【特別企画】杉山すぴ豊さん✕THE RIVER編集長『アメコミ・ヒーロー大考察』徹底対談!

THE RIVER特別企画として、編集長Naoto Nakataniこと中谷と、日本を代表するアメコミ・ライター、杉山すぴ豊さんのスペシャル対談が実現しました。
杉山すぴ豊さんは、長年に渡って日本のアメコミカルチャーを牽引する第一人者で、アメコミを始めとする海外ポップカルチャーの楽しさについて多方面で精力的に発信されています。著者として名を連ねている『アメコミフロントライン』も絶賛発売中。
この対談では、近年脚光を浴びているアメコミ映画の“楽しさ”や、そこで描かれているスーパーヒーローたちの“正義”、マーベル最新作『ドクター・ストレンジ』の魅力や、アメコミ・ヒーローたちにまつわる様々な考察やエピソードをお話させていただきました。どうぞたっぷりとお楽しみ下さい。


アメコミ・ヒーローの“正義感”

杉山氏:アメコミって『忠臣蔵』や『三国志』のように話は決まっていて、時代ごとにその解釈を変えていくんですよね。
バットマンも、両親を殺されて復讐のためにコウモリになるという、あのプロットだけは変わってない。それをどう解釈していくかですよね。

中谷:そうですね。ポップカルチャーって時代と密接に関係していて、こういう時代だからこういうヒーローが求められていた、という見方が出来るのも面白いですね。

杉山氏:映画って2、3年かけて作られるから、偶然だとは思うんですけど、2008年、リーマンショックがあってオバマが大統領になった年に『アイアンマン』と『ダークナイト』が公開されて。”社長ヒーロー”のイメージですよね。企業が世界を危機にしている時に社長ヒーローが二人出てきた(笑)。
あの時、“アメリカ人の本音”と“映画”が合致しているような感じがありましたね。2015年の『スターウォーズ/フォースの覚醒』も、ダイバーシティ(多様性)が求められる時代に、黒人(フィン)と女性(レイ)を主人公にしていました。

中谷:作品と時代精神を照らし合わせていって、今後はどうなっていくのかと考えるのが楽しいですね。

杉山氏:マーベルもDCも、女性ヒーローが登場したり、ダイバーシティが広がると思いますね。ブラック・パンサーも黒人のヒーローの話ですし。アメコミがどんどんダイバーシティに応じていく中での女性大統領、というのも見てみたかったんですが(笑)。

※この対談が行われた11月9日夜は、ちょうどアメリカ大統領選挙でドナルド・トランプが勝利した直後だった。

中谷:ヒーローたちはトランプに反発すると思いますか?

杉山氏:そうですねー、コミック自体がカウンターカルチャーみたいなところがありますからね。
トランプさんも、マグニートーじゃないけど、彼なりにアメリカのことや世界平和を考えているわけで。彼が「戦争をしたい人間なんていない」みたいなこと語ってましたけど、そこは信じたい(笑)。

中谷:最近のアメコミ映画のトピックでもある、正義の立場の話ですね。

杉山氏:?アメコミの邦訳をずっと手がけてらっしゃる石川裕人さんが仰っていたんですが、アメコミヒーローって正義と真実のアイコンであることは永遠に変わらない。その時代時代で、正義と真実の在り方が違うんですよね。

僕が好きな『スーパーマン』のエピソードに、スーパーマンがクリスマスに世界の飢餓を救おうとして、余っている食材を配るというのがあるんです。でも結局うまくいかなくて、最後にスーパーマンが「世界の飢餓を救うには一人の超人が張り切っても駄目で、みんなが力を合わせないと駄目なんだ」みたいなことを言う。でも、これがすごくいい話で。スーパーマンにとっての正義は、昔はナチスと闘うことだった。でも時代が変わると彼の正義も変わるんですよね。

中谷:ヒーローたちの“正義の在り方”にも色々ありますよね。マイケル・サンデルの『これからの正義の話をしよう』という本によれば、正義には3パターンあるらしいんです。

