『007』小説シリーズに女性作家が初起用 ─ ジェームズ・ボンド不在、次世代00エージェントの活躍を描く

『007』小説シリーズを新たに手掛ける作家として、英出身の女性作家キム・シャーウッドが起用された。『007』シリーズ70年の歴史において、女性作家の起用は初めてのことである。
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— Kim Sherwood (@kimtsherwood) November 4, 2021
1953年、小説『007』シリーズは英作家イアン・フレミングによって生み出された。1964年にフレミングが他界した後も、小説シリーズはキングスレー・エイミス、レイモンド・ベンソン、セバスティアン・フォークスら、後世の作家たちによって引き継がれてきた。直近では『シャーロック・ホームズ』シリーズや『カササギ殺人事件』(東京創元社)などで知られるアンソニー・ホロヴィッツが『逆襲のトリガー』(2015)や『Forever and a Day(洋題)』(2018)を手がけている。
2022年5月に『007』3冊目を出版する予定のホロヴィッツに続き、シリーズの作家として起用されたのは、1989年英カムデン出身のキム・シャーウッド。2019年、処女作『Testament』が英The Sunday Timesのヤングライター部門にショートリスト入りを果たしたことで知られる。
シャーウッドが手掛ける新作『Double O』シリーズは、従来とは異なる新しい路線を進むことになる。英BBCによれば、主人公として不動だったジェームズ・ボンドがなんと不在となり、「新世代の00(ダブルオー)エージェントに焦点を当てるストーリーになる」というのだ。映画シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(2021)でラシャーナ・リンチが演じたノーミを彷彿とさせるようである。
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』では、映画『007』シリーズ58年ぶり、史上2人目の女性脚本家として「Fleabag フリーバッグ」(2016-)のフィービー・ウォーラー=ブリッジが起用されたことが大きな話題となった。シャーウッド自身、これまで男性作家によって引き継がれてきたシリーズに「若い女性作家として、フェミニストの視点をもたらしたい」「映画で見過ごされてきた女性の複雑さや成就ぶりを反映したい」と語っている。そうした上で、「これまでに敬意を払いながら、それでいて全員がヒーローになれる領域を作れるような新しい何かを生み出したい」と意欲を語った。
このたびシャーウッドは、イアン・フレミング財団との間に3作分の契約を交わしたとのこと。女性視点で描かれるといえば、フレミングは1962年に出版した『わたしを愛したスパイ』で女性キャラクターの視点からストーリーを展開させた。新作小説における主人公の人物設定は定かでないが、シャーウッドは「イアン・フレミングの小説の背景には、他にもたくさんのスパイが存在してきました」と登場人物について説明している。なお、シリーズおなじみのキャラクターであるMとマネーペニーは、シャーウッドが手掛ける3部作に登場するという。第1作は、2022年9月に出版される予定だ。
Source: BBC