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『ザ・バットマン』黒人ゴードンへの差別的批判、「きわめて愚か」とジェフリー・ライト ─ 「リアルに描くなら現代を反映」

Photo by Gage Skidmore https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Jeffrey_Wright_(48470887901).jpg

DCコミックス映画『THE BATMAN―ザ・バットマン―』(2021)でジェームズ・ゴードン役を演じたジェフリー・ライトが、自身のキャスティングをめぐる論争について、「人種差別的でバカげている」との見解を語った。

近年のバットマン映像化作品でゴードン役を演じてきたのは、『ダークナイト』3部作のゲイリー・オールドマンや、旧DC映画ユニバースのJ・K・シモンズ、ドラマ「GOTHAM/ゴッサム」のベン・マッケンジー。『ザ・バットマン』で黒人のライトがゴードンを演じることには、映画が公開される以前から人種差別的な批判が飛び出していた。

Colliderのインタビューで、ライトは「こういう役柄が黒人のキャラクターになることについて、ますます議論が交わされるようになっていることは本当に興味深い。きわめて人種差別的で愚かなことだ」と述べている。「映画の進化が社会の進化を反映しているのだと認識しないのは、あまりにも盲目的で、ある意味では啓発的なことだ」と。

ライトは、コミックが刊行された1939年当時の文化を、映画版が忠実に再現しないことが「シリーズの冒涜」だという見方を「本当にくだらない。論理が完全に破綻している」と一蹴。『ザ・バットマン』のゴッサムが1970年代のノワール作品に影響を受けていることを強調した。

「ゴッサムのモデルはニューヨークです。そして、70年代のニューヨーク、また現在のニューヨークは多文化都市です。だから、現代の『バットマン』映画でゴッサムをリアルに描くには、現代のアメリカの大都市を反映していなければいけません。ニューヨークの地下鉄に乗れば、その様子が1939年とは異なることは明らかです。」

ゴードン役についてのアプローチも同じだ。「コミックの世界で描かれてきた内面的な特徴には忠実に、けれども21世紀のゴードンにしたかった」という。「私はみなさんと同じように、これらの物語を自分のものだと感じています。[中略]少年時代の自分にとって、これらはとても大切な物語でした。私は、子どもたちの誰もが物語とつながっていることを尊重しつつ、自分自身も同じように尊重されるべきだと考えています」

ライトは続編映画『The Batman Part II (原題)』にも出演する見込みで、「復帰できることがますます楽しみになっています」と語っている。2025年8月に実施された米Den of Geekのインタビューによれば、マット・リーヴス監督による脚本はまだ読んでいないが、「聞いている内容は気に入っている」という。「きっと演じるのが楽しい、充実した作品になることでしょう。観客にも楽しんでもらえると思います」。

映画『ザ・バットマン2(原題)』は2027年10月1日に米国公開予定。撮影は2026年春に開始される。

Source: Collider, Den of Geek

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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