ひとつ目が功利主義、世の中全体の幸福を追求する正義です。ふたつ目が自由主義、自分の幸福や自由を追求する正義。で、みっつ目が道徳とか美徳の正義、人間が持って生まれた理性から善悪を判断しよう、というものなんですね。
ひとつ目とふたつ目って、善悪の判別がしやすいと思うんですけど、みっつ目の道徳って立場によって変わるじゃないですか。その道徳による善悪を公平に判断できる機会を作ること、それ自体が正義だ、みたいな話なんですけど。

杉山氏:なるほど。

中谷:これをアメコミのヒーローに当てはめてみると、たとえばスパイダーマンやアイアンマンのような、いわゆるヴィジランティ(自警団)的な活動をしているヒーローは功利主義だと思うんですよ。ニューヨーク市民のために戦うんだ、とか。でもそれってピーター・パーカーやトニー・スターク個人の犠牲の上に成り立っている。

それに対して、自分のルールで活動する自由主義のヒーローがいて。バットマンもここかもしれない。映画『スーサイド・スクワッド』や『デッドプール』あたりはこのカテゴリですね。「救う、救わないは俺の自由だ」みたいな。

みっつ目の“道徳の戦い”をやったのが、映画『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』や『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で、立場によって違う“正義”同士を戦わせていましたね。

マーベルとDCの映画は“正義の在り方”を一通り描いているので、この後どうなるのかなぁと楽しみにしています。

杉山氏:そうですね。マーベルが出てきた1960年代はケネディ大統領の時代で、アメリカが国民に何かをするんじゃなくて、「国民はアメリカに何が出来るのか」という精神が問われていたみたいなんですよ。アメコミってスーパーパワーのことを“ギフト”って言うじゃないですか。それを授かったものは、相応のことをするべきという価値観ですけど。
「大いなる力には大いなる責任が伴う」じゃないですけど、何か秀でた力があるなら、世のために活かしなさい、という正義観がアメコミの根底にはあると思うんですね。

中谷:そうですね。

「世の中の正義と悪が複雑になってきている」

杉山氏:たとえば初代仮面ライダーって、「人間の自由のためにショッカーと戦う」っていうテーマですけど、初期の段階では、それが「正義のためにショッカーと戦う」だった。でも当時の脚本家の市川森一さんから「“正義のため”という名目でどれだけ人は酷いことをしてきたんだ」という意見が挙がったそうなんですね。だから“人間の自由のため”になった。

一人ひとりの人間が幸せに生きようとするのを邪魔することが一番許されない、だからその自由を守るためにショッカーと戦う。またショッカーっていう組織も、世界を継続させるにはある程度の統制が必要だと思っている。あの人たちなりの正義があるんですね。

この考えってキャプテン・アメリカにも通じますよね。映画『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』もそんな正義がテーマだったし、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のウルトロンだって、トニー・スタークは良かれと思って作ったわけですしね(笑)。

中谷:マーベルは、そういうテーマを誰もが楽しめるエンターテインメント作品に仕上げるのが上手ですね。観客も一通り正義や悪の映画を観てきているので、副次的なテーマの重要性も増してきてると思います。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』も宗教的な要素が含まれていましたね。

杉山氏:世の中の正義と悪が複雑になってきている、というのもあると思います。単純に特定の団体が悪いとかいう訳でもないですし、価値観のダイバーシティが広がっていくんでしょうね。だから『アベンジャーズ』は、絶対的な悪である宇宙人を出したりする。

中谷:地球人全員にとっての敵ですからね。いかなる理由があろうとも、俺たちの地球を侵略するやつは悪だ、と。それから、“どちらも悪ではない”という映画『シビル・ウォー』が出てきて。

杉山氏:『シビル・ウォー』って本当によく出来ていて、もちろんある種の陰謀によってああいう戦いが起こったわけですけど、“どっちが良い・悪い”ということが無いのがすごいですよね。自分だったらソコヴィア協定にサインするだろうな、とか考えられますよね。

ちなみに、『シビル・ウォー』でなぜトニー・スタークがスパイダーマンをスカウトしたかというと、トニー・スタークは誰も傷つけたくなかったから、相手を糸で縛るだけのヒーローが欲しかったんですよ。

