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『ワンダーウーマン 1984』なぜスティーブ・トレバーは戻ってくるのか ─ 「クリス・パインなしでは描けない物語」

WONDER WOMAN AND ALL RELATED CHARACTERS AND ELEMENTS ARE TRADEMARKS OF AND (c) DC COMICS. (c) 2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

DC映画『ワンダーウーマン 1984』の予告編が世界各国で公開され、早くも話題を呼んでいる。物語の舞台を前作から約70年後の1984年に移した本作は、物語の詳細をはじめ、多くが謎に包まれたまま。なかでも最大の謎は、クリス・パイン演じるスティーブ・トレバーが、そのままの容姿で登場することだ。なぜスティーブは戻ってくるのか、なぜ年老いていないのか……。

この記事には、映画『ワンダーウーマン』のネタバレが含まれています。

「クリス・パインなしでは描けない」物語

『ワンダーウーマン 1984』にスティーブが登場することの不可思議さは、単に年老いていないだけではない。前作『ワンダーウーマン』(2017)のクライマックスで、スティーブは毒ガスを積んだ飛行機もろとも空へ旅立ち、自爆して命を落としたはずなのだ。予告編で聞こえる「僕は今日を救う、君は世界を救え」は、その直前にスティーブがダイアナに告げた言葉である。

「なぜスティーブがそのままの姿で再登場するのか」という疑問は、「そもそもスティーブは生きていたのか」「70年間どうしていたのか」という謎に結びつき、答えを予測しようのないミステリーとして観客の前に立ちはだかっている。ブラジル・サンパウロでの「CCXP 2019」にて、脚本・監督のパティ・ジェンキンスは一連の謎について「言えません」と述べながら、そのヒントをわずかに示唆した。

「ただ単に登場させたかっただけなら、この映画にスティーブ・トレバーを出すことはありませんでした。1作目を作りながら、この映画のストーリーを考えていた時にひらめいたんです。クリス・パインがスティーブ・トレバーを演じなければ、きっと描けない物語だろうって。ですから、これがただの仕掛けではなく、物語になくてはならないものであることをお約束しますよ。彼が登場することが本当に重要だったし、私たちはすごく楽しみました。クリスの復帰は素晴らしいことだし、物語にとっても重要なことだったんです。」

実際のところ、クリスは前作『ワンダーウーマン』の撮影当時から、続編への出演を打診されていたとのこと。ちなみに2019年1月のインタビューで、クリスは今回のスティーブについて「前回とはトーンが違う」「立場が逆転し、混乱して立ちすくんでいる状態」だと語っていた。このたび公開された予告編のラストで、スティーブは80年代のアートに接して戸惑い、ゴミ箱を眺めては、ダイアナに「それはゴミ箱」と指摘されている。前作ではダイアナが外の世界で戸惑っていたが、今回はスティーブが80年代の世界に戸惑うことになるのだ。

もっとも、ダイアナ自身も万事順調というわけではなさそうである。「CCXP 2019」にて、演じるガル・ガドットは「1984年の彼女はとても孤独。友人たちを失って、自分のすべきことをしているんです。人々を助け、救っている彼女の身に、おかしなことが降りかかります」と語った。

映画『ワンダーウーマン 1984』は2020年6月全国ロードショー。

Sources: Collider, Deadline

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。