ウディ・アレンの自伝、刊行再決定 ─ 新出版社、抗議経て「尊敬されるアーティストに声を与える」意向示す

出版が中止されていた名匠ウディ・アレンの自伝『A Propos of Nothing』が、新しい出版社を通して出版されることがわかった。米Varietyが報じている。
本書は、私生活から仕事までアレンの人生を包括した回顧録として、2020年3月2日に出版が発表されていた。ところが発表以降、過去にアレンからの性的虐待を告発した養女ディラン・ファローや、ディランの弟でジャーナリストのローナン・ファローら身内が、出版に異議を唱えるなど、反発の声が各所で勃発。さらには、出版元の米Hachette Book Group(HBG)の従業員ほか、多くの人々が同社のニューヨークオフィス前にて抗議運動を行うなど、批判の勢いは収まらない状況に。この事態を受けてHBGは、発表から4日での出版取り消しを決定した。
この度新たな出版元として、ニューヨークに拠点を置く米Arcade Publishing社が決定した。出版日に関しては不明だ。この発表に際して、同社編集者のジャネット・セーヴァーが以下のように声明を出している。
「あまりにも頻繁に真実が“フェイクニュース”として退けられてしまうこのおかしな時代において、出版社として我々は、彼(アレン)の声を封じようとする断固とした姿勢を取る人々に従うよりも、尊敬されるアーティストに声を与えることを選びます。」
ホラー小説の巨匠スティーブン・キングも、出版中止の措置に対して不安の声を挙げており、自身のTwitterにて「抑圧が一度始まれば、次回から簡単にそうなってしまう」と発言。続けて、「アレンが小児性愛者だと思うなら、本を買わなければいい。彼の映画を観なければいい。彼のジャズを聴かなければいい。このように差し控えて、財布で意志を示してください。アメリカではそうするんです」と独自の見解を示し、Twitter上で物議を醸していた。
Source:Variety