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『ローグ・ワン』『ウォッチメン』『ディファイアンス』『ターミネーター4』映画4本から考える“真のヒーロー像”って?

映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、私もずっと前から楽しみにしていて、いそいそと公開初日に観に行きました。友人、知人たちは「とてもスピンオフとは思えない出来だ!」「泣けるスター・ウォーズは初めて!」「シリーズ最高傑作!」などと絶賛しています。何故、『ローグ・ワン』はこんなにも心の琴線に触れるのでしょうか? キラキラと瞬く星のように、フォースと共に散っていった沢山の命、その中に“真のヒーロー像”を見出したからなのでは……。

『ローグ・ワン』を観て、改めて“真のヒーロー像”というものをもっと深く掘り下げてみたくなりました。本記事では『ローグ・ワン』のほか、過去に公開された3作品を取り上げます。どれも良作ばかりなので、すでに鑑賞された方も一緒に分析していきましょう。ネタバレはしていません。

1.『ウォッチメン

『マン・オブ・スティール』『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』のザック・スナイダー監督が、映像化不可能といわれた同名グラフィック・ノベルを映画化したミステリー大作です。

ジョン・F・ケネディ暗殺事件、ベトナム戦争、キューバ危機など、世界で起きた数々の事件を見守ってきたヒーローたち“ウォッチメン”。しかし、かつてウォッチメンだった男の一人が暗殺される事態が発生して……。

登場する6人のヒーローは、特別なヒーローとしてではなく、それぞれが一人の人間として、過去に傷を持ち、恐れを抱きながら生きています。人は誰でも、自分の生い立ちや親の影響、過去の経験から自分なりの価値観を持っています。その価値観に沿って行動したウォッチメンの、その先にあるものとは何なのでしょうか?

ヒーローたちがつけるマスクやコスチュームは、彼らが人生という舞台へ上がり、“主人公”を演じるための“鎧”のようなものではないでしょうか。人は皆、仕事で人と接する時、恋人と会う時など、無意識に見えない鎧をまとって自分を演じているでしょう。それは、ある時には自分のモチベーションを上げる“道具”のようなものかもしれません。

真のヒーローとは、自分がヒーローである事をひけらかさず、自己陶酔にも浸らず、見返りを求めずに行動するものだと教わった作品です。『ダークナイト』のラストシーン、自ら罪をかぶって去って行ったバットマンの姿にも重なるものがありました。

ちなみに、時代設定に合った洋楽の使い方が、ずば抜けてセンスが良い映画です。残酷なシーンではナット・キング・コールのスローな曲が流れるなど、ミスマッチな選曲にもしびれます。

2.『ディファイアンス』

第二次世界大戦中、オスカー・シンドラーにも匹敵する約1,200人ものユダヤ人を救った、ユダヤ人のビエルスキ兄弟の「真実の物語」です。監督は『ラスト・サムライ』『ブラッド・ダイヤモンド』のエドワード・ズウィック。最近公開された『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の監督でもありますね。ビエルスキ3兄弟の長男、トゥヴィア役は私も大好きなダニエル・クレイグ。本作の渋い役どころを堪能してください。

弱っていた老人を背負う者、仲間のために自爆した者、ユダヤ人をかくまい、納屋で殺された者。

きっと、このような人々はほかにも沢山いたのでしょう。彼らの行動は一見報われなかったように思え、人は結果にこだわりますが、大切なのは“動機や過程”だということに気づきます。自分の命を犠牲にしてでも、家族や仲間を守ろうとした崇高な精神。もしかして真のヒーローとは、こういう人々のことを言うのかもしれません。

『シンドラーのリスト』のように、この作品も情感を噛み締めるようなヴァイオリンの繊細な音色に心を奪われます。絶妙なタイミングで流れ、短いフレーズで感情を代弁するかのようなジョシュア・ベル(ヴァイオリニスト)の演奏が素晴らしいのです!(『ラヴェンダーの咲く庭で』『レッド・バイオリン』では、ジプシー音楽や舞曲などの民族音楽でもその魅力を発揮しました) エンドロールのラストに響き渡るメインテーマでは、あまりの美しさに酔いしれてしまいます。

3.『ターミネーター4』

人類滅亡を意味する“審判の日”から10年後の2018年を舞台に、30代となったジョン・コナーが、人類軍の指導者として機械軍の支配する世界に立ち向かう物語です。監督は『チャーリーズ・エンジェル』『ラストミッション』のマックG。主人公ジョン・コナーを『ダークナイト』のクリスチャン・ベールが演じています。

本作で注目したいのは、『アバター』『タイタンの戦い』のサム・ワーシントンが演じているマーカス・ライト。ジョン・コナーと同じく主役級のキャラクターですが、彼はいったい何者なのでしょうか? 壊れたラジオを直すと、そこからはジョン・コナーの声。“必然的な巡り合わせ”と、彼の担っている重要な役割を予感させます。マーカスが、自分が何者であるかを知った時の苦しみ。それでも自分を信じて行動した彼の結末とは……。

Writer

プルーン
プルーン

ピアノ教師、美容研究家、ライターetc.

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