『ゴジラvsコング』続編どうなる、モンスターバース新作『Son of Kong(仮)』を占う

映画『ゴジラvsコング』は、ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』シリーズと『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)がクロスオーバーする「モンスターバース」(モンスター・ヴァース)の集大成だ。これを経て、製作のレジェンダリー・ピクチャーズは、タイトル未定の次回作に着手しているという。世紀の決闘を経て、ハリウッドで蘇った怪獣映画の今後はどうなるのか。
『GODZILLA ゴジラ』(2014)から『ゴジラvsコング』までモンスターバースの4作品を手がけたプロデューサーのアレックス・ガルシア氏、そして『シン・ゴジラ』(2016)監督の樋口真嗣氏は、以前から東宝とレジェンダリーの契約が『ゴジラvsコング』をもって終了することを明かしてきた。2021年4月、米The Hollywood Reporterも「東宝がレジェンダリーとのパートナーシップを継続するかは分からない。東宝も独自のゴジラ・シネマティック・ユニバースを検討しているのだ」と報じている。ならば争点は、ゴジラの再登場が叶うかどうか、ということになろう。
モンスターバース次回作『Son of Kong(仮)』とは
まずは、現時点でモンスターバースの次回作として報じられている内容を簡単にまとめておこう。既報によると、レジェンダリーはモンスターバースを「1作、あるいはそれ以上」拡大するために新作企画に着手しているという。タイトル候補とされているのは『Son of Kong』で、日本語で「コングの息子」の意。モンスター同士の対決を描く作品として、『ゴジラvsコング』のアダム・ウィンガード監督が交渉の初期段階にあると伝えられた。

時を遡って、『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が撮影されていた2017年のこと。プロデューサーのガルシア氏は、当時「モンスターバース」の将来が未知数であることを認め、「映画が大成功すれば(継続の)希望はある」と口にしていた。それから4年後の2021年、『ゴジラvsコング』のウィンガード監督も「ファンがもっと観たがっているのなら終わらせる理由はないと思う」と話している。米Colliderの取材では、「モンスターバースは分岐点にあります。新作を観たいかどうか、観客が意志を表明すべき時だと思う」とも語ったのだ。
結果的に、新作始動の報道は、こうした一連の発言を裏付けるものとなった。『ゴジラvsコング』がアメリカなど各国で大ヒットを収めたのち、ファンの間ではモンスターバースの続編を求める動きが生じ、Twitterではハッシュタグ「#ContinueTheMonsterVerse(#モンスターバースを継続して)」がトレンド入りを果たしている。その後、さほど間隔を空けることなく、『Son of Kong(仮)』の報道が飛び込んできた。
このタイトルから鑑みるに、おそらく次回作の主役はゴジラではなくコングの側、すなわち『キングコング:髑髏島の巨神』の流れを汲む作品となりそうだ。しかし、ゴジラの再登場がありえないわけではない。モンスターバースの全作品に携わった脚本家のマックス・ボレンスタインは、『ゴジラvsコング』の公開にあたり「僕たちは『アベンジャーズ』のように二体の怪獣が出会う場所を目指しました。今後、再結集する映画がないとは言えません」と話したのである。
「新作のアイデアはある」
さらなる課題と目されるのは、『ゴジラvsコング』そして『Son of Kong(仮)』を経たあとのモンスターバースだ。『ゴジラvsコング』の米国公開後、レジェンダリーのジョシュア・グロードCEOは「新作映画のアイデアはいくつかあります」と述べている。わざわざ“いくつか”と言っているあたり、水面下で構想されている企画はひとつどころではないのだろう。
もうひとりのキーパーソンは、『ゴジラvsコング』をヒットに導き、モンスターバースの未来を紡いだウィンガード監督だ。同じく『ゴジラvsコング』の公開時、監督は「次回作も撮りたいと思いますか?」との質問に「もちろん撮り続けたいですよ」と答えた。目をつけているのは、自らが導入した“地球の空洞(Hollow Earth)”という発想。読んで字の如く、“地球空洞説”に基づくアイデアだ。
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