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【ネタバレ】なぜ「ワンダヴィジョン」は『アベンジャーズ/エンドゲーム』の名シーンを描き直したのか

ワンダヴィジョン
『ワンダヴィジョン』 ディズニープラスで配信中 (c) 2021 Marvel

この記事には、ドラマ「ワンダヴィジョン」第4話「番組を中断します」のネタバレが含まれています。まだ本編をご覧になっていない方は、必ずご視聴後にお楽しみください。
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© 2021 Marvel

「指パッチン」からの復活

「ワンダヴィジョン」の“シットコム”という構造はいかにも緻密だ。MCUの世界観でワンダ・マキシモフ(エリザベス・オルセン)とヴィジョン(ポール・ベタニー)が繰り広げる幸せな結婚生活は、まさしく劇中で文字通り「放送されている」のである。むろん、そのシットコムには外側の世界があった。第4話「番組を中断します」は、タイトルが示しているように、いったん“番組を中断”し、外側の世界で何が起きたのかを描いたエピソードだ。

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第4話の冒頭は、病院の一室でモニカ・ランボー(テヨナ・パリス)が塵から形を取り戻す場面で始まる。『キャプテン・マーベル』(2019)の幼い日の言葉が回想される中、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)のラストでサノスの“指パッチン”によって塵と消えてしまっていたらしいモニカが目覚めるのだ。消えてしまった人々が突如として戻ってきたことで、病院は混乱を極めている。あろうことか、モニカの母親マリアは自分が消えている間にこの世を去っていた……。

脚本・製作総指揮のジャック・シェイファーは、米IGNにて「第4話のようなエピソードはずっと構想していた」と語っている。それはすなわち、シェイファー自身の言葉を借りれば「それまでの展開から外側に踏み出して、新たな文脈を提供する」ことを狙った展開だ。

「まずは、“そもそもMCUのタイムラインのどこにいるのか?”という問いに答えなくてはいけません。次に、新しいトーンを大胆に設定することも重要でした。人々が戻ってくる瞬間にいきなり放り込めば、そういったことをうまく成立させられると思ったんです。シーンの設定は病院が良いだろうと。」

しかし、シリーズや物語の構造を示すこと以上に重要視されたのが、ほかでもないモニカ・ランボーの存在だった。「最も優先順位が高かったのは、モニカというキャラクターを確立することだった」とシェイファーは言う。「モニカにとって重大な局面や、彼女のトラウマを描けば、彼女がどんな人間なのか、そして何に向き合っているのかがすぐに分かると思いました」

『キャプテン・マーベル』からしばらくの年月を経て、モニカは大人になり、S.W.O.R.D.(知覚兵器観察対応局)のエージェントとなっている。シェイファーによると、「モニカは特別な視点を持つ、非常に特別なキャラクター」。過去に登場したヒーローたちよりも、ともすれば「宇宙の真実をたくさん知っている」というのだ。「(モニカは)自分たちとは別の存在、別の世界があることを認識しながら生きてきたわけで、それが大きな共感能力や、あらゆる衝突を予測する能力に繋がっているわけです」

既報の通り、「ワンダヴィジョン」では『キャプテン・マーベル』以降のモニカについても描かれる模様。また、2022年公開『キャプテン・マーベル2(仮題)』では、モニカとキャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァース(ブリー・ラーソン)が再会し、ドラマ「ミズ・マーベル(原題:Ms.Marvel)」からミズ・マーベル/カマラ・カーン(イマン・ヴェラーニ)も登場する。すなわち、こうしている間にも、次なる展開への布石は着々と用意されているのだ。

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Sources: IGN, Comicbook.com

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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