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『ワンダーウーマン』雪のシーン撮影ウラ話 ― 撮影監督が「アクションより撮りがいがあった」と語る理由は

ワンダーウーマン
©Warner Bros. 写真:ゼータ イメージ
注意

この記事には、映画『ワンダーウーマン』のネタバレが含まれています。

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映画『ワンダーウーマン』にはダイナミックなアクション・シーンや胸が熱くなるようなシーンと同じくらい、細やかな演出が施された“観る者の心に迫るシーン”がたくさん存在する。きっと観る者によってその場面は千差万別だろうが、なかでも名シーンのひとつといって差し支えないのが、映画中盤に登場する「雪のシーン」だろう。

ノーマンズランドでの激しい戦いや市街戦を経て、ダイアナ・プリンスとスティーブ・トレバーは、仲間のひとりチャーリーによるピアノの演奏にあわせて静かに踊るのだ。このシーンで二人の距離はぐっと縮まり、激しい戦いを経ての心のうちが、その表情に少しずつ浮かびあがってくる……。

そんなつかの間のひとときを穏やかな目線で、どこかファンタジックに切り取ったのは撮影監督のマシュー・ジェンセン氏だ。米Slash Filmのインタビューで、彼はこの雪のシーンが「お気に入り」だと語っている。

「撮影中、魔法のように美しい夜が何度かありました。ダイアナとスティーブが雪の降るなかで踊るシークエンスです。撮影での彼らは本当に素晴らしかったですよ。現場には音楽が流れていて、すごく寒かったですが、美しい夜でした。撮影中に漂っていたロマンスの空気は、完成した映画にも表れていると思います。

これを聞いたインタビュアーは、ジェンセン氏に対して「アクションよりも撮影のやりがいがあったということですか?」と尋ねている。すると彼は「そうですね」と認め、その理由をこう説明したのだった。

「アクションのシークエンスでは小さな断片をとてもたくさん撮るんです。時には見ることすら難しいものもあって、それらの流れによって(全体が)できているんですよ。
(雪のシーンでは)カリスマ性のある二人が関わりあっていて、レンズを通してその様子を見ることができる。それが良いところなんです。」

劇中で、この雪のシーンは激しいアクションシーンの直後に登場する。そんな対比効果も含めて、このシーンでは二人の心情を噛みしめながら、ガル・ガドットとクリス・パインという二人による演技をゆっくりと味わうことができるのだ。逆に言えば、怒涛の勢いで展開する本作において、ひたすら内面の芝居だけを丁寧に映し出した場面はほかにほとんどない。ジェンセン氏が「お気に入り」だと話す理由は、まさしくそうした部分にあるのではないだろうか。

ちなみにジェンセン氏にとって、本作はジョシュ・トランク監督版『ファンタスティック・フォー』(2015)につづいてのヒーロー映画だ。しかしそのキャリアを紐解いてみると、むしろドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や『クロニクル』(2012)で培われた才気が存分に発揮された作品だといえるだろう。激しいアクションから細やかなドラマ・シーン、そして美しい風景の数々を鮮やかに映し出したその実力は、今後さらに求められていくに違いない。

映画『ワンダーウーマン』は2017年8月25日より全国の映画館にて公開中

Sources:?http://www.slashfilm.com/wonder-woman-cinematographer-on-the-films-emotional-impact/
http://screenrant.com/wonder-woman-cinematographer-belgium/
cWarner Bros. 写真:ゼータ イメージ

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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