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『スパイダーマン』ウィレム・デフォー、ヒーロー映画への希望語る ─ 『アクアマン』には複雑な心境、契約時の脚本使われず

『永遠の門 ゴッホの見た未来』ジャパンプレミア 舞台挨拶
© THE RIVER

『スパイダーマン』3部作のグリーン・ゴブリン役、『アクアマン』(2018)のバルコ役を演じてきた名優ウィレム・デフォーが、いまや隆盛を極めているスーパーヒーロー映画への希望を語った。

米国のイベントに登場したウィレムは、マーティン・スコセッシをはじめとする巨匠監督たちが、ヒーロー映画や大作映画に厳しいコメントを投げかけている現状について尋ねられ、自身の出演経験を振り返っている。

「(ヒーロー映画には)僕もいくつか出ましたし、楽しかったですよ。僕が幸運に思っているのは、それらが(作り手の)パーソナルな映画だったこと。『スパイダーマン』(2002)がすごく楽しかったのは、サム・ライミ(監督)が、ちょっとしたインディペンデント映画のように作っていたから。それに、当時はまだ技術が十分に整っていなかったし、コミック映画も比較的新しかったので、それがエキサイティングだったんです。決まった型もなかったし、エキスパートがたくさんいたわけでもなかったし。」

一方、ウィレムは『アクアマン』には複雑な心境を隠していない。「『アクアマン』はどんなアプローチだったんでしょうか?」との質問に、「楽しいことはいくつもありましたよ。たくさん機械があって、ものすごいクレーン撮影があったりして」と答えつつ、こうも述べたのである。

「楽しいですが、度を越していることもありますよね。派手なアクションシーンを撮るためにすごい予算をかけていて、だからアクションはきちんとしています。僕は長すぎる、騒がしすぎると思うんですが……この話はやめましょう(笑)。恩を仇で返したいわけじゃないし。だけど、そうですね、そういう映画を進んでやりたいわけではないんです。」

もともとウィレムが『アクアマン』に出演したのは、監督のジェームズ・ワンが決め手だったという。「彼は良いフィルムメーカーですよ。こういう大作も撮れるし、俳優とも話し合いができて、素晴らしいですね」。もっとも、ウィレムが出演契約を結んだ脚本は、実際に完成した作品とは異なるものだったそう。詳細は語らずとも、ウィレムは「僕たちが契約した脚本は映画になりませんでした」と語っている。契約後に脚本が大幅改稿されたのか、編集段階でストーリーが変更されたのかは分からない。

このイベントで、ウィレムは「大作映画を育てる何かが必要。(大作映画には)大きな変化が必要だし、限界を押し広げる人材が必要です。そうすれば前進することができます」とも語っている。

「なぜなら、彼らは現在成長しているビジネスではありませんから。彼らはビジネスそのものです。たくさんの資源があるから、良いものを作ることはできる。素晴らしいものを作って、世界中で成功させることができる。あれほど規模の大きいものを作れる国は本当に少ないですからね。それに彼らは、ジョセフ・キャンベル(神話学者)のようなものを取り入れてコミック映画を作っています。現代の神々なんですよ。」

ちなみにウィレムは、ここまで語ってから、「だけど僕は実際、こういうことを言えるほど賢くないから」と笑っている。コミックを“現代の古典”として扱う見方は『ジョーカー』(2019)のトッド・フィリップス監督にも一致するもの。フィリップス監督はコミックを「現代のシェイクスピア」と形容したのだ。果たして今後、ウィレムが『スパイダーマン』『アクアマン』に続いてヒーロー映画に登場することはあるのだろうか。可能性があるとすれば、それは『アクアマン』のワン監督のように“誰が撮るか”ということなのかもしれない。

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Source: Cinema Blend

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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