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『ゴジラvsコング』モンスターバース徹底解説 ─ 『GODZILLA ゴジラ』シリーズ&『キングコング:髑髏島の巨神』総復習で対決に備えよ

ゴジラvsコング
© 2021WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. & LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.

ゴジラとキングコング、日米の二大怪獣がいよいよ大スクリーンで激突する。映画ゴジラvsコングは、ハリウッド版『GODZILLA ゴジラ』シリーズと『キングコング 髑髏島の巨神』(2017)からなる「モンスターバース」の集大成だ。日本のファンが待ち望んだ決戦の上陸にあたり、ワーナー・ブラザース&レジェンダリー・ピクチャーズによる、この映画史上まれに見る挑戦を紐解いてみることにしよう。

モンスターバース/モンスター・ヴァース

「モンスターバース」(モンスター・ヴァースとも表記される)について解説していく前に、まずは「“バース”とは何ぞや」というところから話を始めなければならない。ハリウッドでは『アベンジャーズ』(2012)の大ヒットによる「マーベル・シネマティック・ユニバース」の成功以来、いくつもの映画が同じ世界観を共有する“ユニバース”の構想が散見されるようになった。「モンスターバース」もそのうちのひとつである。

『アベンジャーズ』を経て登場したユニバースのうち、代表的なものは『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』(2016)などDCコミックスに基づく「DC映画ユニバース」、ジェームズ・ワン監督が仕掛ける『死霊館』ユニバース、『ハリー・ポッター』シリーズの世界観を拡張する「魔法ワールド」、そしてドラマ「ウォーキング・デッド」ユニバースなど。それぞれのユニバースには、独自の世界観やシリーズ構想などの特徴がある。

「モンスターバース」の場合、その名の通り、“モンスター”を中心としていることが特徴だ。東宝・ワーナー・レジェンダリーが協働し、さまざまな怪獣やモンスターが共存する作品群を構築している。ただし、3社は当初からユニバース化を告知していたわけではなく、最初は個々の企画として発表されていた。2010年に第1作『GODZILLA ゴジラ』の企画がスタートし、2014年に第2作『キングコング:髑髏島の巨神』が始動。翌2015年、『ゴジラvsコング』の製作が決定してユニバース計画が告知されている。ちなみに「モンスターバース」という名称が発表されたのは2017年1月のことだ。

『GODZILLA ゴジラ』(2014)

GODZILLA ゴジラ
© 2014 Warner Bros. Entertainment Inc., Legendary and Ratpac-Dune Entertainment LLC. All Rights Reserved.

記念すべき「モンスターバース」の第1作は、ローランド・エメリッヒ監督『GODZILLA』(1998)以来、実に16年ぶりのハリウッド版となった『GODZILLA ゴジラ』。あくまでもハリウッドの超大作として、東宝によるシリーズ第1弾『ゴジラ』(1954)に敬意を払いながら“ゴジラ”という怪獣を再解釈してみせた。

1999年、日本の原子力発電所で謎めいた地震が発生した。核物理学者のジョー・ブロディは真相をつかもうとするが、その矢先に大地震が起こり、発電所は倒壊する。15年後の2014年、ジョーの息子であるフォードは軍人として世界中を飛び回る日々を送っていた。しかしある日、疎遠になっていた父が日本で逮捕されたことを知る。身柄を引き取るべく日本を訪れたフォードに、ジョーは「政府は何かを隠している、発電所には何かがある」と語った。かつての事故現場である原子力発電所には正体不明の巨大な物体が出現しており、施設を管理する特務機関モナーク(MONARCH)の芹沢猪四郎博士は、真相に近づきつつあったジョーの主張に耳を傾ける。しかしその時、15年前と同じように大地震が襲いかかり……。

監督は『モンスターズ/地球外生命体』(2010)のギャレス・エドワーズ。長編第2作にしてスタジオ製作の大作映画、しかも『ゴジラ』のリメイクという大抜擢となった。ドキュメンタリーにも近い作風で人間目線の物語を描くことへのこだわり、一方で怪獣同士の戦闘を絶妙に“見せない”演出を採用するなど、東宝版『ゴジラ』シリーズとは大きく異なるアプローチで新たなゴジラ映画の形を提案した。ギャレスはこの作品を経て『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016)を手がけている。

登場する怪獣はゴジラ、ムートー(M.U.T.O.)。出演者にはアーロン・テイラー=ジョンソン、渡辺謙、エリザベス・オルセン、ジュリエット・ビノシュ、サリー・ホーキンス、デヴィッド・ストラザーン、ブライアン・クランストンら。

Writer

稲垣 貴俊
稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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