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『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』レイア登場シーン、監督が出来栄えに自信 ─ 「キャリーが生きていても描いたであろう物語」

キャリー・フィッシャー J・J・エイブラムス
[左]Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19679067265/ [右] Photo by Riccardo Ghilardi photographer https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Actress_Carrie_Fisher_%C2%A9_Riccardo_Ghilardi_photographer.jpg Remixed by THE RIVER

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、スカイウォーカー・サーガの完結編ながら、誰も予想しなかった形で迎えた“最終章”である。オリジナル3部作でレイア・オーガナを演じたキャリー・フィッシャーが、前作『最後のジェダイ』(2017)の撮影後に急逝したのだ。俳優不在の中、レイアの物語にどう決着をつけるのか。製作陣が選んだのは、『フォースの覚醒』(2016)当時に撮影された未使用映像でレイアを登場させるという方法だった。

この決断を下した監督のJ・J・エイブラムスは、米Total Filmにて、その出来栄えに自信を示している。

「(レイアの登場シーンで)彼女は他のキャラクターたちと、しっかり関わり合っています。うまく成功していれば、そうとは気づかれないものになっていることでしょう。もしも(過去の映像だと)知らなければ、決して気づかれないと思います。それでも僕たちは、もしキャリーが生きていても描いたであろう物語を、レイアによって語ることができました。とてつもないことです。」

キャリーの弟であるトッド・フィッシャー氏によれば、ルーカスフィルムに残されていたキャリーの未使用映像は約8分間。エイブラムス監督は、これらの映像に処理を加えた上、キャリーと共演する俳優たちの撮影では、レイアの映像にうまく繋がるようカメラアングルや照明を調整しながら撮影に取り組んだという。

Entertainment Weeklyにて、エイブラムス監督は「代役を立てることは考えなかったし、CGのレイアを作ることもできたとは思うけれど、決してやりたいことではありませんでした」と語っている。「とはいえ、レイアが死んでしまったとか、どこかに出かけていて不在だとか、そういう扱いではインチキになってしまうと思ったんです」。そこで監督は、いささか大胆な方法ではあるが、キャリーとレイア・オーガナへの敬意を全うすべく、今回の方法に挑んだのである。そして、その結果には十分な手ごたえがあるということだ。「映画を観ていただければ、そこには彼女がいます。クレイジーなデジタルのトリックなんかじゃなく、ただ、彼女が映画に出ているんです」

もっともトッド氏いわく、当初構想されていた「エピソード9」では、レイアが“最後のジェダイ”としての役割を担う予定だったそう。ついにレイアがライトセーバーを手にして、ジェダイの戦士として戦うというアイデアだったのだ。しかし、この展開はキャリーの逝去によって叶わなくなった。エイブラムス監督は「キャリーが生きていても描いたであろう物語」になったと話しているが、おそらくそれはテーマや結論の扱い方であり、ストーリーの内容そのものではないのだろう。

なお、エイブラムス監督ほかスタッフ陣による血のにじむような努力で完成したレイアの登場シーンに、トッド氏は「まるで魔法」「昨日撮影されたかのよう」感嘆の言葉を漏らしている。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)日米同時公開

Sources: Total Film, Entertainment Weekly(1, 2

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。