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激論!洋画のタレント吹替起用問題『肯定派VS否定派』意見まとめ あなたは認める?認めない?

2016年7月16日より劇場公開中の『ファインディング・ドリー』では前作、『ファインディング・ニモ』に引き続き、日本語吹替版キャストとして、マーリンを木梨憲武が、ドリーを室井滋がそれぞれ担当した。加えて、新キャラクター、タコのハンクは上川隆也が吹き替えた。芸達者な三人のかけ合いは魅力的だったのだが、一方でかなり寒々しいキャスティングもあって…

吹替版の上映スクリーン数が多くなる海外アニメでは過去にも、タレントを吹替に起用する演出への是非が映画ファンの間でさかんに議論されてきた。今回はさまざまな論点に対する〈タレント起用肯定派〉と〈タレント起用否定派〉の意見をまとめてみた。 

論点その一【宣伝効果】

〈肯定派の意見〉

やっぱり映画は売れなきゃ意味がない!そのためにも大物芸能人を吹替キャストに起用することで、世間から注目を集めることができる。それに、PRイベントやメディア出演にも稼動してもらえるし、メリットは大きいよ。専業声優で、一般的にも名前が知られている人ってせいぜい34人とかじゃない?それじゃあ大がかりな宣伝効果は期待できないよね。

〈否定派の意見〉

確かにヒットするために人気タレントを起用する理由は分かる。だが、タレントの人気は水モノ。公開時は人気があってもDVDが出る頃には人気が急落している、なんてこともありえるだろう。一時的な人気にあやかってみたところで、時が経てばかなり「?」なキャスティングだったと、後ろ指さされることになったらどうするのか。 

論点その二【演技面】

〈肯定派の意見〉

専業声優の演技ってなんだか大げさで「いかにも声優が演技してます」って感じがするんだよね。それだったら、声優以外の人が演じていたほうがリアルに聞こえるよ。実写映画でキンキンのアニメ声で話されても違和感しかないしね。少しくらい吹替がぎこちない人のほうが画面に合っているよ。 

〈否定派の意見〉

それなら、専業声優に「リアルに演技してください」と演出すればいいだけの話だろう。演出部の定説で「オーバーアクトを抑え目にしてもらうことはできるが、その逆は難しい」という言葉を知っているか?演技の話をするなら、演技の基礎もできていないモデルや歌手やお笑い芸人を起用するのは廃止してくれ。

論点その三【ネタ面】

〈肯定派の意見〉

アニメだと、「この人がこのキャラを演じている!」ってこと自体がギャグになってることあるじゃない。怖い系の俳優が、あえて可愛いキャラの声をやっているとかさ。でも、その面白さって日本人には分からないよね?だったら日本人にとって面白いと思えるキャストをあてがったほうが、結果的にオリジナルのテイストに近づくんじゃないの?

〈否定派の意見〉

外国映画の中に、いきなり日本で流行のギャグや、日本人の名前が出てくるお寒さときたらない。作品の世界観をぶち壊しにしているだけじゃないか。説明の字幕を出すとか、オリジナルのネタを日本人にも共有させる方法はいくらでもあるはずだ。

論点その四【そもそも…】

〈肯定派の意見〉

そもそも、アニメ映画のオリジナルキャストだって、知名度優先で決められていることがあるわけだよね?何も日本に限った問題じゃないでしょ。世界中どこにいったって同じことやってるんだから、目くじら立てるほうがヤボだよ~。

〈否定派の意見〉

そもそものキャスティングのプロセスが間違いなのだ。オリジナルの悪い部分まで真似する必要があるのか?日本の声優育成システムは、世界的に見てもかなり発達しているんだから、それを利用しない手はないだろうに。

 

吹替システムそのものは悪ではなく、むしろ、子供の映画鑑賞や、3D映画などの特定条件では吹替版のほうが望ましいケースも存在する。しかし、それならオリジナルのクオリティーを害さないきちんとした演技をあててほしいと思ってしまうのも事実。これからもさまざまな作品で、タレント吹替問題は議論を巻き起こしそうだ。

Writer

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石塚 就一就一 石塚

京都在住、農業兼映画ライター。他、映画芸術誌、SPOTTED701誌などで執筆経験アリ。京都で映画のイベントに関わりつつ、執筆業と京野菜作りに勤しんでいます。

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