最近のハリウッド映画はVFX劣化?「Unreal Engine流入のため」と『パイレーツ・オブ・カリビアン』監督 ─ ゲーム制作側「ツールのせいにするのは間違い」と反論

デジタル技術が日進月歩で進む一方で、「近年の映画VFXは、かつてほどの迫力や説得力を感じにくい」との声も根強い。では、何が映像の質感を変えてしまったのか。
ジョニー・デップ主演『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの監督で知られるゴア・ヴァービンスキーが、2025年11月の米But Why Tho?にて「Unreal Engineが映画制作に流入したため」と述べた。Epic Games側からは「ツールのせいにするのは不正確」と反論も出ている。
ヴァーヴィンスキーはインタビューの中で、「なぜVFXは以前より見栄えが悪くなったのか?」との質問に対し、「最もシンプルな答えは、ゲームのUnreal EngineがVFXの領域に進出してきているからだと思います」と意見。Unreal Engineとは主にゲーム制作に用いられるリアルタイム3D制作ツールのことだ。
ヴァービンスキーは、ゲームと映画におけるVFX制作について「以前は棲み分けがなされていた。Unreal Engineはビデオゲーム分野で非常に優れたものでした」と語ると、「映画でも完成された視覚効果にUnrealが活用できるかもしれないと考えられるようになった。こうして、ゲーム的美学が映画の世界に流入している」と続けている。
さらに、スタンリー・キューブリック作品の“色褪せなさ”を引き合いに出す。キューブリックの映画にはミニチュアや絵画を撮影するなど、いまとは異なる美学があり、それが今日の鑑賞にも耐える要因になっているという。一方で、マーベル映画のように誇張された非現実世界であれば成立しうるものの、「厳密なフォトリアリズムの観点ではうまくいかないのだと思う」と見解を示した。
実写とアニメーションでは「光を同じように捉えていない」ために、表現に根本的な違いが生じていると、ヴァーヴィンスキーは続けている。「皮膚の下における光散乱や、光が肌に当たって反射する感じに、同じように反応していないと思います。だからクリーチャー(生物)アニメーションになると、不気味の谷というやつが生じる。手作業でやるべきところを、スピード優先で補完してしまうからです」と述べ、工程の省略が“違和感”につながると示唆した。
加えて、製作現場の判断基準そのものが変化し、仕上がりの許容ラインが下がっているとも語る。「海に浮かぶ船がきちんと水面に浮かんでいないように見えても、誰も気にしないだろうと思われるようになった」とヴァービンスキー。『パイレーツ・オブ・カリビアン』第1作では「実際に海に出て、本物の船に乗って撮影していた」として、現場主義の違いを例に挙げた。
こうした文脈の延長で、ヴァービンスキーはUnreal Engineの映画参入を「最大の後退」と断じている。彼が強調するのは、最終的に“動き”がリアリティを左右するという点だ。「いつもVFXで人がやってしまう間違いがあります。ものすごくリアルなヘリコプターは作れるのに、飛び方が少しでも違った瞬間に、脳が“これはリアルではない”と気づいてしまう。旋回の一つ一つをきちんと捉え、動きが正しくなければならない。結局はアニメーションなんです。時にはライティングや撮影だけではないこともある。時には“動きそのもの”なのです」。
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