてないほど最高の仕事をしてくれています。」

もっとも米The New York Timesによれば、『スカイウォーカーの夜明け』でも、物語の重要な展開や多くのセリフは撮影の過程で再検討され、随時変更されていったという。J・Jは『スカイウォーカーの夜明け』について「『フォースの覚醒』よりもはるかに野心的で、ずっとチャレンジングな作品」とも述べているのだ。「今回はすべてが飛躍的に巨大になっていますから」。

『スカイウォーカーの夜明け』共同脚本のクリス・テリオは「こういう映画を作ることは戦争のようなもの」と語る。「毎日、朝起きたら最前線に行かなきゃいけない。その前日の戦いがうまくいかなかったとしても、前向きに、情熱をもって立ち上がらなきゃいけないんです」。また、J・J自身も「クレイジーだね、と言われることもありますよ。だけどよりよいアイデアが生まれたら、それがどんな段階であろうが試さなくては」と話した。そこまで言わしめるのは、J・Jがクリエイターとしての適正をある程度きちんと分析しているためでもあるようだ。

僕は決して結末を作るのが得意ではありません。実のところ、得意なことなんて何もないんです。だけど、物語の始め方は分かる。物語を終えるのは難しい。(『スター・ウォーズ』を)きれいに着地させるのは、僕が引き受けうる仕事の中で、最も難しい仕事のひとつです。だけど、だからこそ引き受ける価値があると思いました。」

「物語の始め方は分かる」というJ・Jが、本作以上に『フォースの覚醒』を作り直していたというのだから、当時の彼がいかに苦悩していたかは言うまでもないだろう。一方で、「結末を作るのが得意ではない、物語を終えるのは難しい」と言っているJ・Jが、『フォースの覚醒』よりも『スカイウォーカーの夜明け』のほうが「比べ物にならないほど良い」と宣言していることも興味深い。少なくともJ・Jは、新3部作を開幕する苦悩と、完結させる葛藤を経て、なにかの確信に至っているようだ。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)日米同時公開

Sources: Entertainment Weekly, The New York Times

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。劇場用プログラムや各種媒体への寄稿なども喜んで承りますので、お気軽にお尋ねください。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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