ドラマ「三体」のVRヘッドセット、なぜあのデザインに? ─ 鏡面加工、映り込む撮影クルーも除去
Netflixで一挙配信開始となったドラマ「三体」では、突如として世界に異変が生じ始めるが、あるモノの出現により登場人物たちがその謎に迫っていく。限られた選ばれし者をVRゲームの世界に誘う、近未来的なデザインが施されたヘルメットのようなVRヘッドセットだ。
劇中に登場するVRゲームは、3つの太陽が存在する異世界「三体」の理解を目的として作られたもの。何者かが、ゲームのプレイヤーにふさわしい優秀な人材を選別し、選ばれた者にはヘッドセットが送られた。
このVRゲームについては、劉慈欣による原作小説「三体」から若干の脚色が行われた。小説版では、ゲームのプレイヤーはVスーツと呼ばれる全身スーツとヘッドマウントディスプレイを装着してゲームを始めるのだが、ドラマ版ではヘッドセットのみの装着でプレイ可能という設定となった。
米Varietyでは、プロダクションデザイナーを務めたデボラ・ライリーが、ヘッドセットの制作について振り返っている。ライリーによれば、ヘッドセットの制作は初期段階で着手したものだという。開発にあたっては、ヘッドセットの歴史を遡り、とりわけNASAが手掛けてきたデザインがどのように進化してきたのかについて着目したそう。「(進化の過程で)非常にシームレスなものが関心の対象であったことは明らかでした。どうやって作られたのか理解できないほど、技術的に高度なものでなければなりませんでした」。
ドラマ版では、頭からすっぽりと被るヘルメット型のデザインとなったが、これはプロデューサーを務めたデイヴィッド・ベニオフとD・B・ワイス、アレクサンダー・ウーの意向なのだとか。「彼らはイヤーピースをひとつにまとめたいと考えていたので、音と視覚が一つのデバイスから入るようにしました」とライリーは語っている。
金属素材のヘッドセットには鏡面加工がほどこされた。そのため登場人物が覗き込む時には鏡のようにその姿が反射されていたが、ここで生じた問題が、撮影クルーも映り込んでしまうということ。ライリーによれば、のちに視覚効果によってクルーたちの姿を除去する作業も行われたという。
原作では登場していた全身スーツを採用しなかった理由については語られていないが、脱ぎ着する手間などが省けることを考えると、その選択にも納得できる。ちなみに、ジャック・ルーニー役を演じたジョン・ブラッドリーはヘッドセットを装着した時を「何も見えないし、何も聞こえません」「まるでミイラになったような感覚でした」と振り返っていた。
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