なぜヴァレリアンとローレリーヌは銀河いちクールなカップルなのか? ─ 監督「今どきの若い男女っぽさを反映した」『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

「たとえば、うまくプロポーズを申し出られない若者なんて、12世紀にもいたと思うんですよね。つまり千年前、インターネットや携帯電話、テレビがなかった時代にも、(今の我々と変わらず)人は”結婚してくれないか?”なんて言ってたわけですよ(笑)。常に変わらないものというのがあって、それが人間というもの。場所が変わろうが、ずっと同じものがあるんです。この映画が面白いのは、(舞台は未来の宇宙なのに)些細なところにも”わかる、わかる!”と思えるところ。」

クールさの理由は「現実っぽさ」
映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』リュック・ベッソン監督は、THE RIVERのインタビューに対してこう語った。西暦2740年の宇宙を舞台に、様々なエイリアンや宇宙船、未知のガジェットが次々と登場する『ヴァレリアン』の中で、主人公のヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は、まるで現実世界の若者をそのまま投入したかのような、飾らない等身大のキャラクターとして描かれる。数え切れぬほどの登場するエイリアンたち全てにバックストーリーがあるという狂気じみた情報量の熱に対し、二人は終始飄々としているのだ。だからこそ、驚異的な映像とキャラクターのそれぞれが鮮やかに際立っている。
劇中、ローレリーヌの凡ミスによってヴァレリアンがピンチに陥る場面があるが、ローレリーヌはすぐに謝り、ヴァレリアンも「大丈夫だよ、誰でもミスはあるからね」と許し、この件は即座にクローズする。異次元的なSF世界の中でさえ、二人のコミュニーケーションは実に現実的なのだ。彼らは決して少年漫画の吹き出しじみたセリフを叫んだりしないし、お互いにわぁわぁ喚いたりすることもない。
デインとカーラ 起用の理由
プレイボーイのヴァレリアンの甘い言葉は、どういうわけかローレリーヌには通用しない。おそらく、ヴァレリアンの色攻撃が届かない位置まで一歩引いているのだろう。きっとこれまで軽い女の子大勢と遊んできために「俺がその気になれば、何でも手に入る」と思い上がっているヴァレリアンに対し、その大勢と一緒にされるのは嫌だからと冷め気味のローレリーヌ。リュック・ベッソン監督は、この二人のキャスティングに、デイン・デハーンとカーラ・デルヴィーニュという、言わば氷属性として似たイメージを持つ二人を起用した。
「役者が身体的に、そして精神的にもその役に合うかどうかは、会った瞬間に直感できるんです。子供の頃から原作コミックのローレリーヌをよく知ってる僕にとって、カーラは身体的にピッタリだと思った。それからランチを一緒に食べて、人生のことなどを語り合いました。すると彼女の性格に、ローレリーヌっぽいなと思うところがあったんですね。物怖じしないし、ハキハキ言う子だし、頭の回転も速くて、オープンな性格。でかいサングラスを気取ってかけるみたいなこともしないし。それから、かなりハードなテストに挑んでもらいました。多分、月に行くためのテストの方がよっぽど楽だったと思う(笑)。」
