『嵐が丘』本予告が公開 ─ 「キスしよう、二人の運命がどうなろうとも」マーゴット・ロビー主演、世紀のラブストーリー

一世紀半に渡って世界の女性を虜にしてきた傑作恋愛小説を『バービー』マーゴット・ロビー主演で実写映画化する『嵐が丘』より、メインビジュアルと本予告編映像が届けられた。監督・脚本は、『プロミシング・ヤング・ウーマン』で英国人女性監督史上初のアカデミー賞脚本賞を受賞したエメラルド・フェネルだ。

「キスしよう。二人の運命がどうなろうとも」。原作はエミリー・ブロンテ生涯唯一の作品となった世紀のベストセラー小説「嵐が丘(Wuthering Heights)」(1847)。世界で最も知られた作品の一つとして、今日に至るまで多くの国で翻訳出版され数多く舞台化。日本では2015年に堀北真希と山本耕史の主演で舞台化され、その共演がきっかけになり二人がゴールインするなど話題を呼んだことも記憶に新しい。
映画作品としては、1939年公開作のウィリアム・ワイラー監督、ローレンス・オリビエ主演版がアカデミー賞8部門にノミネート。1992年公開作のピーター・コズミンスキー監督、ジュリエット・ビノシュ&レイフ・ファインズ共演も知られる。日本では監督・吉田喜重、出演・松田優作で1988年公開されるなど、過去何度も映像化され、多くの世界中にクリエーターへ影響を与え続けている不朽の名作だ。
予告編では、イギリス・ヨークシャーの荒涼とした大地を舞台に、身分の差を越えて幼少期から心を通わせてきたキャサリンとヒースクリフの関係が描かれる。無邪気に微笑み合う幼き日の二人、成長とともに「もしお金持ちになったら何をしたい?」と未来への希望を語り合う姿が、瑞々しい感情とともに映し出される。
やがてキャサリンのもとを一度去ったヒースクリフは、逞しい“大人の男”へと姿を変え、まるで王子のように再び彼女の前に現れる。その再会をきっかけに、抗いがたいほど強く惹かれ合っていく二人と、それを阻もうとする周囲の人間たちの存在が、物語に緊張感をもたらす。
本作『嵐が丘』をいっそうエモーショナルな作品へと昇華させているのが、世界的ポップアイコン、チャーリーXCXの参加だ。2013年のデビュー以降、「I Love It」で世界的ブレイクを果たし、2024年にはアルバム『BRAT』が“ブラット・サマー”現象を巻き起こすなど、ミレニアル世代およびZ世代を代表するアーティストとして確固たる地位を築いてきた。第67回グラミー賞での9部門ノミネート、3部門受賞という実績が示す通り、現代ポップシーンの中心に立つ存在である。
本作では、彼女が映画全体の音楽世界を包括的に手がけ、物語に宿る激しさと儚さを、鮮烈な情感として音楽に落とし込んだ。脚本を読んだ瞬間に強い衝動を覚えたというチャーリーXCXは、「すぐにインスピレーションが湧き、この世界観に寄り添う楽曲を1曲ではなく、複数作り始めた。前作のアルバム制作で深く潜っていたからこそ、真逆の世界へ飛び込めることにワクワクした」と振り返る。「『Wuthering Heights』と聞いて思い浮かぶのは、情熱と痛み、イングランドの荒野、泥と寒さ、そして執念と強さだった」と語る言葉からも、作品への深い没入がうかがえる。
なかでも予告編および劇中で使用される楽曲『Chains of Love』は、「Can’t breathe without you/あなたがここにいないと息もできない」というフレーズが象徴するように、理性では抗えない“究極の愛”という本作のテーマを力強く体現している。音楽と映像が一体となって生み出す深い余韻と激しさは、物語をさらなる高みへと押し上げ、観る者の感情に強く刻み込まれるだろう。
今なお人々の記憶に刻まれ続ける“究極の愛”を映画として描き出すにあたり、マーゴット・ロビーが監督・脚本という重責を託したのが、エメラルド・フェネルである。監督デビュー作『プロミシング・ヤング・ウーマン』では、イギリス人女性監督として史上初となるアカデミー賞脚本賞を受賞。軽快な語り口の奥に、人間や社会が抱える歪みや暴力性を鋭く浮かび上がらせる現代的な感性は、高く評価されてきた。そんなフェネルが世紀のラブストーリーと称される『嵐が丘』をどのように再構築し、現代を生きる観客へと手渡すのか。その挑戦自体が、本作最大の見どころのひとつと言えるだろう。
物語の中心を成すキャサリンとヒースクリフを演じるのは、圧倒的な存在感とキャリアで世代を超えた支持を集めるマーゴット・ロビーと、ジェイコブ・エロルディ。2025年現在、“世界で最もバズる俳優”と評されるのも決して誇張ではない二人が、この悲劇的な愛の物語に新たな生命を吹き込む。
エロルディは、映画『キスから始まるものがたり』シリーズやドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』で若い世代から絶大な支持を集めてきたが、近年は俳優としての評価をさらに押し広げている。『フランケンシュタイン』では怪物役を演じ、その圧倒的な存在感と表現力が世界中の批評家から称賛を浴びた。アイドル的な人気にとどまらず、実力派俳優としての地位を確立しつつあるエロルディの起用は、本作に一層の説得力と深みをもたらしている。
フェネル監督の鋭い視線と、現代を代表する俳優たちの熱演が交差することで、『嵐が丘』は単なる名作の再映画化にとどまらない、時代と強く呼応するラブストーリーとして、新たに生まれ変わろうとしている。
『嵐が丘』は2026年2月27日、日本公開。国内では、東和ピクチャーズ・東宝が配給を手がける初のワーナー・ブラザース映画でもある。






