中谷:へぇー!トニーもかなり手加減して戦っているように見えましたしね。

最新作『ドクター・ストレンジ』について

中谷:「相手を傷つけたくない」というところでいくと、トニー・スタークはけっこうドクター・ストレンジと気が合いそう。

杉山氏:ドクター・ストレンジも、医者ゆえに敵を傷つけたくない、というキャラクターですね。

中谷:ちなみに杉山さんは『ドクター・ストレンジ』をご覧になった感想は?(以下ネタバレ無し)

杉山氏:すごく良かったです!他のヒーローものとは違う映画を作ろうというのが感じられました。たとえばバトルシーンなら、やられ雑魚キャラが沢山出てきて、それをやっつける、みたいな見せ方もできたと思うんですけど、それだと『アベンジャーズ』と変わんないし。まさか、ああいう戦い方をするとは思わなかったので驚かされました。

中谷:今までヒーローたちはいろんな戦い方をしていて。ニューヨーク崩壊とか、『アントマン』の量子世界での戦いとか、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の「そういう終わらせ方をするのか」という戦いとか。『ドクター・ストレンジ』でも強大なヴィランが出てきて、この戦いをどうやって時間内で終わらせるのかな、と思って観てたんですけど、「こういう戦い方で締めるのか、なるほどな」とすごく納得しましたね。

杉山氏:マーベルのそういう魅せ方はすごいですよね。『アベンジャーズ』ではニューヨークでの壮大な戦いを見せておいて、『アントマン』では子供部屋での戦いであれだけ盛り上げる。天才だと思いましたね(笑)。

中谷:スケールの問題じゃないんですよね(笑)。どれだけ面白いアイデアで見せるかという。
ところで、『ドクター・ストレンジ』の“マルチバース”の概念ってマーベル・シネマティック・ユニバースにどんな変化をもたらすんでしょう?

杉山氏:どうなんでしょうね。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の宇宙と『アベンジャーズ』の地球を繋げるのはストレンジしかいないのかなと思います。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の宇宙と、アスガルド(『マイティ・ソー』)の宇宙がどう繋がるのかも見ものですよね。

『ウィンター・ソルジャー』の凄さ

中谷:マーベル・シネマティック・ユニバースで、杉山さんが一番お気に入りの作品はなんですか?

杉山氏:映画的に一番良かったのはやっぱり『ウィンター・ソルジャー』じゃないかな。あの脚本には凄いところが2つあるんですよ。まずはキャプテン・アメリカというキャラクターの設定じゃないとできないところ。「アメリカを信じていたのに」っていう。それから時代を先取りしていた点ですね。個人情報で人を殺すわけですよ。

ハリウッドって、新しいテクノロジーが登場すると必ずその逆サイドを描くんです。電気が発明されると『フランケンシュタイン』が作られて、グローバルになったらゾンビのパンデミックみたいなのが起きて、遺伝子工学が進むと『ジュラシック・パーク』、コンピューターが進歩すると『ターミネーター』が出てくるんですよね。

中谷:最近だと人工知能とかがトピックですね。

杉山氏:その流れで、個人情報やビッグデータが進んでいくとああなるんだな、というお話が『ウィンター・ソルジャー』ですよね。原子力時代にゴジラが産まれたのと同じですよ。

中谷:時代によって“恐怖”の在り方も変わりますね。

今の時代、空飛ぶ人間が現れたら、みんな能天気に喜ばないでしょう」

杉山氏:去年(2015年)のハロウィンに、ティム・バートン版バットマンのコスプレをしてる人と、『ダークナイト』版バットマンのコスプレをしてる人がいて。どっちもカッコよかったんですけど、でもティム・バートンのバットマンって、マスクとケープが繋がってるんで、敵が後ろから来たら体ごと振り向かないといけないんですよ。ただ被写体にすると、ティム・バートン版の方がカッコ良くて。

つまりティム・バートンって、リアリティより画的にカッコいいかどうかを重視するんです。彼にとってゴッサム・シティは芸術的箱庭で、どうすれば一番カッコよく見えるかを考えてる。何かのインタビューで答えてたんですけど、犯罪と戦うと決めた男がコウモリの恰好をするのは、イカレてる以外の何者でもないと(笑)。

中谷:確かに(笑)。

杉山氏:だから一番イカれてるように見えるマイケル・キートンをキャスティングしたくらい。ティム・バートンは、バットマンをヒーローというより狂人として見ているのかも(笑)。

