ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが分割、「ストリーミング&スタジオ部門」「ケーブルテレビ部門」の2企業が誕生へ

米ワーナー・ブラザース・ディスカバリーが、ストリーミング&スタジオ部門に特化した「WBDストリーミング&スタジオズ」と、従来のケーブルテレビ事業に特化した「WBDグローバル・ネットワークス」という2つの新企業に分割される計画であることがわかった。2025年6月9日、デヴィッド・ザスラフCEOが明らかにした。
2022年4月、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーは、AT&Tから売却されたワーナーメディアとディスカバリーの合併によって誕生した。業界でも屈指の巨大企業となったが、合併によって多額の負債を抱え、その後はつねにコストの問題と格闘してきたのだ。
発表によると、「WBDストリーミング&スタジオズ」にはワーナー・ブラザースの映画部門・テレビ部門・ゲーム部門のほか、HBO/HBO Max(Maxから再改称する)、DCスタジオなどが含まれ、引き続きザスラフがCEOを務める。「WBDグローバル・ネットワークス」はディスカバリーやCNN、TNT、カートゥーン・ネットワークなどが含まれ、現在の最高財務責任者(CFO)であるグンナー・ヴィーデンフェルス氏がCEOに就任する。
企業の分割は2026年半ばにも完了する予定。ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの現在の負債(約380億ドル)はケーブルテレビ事業のグローバル・ネットワークスが大半を引き継ぐという(ストリーミング&スタジオズにも一部は移管される)。
アナリストとのカンファレンスにて、ザスラフCEOは、これまでHBOの再編と国際的な拡大、コンテンツ以外のコスト50億ドルの削減、ワーナー・ブラザースの映画部門に対する厳格な規範の適用などに取り組んできたことを強調。ただし現在は、多数の人気番組によって視聴者をつかみ、業界へのインパクトも大きいMaxに重きを置いており、映画部門は「ごく小さな」事業であり、「ヒット作に依存した」ビジネスだと位置づけた。
この企業分割には、大きく見れば上昇気流に乗っているワーナー・ブラザースのスタジオ&ストリーミング部門を、時流ゆえ衰退傾向が続いているケーブルテレビ部門から切り離すことで、双方をより効率的に機能させる狙いがあるとみられる。ただし、スタジオ部門は単独で確実な利益を上げる必要性がより高まることも事実だ。
もっとも、新企業ふたつが今後しばらくは連携することになりそうだ。たとえば、スポーツ事業はグローバル・ネットワークスが引き継ぐが、配信展開はHBO Maxにて継続される。ただし両企業の方針しだいでは、今後まったくの別路線に進んでいく可能性もあるだろう。
ザスラフ氏は声明のなかで、「それぞれ独立し最適化された2つの企業として経営することで、おなじみのブランドに、変化を続ける現在のメディア環境でより効果的に競争するための、より明確な焦点と戦略的柔軟性を与えられる」とコメントした。なお分割の完了後、両社はM&Aを自由に行えるようにもなるという。
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Source: Variety(1, 2), Deadline