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なぜヴァレリアンとローレリーヌは銀河いちクールなカップルなのか? ─ 監督「今どきの若い男女っぽさを反映した」『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
© 2017 VALERIAN S.A.S. - TF1 FILMS PRODUCTION

「たとえば、うまくプロポーズを申し出られない若者なんて、12世紀にもいたと思うんですよね。つまり千年前、インターネットや携帯電話、テレビがなかった時代にも、(今の我々と変わらず)人は”結婚してくれないか?”なんて言ってたわけですよ(笑)。常に変わらないものというのがあって、それが人間というもの。場所が変わろうが、ずっと同じものがあるんです。この映画が面白いのは、(舞台は未来の宇宙なのに)些細なところにも”わかる、わかる!”と思えるところ。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION

クールさの理由は「現実っぽさ」

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』リュック・ベッソン監督は、THE RIVERのインタビューに対してこう語った。西暦2740年の宇宙を舞台に、様々なエイリアンや宇宙船、未知のガジェットが次々と登場する『ヴァレリアン』の中で、主人公のヴァレリアン(デイン・デハーン)とローレリーヌ(カーラ・デルヴィーニュ)は、まるで現実世界の若者をそのまま投入したかのような、飾らない等身大のキャラクターとして描かれる。数え切れぬほどの登場するエイリアンたち全てにバックストーリーがあるという狂気じみた情報量の熱に対し、二人は終始飄々としているのだ。だからこそ、驚異的な映像とキャラクターのそれぞれが鮮やかに際立っている。

劇中、ローレリーヌの凡ミスによってヴァレリアンがピンチに陥る場面があるが、ローレリーヌはすぐに謝り、ヴァレリアンも「大丈夫だよ、誰でもミスはあるからね」と許し、この件は即座にクローズする。異次元的なSF世界の中でさえ、二人のコミュニーケーションは実に現実的なのだ。彼らは決して少年漫画の吹き出しじみたセリフを叫んだりしないし、お互いにわぁわぁ喚いたりすることもない。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION

そうですよね。二人共落ち着いたキャラクターなんですよ」リュック・ベッソン監督は同意する。「二人は、実際に私たちがそうするみたいに喧嘩するんです。男の子は女の子を仕留めたいのに、女の子は何故か”ノー”と言ってしまう(笑)。”後でね”ってはぐらかされちゃうでしょ。こういうところが人間臭いんですよね。ヴァレリアンはちょっと自惚れ屋さんで、ちょっとお馬鹿。今どきの男の子っぽいんですよね。誰だってちょっと自意識過剰なところがあるし、自分が世界の中心だとも思っちゃう。でも現実では、女の子の方が振り回していたりする。今どきの男女っぽさを反映しているんです。

デインとカーラ 起用の理由

プレイボーイのヴァレリアンの甘い言葉は、どういうわけかローレリーヌには通用しない。おそらく、ヴァレリアンの色攻撃が届かない位置まで一歩引いているのだろう。きっとこれまで軽い女の子大勢と遊んできために「俺がその気になれば、何でも手に入る」と思い上がっているヴァレリアンに対し、その大勢と一緒にされるのは嫌だからと冷め気味のローレリーヌ。リュック・ベッソン監督は、この二人のキャスティングに、デイン・デハーンとカーラ・デルヴィーニュという、言わば氷属性として似たイメージを持つ二人を起用した。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION

資料によれば、ベッソン監督はデインに初めて出会った瞬間に、ヴァレリアンを見つけたと確信したという。「レストランで微笑みながら『ハーイ』と言った彼を観た瞬間に決めた。声のトーンや目の輝きや笑顔に『ヴァレリアンそのものじゃないか』と思ったんです」と公言している。握りしめると崩れてしまいそうな儚さをまとったデイン・デハーンのお相手に選ばれたのは、厳しいオーディションを勝ち抜いたというカーラ・デルヴィーニュ。ベッソン監督はその過程をこう語った。

「役者が身体的に、そして精神的にもその役に合うかどうかは、会った瞬間に直感できるんです。子供の頃から原作コミックのローレリーヌをよく知ってる僕にとって、カーラは身体的にピッタリだと思った。それからランチを一緒に食べて、人生のことなどを語り合いました。すると彼女の性格に、ローレリーヌっぽいなと思うところがあったんですね。物怖じしないし、ハキハキ言う子だし、頭の回転も速くて、オープンな性格。でかいサングラスを気取ってかけるみたいなこともしないし。それから、かなりハードなテストに挑んでもらいました。多分、月に行くためのテストの方がよっぽど楽だったと思う(笑)。」

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION
注意

ここからは、『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』のネタバレ内容が含まれています。

一つの愛よ、叶え

きっとローレリーヌ本人は、「強い女性像、自立した女性像云々」と言われるのをひどく嫌うだろうけど、ローレリーヌはヒーローに対し無条件でメロメロになっているタイプでもなければ、いわゆる「サバサバ」の意味を履き違えて、無意味にツンケンしたタイプのヒロインでもない。ベッソン監督は「映画の冒頭で、ヴァレリアンが結婚を申し出るけど、ローレリーヌはこれを断る。結婚と言われてもピンと来ないからですね。結婚前にハネムーンなんて、馬鹿げてると思っている」と語る。つまり、あくまでも現実的なのだ。ヴァレリアンとローレリーヌには、余計な誇張や味付けのない、「現実の若い男女二人」そのものの姿を見出すことができる。

「そんな二人が劇中を通じて、愛し合うことの意味を学んでいく。彼が彼女を、彼女が彼を救っていくことで、お互いのことを本当に想い合っていくわけですね。その過程があって、やっと最後のキスですよ。ローレリーヌは映画の最初で結婚を断るけど、最後にもう一度同じ台詞を言われると違った返答をしますよね。(ヴァレリアンからの愛を)学んだんですよ。でも、指輪を渡されたとき、”それはイエスって意味かい?”と聞かれても”メイビー”ってはぐらかすでしょ。女ってやつは!(笑)」

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION

ヴァレリアンとローレリーヌは劇中の冒険を通じて想いを認め合い、物語は二人のキスで幕を閉じる。監督は、このキスシーンの撮影の裏に隠された意味を明かしてくれた。

「撮影は最後のキスシーンでクランクアップにしたんです。デイン・デハーンとカーラ・デルヴィーニュは同じセットで長い間を共にして、本当にお互いを想い合っていた。もちろんデインは結婚しているし、カーラにも恋人がいるだろうけど、二人は友として愛し合っていました。でも撮影が終わったら、もう会えなくなる。この辛さを活かしたくて、ラストショットをキスにしたんですよ。あれ、実は別れのキスなんです。

ヴァレリアン 千の惑星の救世主
© 2017 VALERIAN S.A.S. – TF1 FILMS PRODUCTION

映画『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』は、2018年3月30日(金)より公開。

『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』公式サイト:http://www.valerian.jp/

Writer

中谷 直登
中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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