『007』シリーズの配給権争奪戦にアップル&アマゾンが加わる ― さらなるコンテンツ展開の可能性、中国企業も参戦か

映画『007』シリーズの配給権をめぐり映画会社が争奪戦を繰り広げる中に、アップルとアマゾンという2大企業が新たに参戦することになりそうだ。米ハリウッド・レポーター誌が報じている。

『007』シリーズは、これまでMGM社とイーオン・プロダクション社が製作を担当し、別の企業が配給を担当してきた。ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役に就任した『007 カジノ・ロワイヤル』(2006)から前作『007 スペクター』(2015)まではソニー・ピクチャーズが配給権を保持していたが、すでに契約は切れている状況だ。先ごろ製作がアナウンスされた、2019年公開予定の『007』第25作をどの企業が配給するかは未だ決まっていないのである。

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アップル&アマゾンの参戦が意味するもの

現在、映画『007』シリーズの配給権争いに参加しているのは、ワーナー・ブラザース、ソニー・ピクチャーズ、20世紀フォックス、ユニバーサル・ピクチャーズなど。なかでもとりわけ意欲的なのはワーナーとソニーの2社で、ハリウッド・レポーター誌によるとワーナーがMGM社に契約を強く求めている状況だという。

しかし、この状況にアップル&アマゾンという巨大な資本力を持つ企業が加わるとなれば、争奪戦になんらかの“番狂わせ”が起こっても不思議ではない。また映画会社でない両社が参戦することは、この『007』配給権争奪戦が単なる映画の配給権争いではなく、巨大コンテンツのライセンス権争いに変化する可能性も意味しているだろう。

「手つかずの有名ブランド」としての『007』

ハリウッド・レポーター誌は、アップル&アマゾンの参戦には『007』シリーズが“未開拓の巨大ブランド”だという背景があると記している。たとえば『スター・ウォーズ』やマーベル・コミックはディズニーが、DCコミックスはワーナーが所有している現在でも、『007』は高い知名度を誇りながら手つかずのまま残されているのだ。オリジナル作品の製作に精力的なアマゾン、今後オリジナル作品へ進出するアップルが『007』獲得へと動くのは自然な流れなのである。
しかもアップルには、2017年6月に新たな幹部として就任したザック・ヴァン・アンバーグ氏とジェイミー・エルリヒト氏の存在がある。ソニー・ピクチャーズ・テレビジョンの共同社長だった二人は、オリジナル作品製作のためアップルに引き抜かれているのだ。

同誌の取材によると、『007』シリーズの評価額は20億~50億ドルだという。アップルもしくはアマゾンが、映画の配給権のみならずシリーズのライセンスごと買い取ってしまうという展開も絶対にありえない話ではないだろう。『007』の新作が劇場公開と同時期にiTunesやAmazonビデオで配信されたり、新作ドラマ・シリーズが各社から配信される未来はすぐそこにあるのかもしれない。ただし業界関係者によると、中国企業が『007』のライセンスを購入するため参入してくる可能性もあるようだ。アマゾン&アップルですら気は抜けない状況なのである。

そうした中で、争奪戦をなお“ややこしい”ものにしているのが、『007』シリーズのプロデューサーであるバーバラ・ブロッコリ氏とマイケル・G・ウィルソン氏の存在だ。どうやら二人は今後のシリーズ展開に保守的な考え方のようで、主な興味は劇場公開作品にしかないのだという。思想が合わなければ、いくら高額を叩きつけられても契約にサインしないという展開もありうるだろう。

果たして『007』シリーズの今後はいかに……。最新作『007』第25作は2019年11月8日に米国公開予定だ。

Source: http://www.hollywoodreporter.com/heat-vision/apple-amazon-join-race-james-bond-film-rights-1035539
Eyecatch Image: Themeplus ( https://www.flickr.com/photos/85217387@N04/8446295874 ) / remixed by THE RIVER

About the author

稲垣 貴俊(Takatoshi Inagaki)。THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくしてお伝えできればと思っております。

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