【見どころ予習】第91回アカデミー賞、初受賞ねらう実力派12人

映画界最大の祭典、第91回アカデミー賞の発表が近づいてきた。そこで、今回は通算3度以上ノミネートされ、いまだに受賞していない候補者を特集してみた。いずれも受賞していないのが不思議な、輝かしい顔ぶれが並ぶ。この中から何人が初受賞となるのだろう?
ブラッドリー・クーパー/『アリー/スター誕生』

『世界にひとつのプレイブック』(2012)で主演男優賞に初めてノミネート。今回は『アリー/スター誕生』(2018)で主演男優賞候補に挙がっている。助演男優賞と合わせて実に4回目のノミネートということで、「いくらなんでも今回は…」と本人も思っていたことだろう。ところが、『バイス』(2018)のクリスチャン・ベールが大絶賛を浴びている状況で、決して本命視はされていない。大逆転はあるか?
ウィレム・デフォー/『永遠の門 ゴッホの見た未来』

『プラトーン』(1986)と『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』(2000)、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』(2018)で助演男優賞にノミネート経験あり。今回は『永遠の門 ゴッホの見た未来』(日本公開2019年)で主演男優賞候補に。初受賞を目指す。とはいっても、マーティン・スコセッシやオリバー・ストーンといった巨匠に愛され、業界内で高く評価されてきた俳優だけに受賞経験がないのは意外である。下馬評こそ高くないものの、功労をねぎらう票が集まるのではないか?
ヴィゴ・モーテンセン/『グリーンブック』

過去、さまざまな映画賞を獲得し続けている名優である。しかし、アカデミー賞は『イースタン・プロミス』(2007)『はじまりへの旅』(2016)で主演男優賞にノミネートされ、いずれも逃している。作品選び、実力、業界内人気、いずれも申し分ない俳優だけに、いつオスカーを獲ってもおかしくないはずなのだが…。『グリーンブック』(2018)の用心棒役は、クリスチャン・ベールの対抗馬になるだろう。
エイミー・アダムス/『バイス』

筆者は勝手にアダムスが「受賞済み」だと思い込んでいた。それくらい、演技派女優の代名詞になっている彼女。健康的でありながら知性も失わない美貌は、メリル・ストリープの系譜である。6度目のノミネートとなった『バイス』では、チェイニー夫人を本物そっくりに熱演。正直、これで獲れなければ何をやっても獲れないレベルの前評判ではある。ライバルは『ビール・ストリートの恋人たち』(2018)のレジーナ・キング。キングが演じたのは「娘のために奮闘する肝っ玉母さん」という共感しやすい役柄だけに、決して低い壁ではない。
グレン・クローズ/『天才作家の妻 40年目の真実』

第55回~57回には3回連続で助演女優賞候補となり、すべて受賞を逃した大女優。『危険な情事』(1987)の名演で獲得できなかったため、ハードルが上がってしまった感がある(M-1グランプリの和牛状態)。『天才作家の妻 40年目の真実』(2018)の主演で、通算7回目のノミネートを受けた。ゴールデン・グローブでドラマ部門の主演女優賞を獲得し、悲願達成は近い。ライバルはゴールデン・グローブで「ミュージカル・コメディ部門」の主演女優賞を獲得したオリビア・コールマンと、一般層から人気のレディー・ガガか。
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