中谷:クリストファー・ノーランのバットスーツはマスクとケープが離れていて、より実用的でリアリティあるデザインですね。

杉山氏:『スーパーマン』だと、僕はクリストファー・リーヴ主演のシリーズ(1978~1987)の方が活劇らしくて好みなんですが、『マン・オブ・スティール』でスーパーマンを演じたヘンリー・カヴィルは、インタビューで「もしも本当にスーパーマンが現れたら、今の世の中はどう反応するか、というリアリティをザック・スナイダー監督と追求した」と話していて、その答えが作品に現れている。今の時代、空飛ぶ人間が現れたら、みんな能天気に喜ばないでしょう(笑)。

中谷:『バットマン vs スーパーマン』では脅威として描かれていましたね。僕が『バットマン vs スーパーマン』で一番印象的だったのは、コペルニクスの地動説やダーウィンの進化論になぞらえて、「スーパーマンの登場によって人類は特別ではないとわかった」と語られるシーン。今の時代だとスーパーマンってそういう見方をされるのかと、ハッとさせられました。

杉山氏:コミックでは、スーパーマンがゴッサム・シティに来た時に、バットマンが言うんですよ。「ゴッサムの治安を守ることと、地球の平和を守ることは意味が違うんだ。同じ正義で語るな」って。それも深いなぁって思いますね。

中谷:各々が正義を持つっていうのは、それは悲劇なんでしょうか?

杉山氏:ある意味、そうかもしれないですね。むしろデッドプールのような、私的な正義で生きている人の方が罪はないですよね。『デッドプール』って、ああ見えて結構正統派な話でした。

中谷:そうでしたね。恋人のための復讐っていう、分かりやすい話でした。

杉山氏:『スーサイド・スクワッド』は、アマンダ・ウォーラーが1番EVILでしたって話で。バットマンも子どもの前でデッドショット捕まえちゃう?あんた容赦ないね、みたいな(笑)。

中谷:もうちょっとやり方あるだろう、って(笑)。でもあのシーンがうまいなと思ったのは、そうやってバットマンの情け容赦の無さを見せて、ヴィランであるデッドショットに同情させていくこと。あのバットマンの登場の仕方!後ろからマントをバサバサバサってしながら降りてきて。初めてバットマンを「怖い」と思いましたね。

杉山氏:ええ、「実はコイツって危険だよな」っていう描き方が良かったですよね。

飲み会に呼びたいヒーロー?

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杉山氏:バットマンって…、飲み会とかで「誰か呼ぼうぜ」と言って呼ぶと、すごい場が暗くなるんですよ。

中谷:(笑)

杉山氏:なんか気使うし。スーパーマンはさ、「飲む?」って誘ったって飲まない。スパイダーマンは来てくれたら楽しそうだよね。「ちょっと糸出してみて」って頼んだらやってくれそうじゃない?

中谷:あぁ?(笑)。僕、ソー呼びたいです。

杉山氏:ソーも楽しそうですね。アイアンマンは来てくれるかもしれないけど、女の子口説いて連れて帰っちゃうかも(笑)。

中谷:間違いない(笑)。スティーブ・ロジャースとかどうでしょう。たぶん、つまんないかなぁ(笑)。

杉山氏:つまんないですよね。ジョークが通じないっていう。「どうなのお前んとこ、トランプになってさぁ」なんて聞いたら、真面目に語り始めたりして(笑)。ブラック・ウィドウは愛想笑いで話合わせてくれそう。

中谷:ブルース・バナー博士は部屋の端っこでオロオロしてそう。

杉山氏:ホークアイはなんかやってくれそうだよね。

中谷:なんか、ずっと一人で気取ってカッコつけてそう(笑)。

杉山氏:ロキはお店に文句言いだしそうな感じ。DCのヒーローで飲み会に呼んで楽しそうなのはフラッシュぐらいなもんで(笑)。

スーパーヒーローものにおける“リアリティ”

中谷:そのあたりって、キャラクターの描き方の違いが見られて面白いですね。DCは超人や科学がモチーフだったり、人智を超越したヒーローが多い。もちろん全てがそうではないですけど。そこに「ヒーローも悩むんだよ」というコンセプトのスパイダーマンを描いたスタン・リーが出てきて。

