アメリカで話題沸騰「イエロージャケッツ」を日本の海ドラファンにも薦めたい ─ 「LOST」に青春ドラマとホラー要素を合わせたような評判作

「イエロージャケッツ」見どころ解説
本作はダークな青春ドラマとして機能する一方、ホラーの側面もある。キャラクターが体験する幻影や夢遊病、物語のカギとなる謎のシンボルは不気味な雰囲気をかもし、カルト的な儀式を行うシーンにはオカルト味もある。しかし最もぞっとするのは、第1話から示唆されるカニバリズムだ。「ウルグアイ空軍機571便遭難事故」など実際の食人事件を参考にした本作では、動物の毛皮と仮面を身につけた少女たちが、仲間の人肉らしきものを食する場面が断片的に登場する。これは恐怖を与えると同時に、ここに至るまでに想像を絶する苦悩や悪夢があったことを感じさせる。一体だれが、なぜ犠牲になったのか。彼女たちはなぜここまで追い詰められてしまったのか。
2021年を舞台にした‟現在”のショーナたちは、森の中で起きた出来事をひた隠しにしている。しかし、真実を探ろうとする記者、脅しともとれる絵はがき、元仲間の不自然な死など、彼女たちの‟秘密”を脅かす材料が次々に積み重なっていく。犯人の手がかりを探す中、過去のトラウマや、不倫や家庭といった現在の問題にも対処する4人。どのプロットも興味深く、過去のストーリーとうまく絡み合うことでより見応えを増している。壮絶な体験をした4人の物語を360度見渡せるからこそ、数々の謎や巧みな伏線が生きてくるとも言えるだろう。

もっとも最大の魅力は、大人になった元イエロージャケッツを演じるメラニー・リンスキー、クリスティーナ・リッチ、ジュリエット・ルイス、タウニー・サイプレスのアンサンブルだ。強烈なトラウマを抱えるキャラクターたちに扮し、それぞれの個性を生かしながら、見事な掛け合いを見せてくれる。特に、意外性に満ちたショーナをナチュラルに演じるリンスキー、狂気じみたミスティを怪演するリッチは素晴らしく、それぞれエミー賞主演女優賞、助演女優賞にノミネートされた。
クリエイター・製作総指揮・脚本は、「ナルコス」シリーズのアシュリー・ライル&バート・ニッカーソン。彼らがティーンエイジャーを描きつつも大人の視聴者をターゲットにしていることは、本編を観れば頷けるだろう。刺激的な描写とともに人間の心理に迫り、謎や衝撃展開をテンポよく見せる「イエロージャケッツ」は、本国だけでなく日本の視聴者の心も掴むはずだ。

ちなみにシーズン2は、2023年3月24日(現地時間)より米Showtimeで放送中。前シーズンに引き続き大きな話題を呼び、Rotten Tomatoesでは批評家から96%もの高評価を獲得している。シーズン2の日本配信日は未定だが、今後U-NEXTにて独占配信の予定だ。
「イエロージャケッツ」シーズン1全10話は、U-NEXTにて見放題で独占配信中。
▼ 海外ドラマの記事
「アソーカ」シーズン2、アナキン・スカイウォーカー再登場で撮影開始へ ─ 故人継ぐベイラン・スコールの姿も初公開 ものすごい熱狂でした 【ネタバレ】「デアデビル:ボーン・アゲイン」第6話キングピン「マァァァイン」絶叫はアドリブだった ─ デアデビル戦闘と対なす案も この記事には、「デアデビル:ボーン・アゲイン」シーズン1第6話『過剰な力』のネタバレが含まれています。 キングピン「私のものだ!」 「デアデビル:ボーン・アゲイン」シーズン1第6話『過剰な力』で、妻ヴァネッサの浮気相手で […] 『パシフィック・リム』実写ドラマ化、Amazonで決定 ─ 『メッセージ』脚本家がシリーズ前日譚描く 新作映画の可能性も 『アベンジャーズ』ルッソ兄弟のドラマ「シタデル」インド版&イタリア版スピンオフが打ち切り決定 ─ ユニバース展開に苦戦 メインシリーズのみ継続 「デアデビル:ボーン・アゲイン」スパイダーマン共演の可能性?チャーリー・コックス「スパイダーマンとの物語はたくさんあります」 流れとしてはあり得るよね