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『ブレードランナー 2049』がマーベル映画に受けた影響とは ― さらなる続編はありうる?

ブレードランナー 2049
(C) 2017 Alcon Entertainment, LLC., Columbia Pictures Industries, Inc. and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

映画『ブレードランナー 2049』は、1982年公開のSF映画『ブレードランナー』の35年ぶりの続編だ。巨匠リドリー・スコットが創り出した映画史に燦然と輝く作品を、新たな作り手たちはいかに受け継ぎ、また広げていったのか。その裏側には、現在の映画界で絶大なる人気を獲得するマーベル・シネマティック・ユニバースの影響があったという。

前作を執筆したハンプトン・ファンチャーと共同で『ブレードランナー 2049』の脚本を手がけたマイケル・グリーン氏は、名作の世界観をいかに拡大するか、続編を書くとはどういうことか、といった点でマーベル・シネマティック・ユニバースの教訓を活かしたようだ。米エンターテインメント・ウィークリー誌に語っている。

「語る価値のある物語から始める」

マーベル・シネマティック・ユニバース作品『ブラックパンサー』(2018年3月1日公開)は、ビジュアル面などに『ブレードランナー』の影響を受けているという。そんな『ブレードランナー』の続編がマーベル・シネマティック・ユニバースから影響されているとすれば、ここでは不思議な循環が起きていることになりそうだ。

傑作SF映画の続編に挑んだマイケル氏は、同時代のヒット・シリーズをどのように見つめていたのだろうか?

「とても多くのスタジオや権利の所有者たちが、マーベルの成功を見て、憧れ、どうすれば同じことができるのかと思っています。私にとってマーベルの教訓とは、“ユニバースを作ることから始めない”ということです。語る価値のある物語を語ることから始めるんですよ。」

すなわち『ブレードランナー 2049』の場合、いかに『ブレードランナー』の世界観を引き継ぐかを最初の問題にするのではなく、『ブレードランナー』の要素を使いつつ、いかに充実したストーリーを生み出すかが問題なのだということだろう。マイケル氏はこう続ける。

素晴らしい物語に優れた演出がつき、見事に演じられ、そして人々の心に残れば、その作品は宇宙を生み出すブラックホールになるでしょう。もしも観るに堪える映画を作るよりも先にユニバースを造ろうとすれば、手のつけようがなくなってしまいます。この物語や脚本を作りながら、スピンオフや続編の可能性について話をしても意味のないことです。」

実際、マイケル氏は『ブレードランナー 2049』に携わる中で、スピンオフや続編よりも、むしろ『ブレードランナー 2049』というタイトルにふさわしい物語になっているかどうかを突き詰めたと話している。遠回しながら、今のところは“さらなる続編”の構想がないことを意味しているだろう。

ちなみに『ブレードランナー 2049』を執筆したマイケル氏は、2017年、あらゆる“アップデート”に次々と挑んできた脚本家だ。ニール・ゲイマンによる小説をドラマ化した『アメリカン・ゴッズ』、長きにわたるヒュー・ジャックマンのウルヴァリンを締めくくった『LOGAN/ローガン』、リドリー・スコット自身が手がけるシリーズ最新作『エイリアン・コヴェナント』(原案)、そしてアガサ・クリスティーの名作を再映画化する『オリエント急行殺人事件』(12月8日公開)である。“まずは語る価値のあるストーリーを”という発想は、『ブレードランナー 2049』のみならず、マイケル氏の複数の仕事に通じるものだろう。

映画『ブレードランナー 2049』は2017年10月27日より全国ロードショー

Sources: http://ew.com/movies/2017/10/08/blade-runner-2049-ending-explained/
http://screenrant.com/blade-runner-2049-sequel-plans-marvel-influence/

 

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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