杉山氏:スパイダーマンはクモに噛まれただけでヒーローになっちゃいましたからね。もちろん、おじさんがああいう事になっちゃう苦悩はあるわけですけど。

中谷:だから、スパイダーマンは等身大のヒーローとはいえ、僕たちはスパイダーマンにはなれない。トニー・スタークにもやっぱりなれない。その点、ドクター・ストレンジは修行によってヒーローになるのが新鮮でしたね。

杉山氏:マーベルの視点では珍しいかもしれないですね。キャプテン・アメリカはライザップみたいなことを1日でやっちゃったみたいな話で(笑)、X-MENに至ってはもともと遺伝子がそうでしたっていう設定ですから。でも結局、超人になるのに“心構え”があったか、っていうのがポイントですね。

中谷:なるほど!

杉山氏:いきなり投資家が来て、明日からこの会社の社長やって、って言われちゃったみたいな(笑)。

中谷:心構えがあってヒーローになった者と、心構えがないままいきなりヒーローになった者の対比も面白そうです。

杉山氏:クリストファー・リーヴ版の映画『スーパーマン』の脚本を書いたのって、『ゴッドファーザー』の脚本も書いてるマリオ・プーゾという方なんですけど、彼は「バットマンは両親が殺されているから、悪と戦う理由が明白だ」って言ってたんですよ。

でもスーパーマンって、あのまま悪人になってもおかしくない。「なぜこの人が正義に目覚めたのか」を描くのがすごく難しかったんですって。だから農夫に育てられる話を延々描くんですよ。何かの使命があって地球に来たというプロセスを丁寧に描く必要がある。

なぜスーパーパワーを正義に活かそうと思ったんですか、というリアリティがスーパーヒーローものにはすごく大切。「恵まれた才能を善いことに使いましょう」っていうところにひとつのドラマがあるんですよね。

中谷:マーベルとDC、それぞれのアプローチでリアリティを描いていますね。

杉山氏:マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが、映画づくりで大切なポイントとして、「コスチュームを脱いでるときの人間ドラマが面白いこと」と、「絶対に笑えるシーンを入れること」を挙げてたんですけど、それは大事ですね。

中谷:観ているときの“居心地の良さ”ですかね。ヒーローが身近で、彼らも自分たちと変わらないんだ、っていう。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の「この扉を開いたら、君もアベンジャーズだ」っていうシーンは、「おぉぉ!」ってなりましたね。あのセリフは完全に観客に向けられていて、誰でもヒーローになれるんだよ、というメッセージだったと思います。

杉山氏:『アベンジャーズ』って、まず宇宙人が英語を喋ってるっていうメチャクチャなところから始まるわけです。ただ、初めてヒーロー同士が集まった時のイザコザがすごくリアルで。社内横断プロジェクトってあんな感じですよ(笑)。
だから、リアリティってそういうことなんです。宇宙人が英語喋ってる、とかそういうリアリティじゃなくて。

中谷:人間関係のリアリティがめちゃくちゃ面白いですよね。『エイジ・オブ・ウルトロン』のパーティーのシーンで、ソーのハンマーを持ち上げようとする下りなんて最高でしたね。本当に彼らがいたら、ああいう事やるだろうなっていう(笑)。

杉山氏:そうそう。そのあとヴィジョンがハンマーを普通に持ち上げる伏線にもなっていて、あれは良かったですよね。

中谷:ヒーロー同士がワチャワチャやってるの、良いですよね。『シビル・ウォー』にいなかったソーとハルクが、実はまったりやってたとか。

杉山氏ドラマのリアリティってそういうところですよね。『シン・ゴジラ』でも、対策委員会の人達がおにぎり食べてるとか、ああいうの良いですよね。

中谷:我々の世界と地続きにある、というリアリティを感じられるのが大事なんでしょうね。

次ページ(2/2):
杉山氏の語る「アメコミの素晴らしさ」

About the author

インド旅行中、たまたま現地新聞に写真を撮られて掲載されるというミラクルを起こしました。持ってる男。THE RIVER編集長。ライター、メディアの運営や映画などのプロモーション企画を行っています。

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