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『イエスタデイ』予告編詐欺訴訟、棄却される ─ アナ・デ・アルマス目当てでレンタルしたのに本編からカットされていた騒動、「自業自得」と判事

Eric Longden https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ana_de_Armas,_March_2018,_GQ_Mexico_03.jpg

映画の本編からはカットされたシーンを予告編映像で見せるのは虚偽広告であるとの訴えが、米連邦地方裁判所によって退けられた。

これは、2019年の映画『イエスタデイ』の予告編映像に、人気俳優のアナ・デ・アルマスが登場しているのに、本編に姿を見せないのは虚偽広告にあたるのではないかとする2022年1月の訴訟。訴えを起こした人物は、ファンであるアルマスの姿を見るためにAmazon Prime Videoで3.99ドルを支払いデジタルレンタルしたが、本編からそのシーンはカットされていた。

「消費者は、『イエスタデイ』の予告編でアナ・デ・アルマスが出演することを約束された。しかしながら、蓋を開けてみるとアナ・デ・アルマスの姿は全く見られず、そのような消費者にしてみれば、レンタルや購入の価値が全く提供されなかったといえる」として、映画顧客の代表として配給の米ユニバーサル社に対して最低500万ドルを求めていた。

ユニバーサル社は訴訟の棄却を求めていたが、米連邦地裁判事は原告側の訴えを一時認めていた。ところがこの度、判事は原告がスタジオによる虚偽表示に騙されて映画を鑑賞したとは言えないと判断し、集団訴訟案を追及することはできないとした。

公表された資料によると、原告はアルマスが“ディレクターズ・カットには出演しているかもしれない”と考え、Google Playにて2度目のレンタルを行ったのは“自ら招いたこと”であり、訴訟を起こす“原告適格に欠く”と判断された。Google Playで行った2度目のレンタルで視聴するバージョンが1度目の視聴のバージョンと異なるものかもしれないと原告が信じる理由が存在しないため、虚偽広告によって視聴を動機付けられたものと判断されなかった形だ。

この結果によってユニバーサル社が『イエスタデイ』のマーケティングに対する法的な責任を負う必要は無くなった。一方で本件は、映画の予告編にあったシーンを本編から除くことは、虚偽広告にあたるかもしれないという可能性を残している。映画の予告編映像は“商業的言論”であるか、あるいは“芸術表現活動の一貫”であるかについて決定的な結論はまだ存在しないが、少なくとも判事が一度「“合理的な消費者”の“かなりの部分”が誤解を受けるような広告は虚偽にあたる」との見解を示した以上、映画配給会社は予告編製作について良識的な注意が必要になることだろう。

Source:Scribd

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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