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ジョージ・ルーカス、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』に何を助言したか ─ J・J・エイブラムス、創造主の『フォースの覚醒』批判を振り返る

ジョージ・ルーカス
Photo by James Santelli/Neon Tommy https://www.flickr.com/photos/neontommy/6339542462

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は、1977年『新たなる希望』に始まったスカイウォーカー・サーガの完結編だ。40年以上にわたる物語を、いかにして締めくくるのか。前任者のコリン・トレボロウからバトンを引き継いだ『フォースの覚醒』(2016)のJ・J・エイブラムスは、その知恵を授かるため、創造主ジョージ・ルーカスと事前に面会したことを明らかにしていた。

このたび、米Entertainment Weeklyの取材にて、ルーカスフィルムのキャスリーン・ケネディ社長は「脚本を書く前に、ジョージとは長時間のミーティングを持ちました。彼の考えから助けを得たんです。たくさんメモを取りました」と語っている。「ヨーダのセリフと同じで、これ(シリーズの完結編)をやることにはすさまじい責任が伴う。そのことを真摯に受け止めたのです」。


いよいよ劇場公開が近づく中、米国メディアのインタビューからは、ルーカスとケネディ社長、そしてルーカス自身が激しく批判した『フォースの覚醒』を手がけたJ・J、キーパーソン3人の関係性が浮かび上がってきた。

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け
(C) 2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

創造主ルーカスと『スター・ウォーズ』新3部作

Rolling Stoneのインタビューでは、『スカイウォーカーの夜明け』で脚本・監督を務めたJ・J・エイブラムスが、わずかながらにルーカスとの面会を振り返っている。

この映画の作業を始める時、(ルーカスには)ミーティングに来ていただきました。たくさんのアイデアやストーリーを話し合い、(『スター・ウォーズ』において)何が大切なのかをお聞きしたんです。その後は、挑戦しながらも、物語の基本に忠実にするのみ。とにかくやってみる、というのは難しいことではありません。彼は本当に親切で、だから僕には感謝しかないのです。」

そもそもルーカスは、ディズニーがルーカスフィルムを買収したのちに発表した、J・Jの監督作『フォースの覚醒』に否定的な態度を示していた。同作の公開後には「子どもを奴隷業者に売ってしまった」「彼らはレトロな映画を作りたかったんです。僕は好きじゃない」と公に発言。またウォルト・ディズニー・カンパニーのボブ・アイガーCEOが著書で明かしたところによると、ルーカスは自身のアイデアを製作陣にすべて却下されたことに深く落胆していたという。

公開当時の批判について、J・Jは今回、「(『フォースの覚醒』が)ジョージにとってのオールタイム・ベストになることを願っていました。僕はただ、彼を丁寧に扱いたかっただけなので」と振り返っている。同時に一人のフィルムメーカーとしては、「きっと複雑だったのだろうと思います」とも述べた。

自分が生み出したもの、自分の赤ん坊を誰かに売り渡すという決断は、小切手にサインしてニッコリ笑うよりも、ずっと複雑なことに違いありません。だけど、ジョージは本当に親切だし、すごく寛大なんですよ。[中略]彼には深い敬意しかありませんし、今もなお、彼が生み出したものに携わるのは本当に畏れ多いんです。」

J.J.エイブラムス
Photo by Gage Skidmore https://www.flickr.com/photos/gageskidmore/19679067265/

ルーカスの心境に思いを馳せるのは、ケネディ社長も同様だ。同じくRolling Stoneで、社長は『スター・ウォーズ』を「(ジョージ・ルーカスという)その人が何者かという根本にかかわる作品」だと形容。「それが別物に変わるのを見ているのはつらいもの。最初はつらかったと思いますし、それがいかに大変か、彼は予想していなかったんでしょう」と話しているのだ。

しかしケネディ社長は、J・Jや、『最後のジェダイ』(2017)ライアン・ジョンソンといった若い監督たちの立場についても述べている。

「J・Jが『スター・ウォーズ』やジョージに対する熱意や敬意をもって参加した時、彼は(作品を)自分にとってパーソナルなもの、自分自身のものにしなければいけませんでした。映画監督はみな、作品を自分のものにしなくてはいけない。ストーリーテリングの中に自分自身を発見しなければいけません。そうすると、それは(オリジナルとは)違った視点の作品になります。[中略]ジョージは、J・Jやライアンの決断すべてには賛成しないかもしれません。けれども彼は、映画づくりについてしっかりと理解している。私はそう思います。」

ちなみに社長いわく、ルーカスは現在の映像技術のめざましい革新ぶりにも理解を示しており、『スター・ウォーズ』初のドラマ作品となった「マンダロリアン」のセットを訪れた時は「子どものように夢中になっていた」という。「もう現場にいないこと、映画を撮っていないことを、彼はちょっと後悔しているんじゃないかとも思いますね」。

ケネディ社長は新3部作の完結を控えた今、「ジョージの考えを代わりに言うことはできませんが、彼は自分が生み出したものを、心から誇りに思っています」と語った。「2020年になろうとしている今、人々がそれを観て楽しんでいるのは本当に素晴らしいことです」。そして今、ケネディは2020年代の『スター・ウォーズ』をめぐる新たな展開にも着手している。

「私たちは、40年ものあいだ観客を楽しませてきたものを、ジョージが最初に始めた3幕のサーガと3つの3部作を尊び、そして敬意を払うべきだと感じています。今は、ひとつのサーガ(スカイウォーカー・サーガ)からどこへ向かうのかをしっかり検討する時間を取っているところ。次の映画3本がどうなるか、ということだけではありません。まさしく神話を作るために、ストーリーテリングの次の10年間について考えているんです。」

ルーカスが生み出した銀河系の物語は、もうすぐ『スカイウォーカーの夜明け』でひとまずの終わりを迎える。そのためにJ・Jに向けて語った助言とはどんなものだったのか、それらはどのような形で作品に取り入れられたのか。J・Jいわく、それは『スター・ウォーズ』シリーズで何が大切かを示す言葉だったという。そ子には、どんな景色が広がっているのだろう。

映画『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は2019年12月20日(金)日米同時公開

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Sources: Rolling Stone(1, 2), Entertainment Weekly, Collider

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

THE RIVER編集部。「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。国内舞台作品の執筆・創作にも携わっています。ビリー・アイリッシュのライブに行きたい。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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