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『タイタニック』ドアにふたり乗れた論争 ─「ジャックは死ななければならなかった」監督が終止符、キャストの見解はいかに

タイタニック
© Paramount Pictures "写真:ゼータイメージ

アカデミー賞をはじめ世界中の映画賞を総なめにしただけでなく、映画史まで塗り替えた『タイタニック』(1997)。そんな誰もが知る本作には様々な名場面が登場するが、その中で今回注目したいのは、ジャック(レオナルド・ディカプリオ)とローズ(ケイト・ウィンスレット)が海上に浮かんだ扉にしがみつく印象的なシークエンスだ。

この記事には、『タイタニック』のネタバレが含まれています。

氷山との衝突をきっかけに、大西洋の海に沈みゆくタイタニック。物語終盤では、ジャックがローズを木製の扉の上に乗せて、自分自身は凍るような海の中に沈んでいく姿が描かれた。多くの観客が涙を流した名シーンだが、ファンの間では公開当時からある論争がなされている。「扉の上にふたりとも乗れたのではないか?」「ローズがジャックのためにスペースを空けられたのではないか?」というものだ。

ジェームズ・キャメロン監督は同論争について、2017年に終止符を打っていた。米Vanity Fairの取材にてキャメロンは、「その答えはとても簡単なことです」と答えている。

「なぜなら脚本の147ページに、“ジャックは死ぬ”と書かれていたので。これはもちろん芸術的な選択によるもので、ローズを支えるには十分な大きさですが、ジャックでは不十分だったということです。

キャメロンは続けて、「20年の月日が経った今もこのような論争がなされているのは、本当にばかげたこと」と皮肉を交えながらも、「ただ、ジャックが死ぬのを見るのが観客にとって苦痛になるほど、愛すべき存在として上手く描けたということでしょう」とも伝えている。

なおキャメロンは、ジャックが仮にも生き残っていたら、「エンディングは無意味なものになっていたでしょう」とも話しており、やはりジャックが扉の上に乗るという展開は考えられなかったようだ。「この映画は死と別れをテーマにしているため、彼は死ななければならなかったのです。だから、仮に煙突が落ちてきても彼は沈んでいましたよ。これこそ芸術というもので、映画における物事は物理的な理由ではなく、芸術的な理由で起きるものなのです」 。

もっともケイト・ウィンスレットは、この監督による発言の1年前に、「確かに彼も扉の上に乗れたかもしれませんね」と話していた。どうやらウィンスレットは、扉の上にふたりとも乗れたのではないかという意見側のようだ。一方でレオナルド・ディカプリオは、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)でのインタビューの際に同論争について問われたところ、「ノーコメント」と微笑みながら答えていた。一体どんな見解を持っているのか気になるところだ。

ちなみに2012年、米番組『怪しい伝説』ではふたりの男性が実際に同じような扉を作成し、海上で検証していた。その結果、バランスを上手く保たなければならないものの、ふたりの成人が同時に扉の上に乗ることは可能であることが実証されている。とはいえ、キャメロン監督はこの結果を見ても、「君たちは論点がずれている。ジャックは死ななければならなかった」という。もはや、これ以上はそっとしておいた方が良さそうだ……。

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Source:Vanity Fair , Cinema Blend(1,2), Discovery

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Minami

THE RIVER編集部。「思わず誰かに話して足を運びたくなるような」「映像を見ているかのように読者が想像できるような」を基準に記事を執筆しています。映画のことばかり考えている“映画人間”です。どうぞ、宜しくお願い致します。

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