デンゼル・ワシントン「映画観ない」

ハリウッドに限らず、フィルムメイカーや俳優には、映画館の重要性を叫び、熱心に映画を鑑賞する人が多い。一方、名優デンゼル・ワシントンはちょっと異なるスタンスのようだ。
黒澤明の名作『天国と地獄』をスパイク・リー監督が再解釈したApple Original Films『天国と地獄 Highest 2 Lowest』の配信開始を前に、ワシントンとリー、本作のキャストと音楽を務めるラッパーのエイサップ・ロッキーが、GQにて対談。「この人の作品で惚れ惚れするようなカメラワークって何かあります?」とエイサップが尋ねると、ワシントンはスマートフォンに視線を落としたまま「私は映画を観ないんだよ」と返している。笑い出したエイサップとリーにつられて笑いながら「本当に観ないんだよ。ただ正直に言ってるだけ。映画、観ないですよ。観に行かない」とケロリと明かしている。
エイサップが「それって、自分が映画を作ってるからですか?」と訊くと「多分そうだね、もう映画に飽きちゃったんだ」とぶっちゃけるが、リーから「何本くらい作ってきたっけ?」と問われると「そりゃもうたくさん。50本あると思う」とワシントンは冷静に返した。
数々の名演で知られるレジェンド俳優のワシントンは、このところ、映画産業やハリウッドに対しては幾分ドライな発言が散見されている。過去に2度受賞したアカデミー賞に対しても「オスカーには興味ないです。“オスカー像をどこに保管しているんですか”って訊かれることがあるけど、“もう一つの像の隣かな”って答えてる」と執着のなさをつい先日も口にしていたところだ。
現代人には欠かせないSNSについても、「映画スターは使用を控えたほうがいい」と考え、THE RIVERでの単独取材でも「私はSNSには加わらない」と明言するほど、俳優としての主張を明確に掲げている。
この度の「映画を観ていない」「映画に飽きた」発言は、以前明かしていた俳優業引退への意向に関わるものかと勘繰ってしまうが、大人気シリーズ『イコライザー』の続編や、ロバート・パティンソンとの共演作、『ブラックパンサー3(仮題)』の企画など、ワシントンが携わるプロジェクトは今も多数ある。ファンとしては、1本でも多く、ワシントンの演技を見られたらと願うばかりだが、ワシントンの真意はいかに?
Apple Original Films『天国と地獄 Highest 2 Lowest』はApple TV+にて2025年9月5日(金)より配信開始。
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Source:GQ