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【ネタバレ考察】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストシーンで考える今後の展開 ─ クリス・プラットの結末解釈は

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
©2023 MARVEL

この記事には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のネタバレが含まれています。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
©2023 MARVEL

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストシーン解説

マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』では、瀕死に陥ったロケット救出を通じてチームメンバーは一層の絆を深めながら、最凶の敵ハイ・エボリューショナリーを倒した。「ありのままの自分を否定する」ヴィランとの戦いを終えると、チームを抜けて自分の道を歩んでみたいとする意見があがる。

一同は、これが「解散」ではないことを確かめていたが、しかしそれはほとんどロックバンドの解散場面のような空気だった。ラストステージを終えた彼らには、音楽性の違いというか、いわゆる活動の方向性の違いで道を分つ者が現れたのだ。ガモーラはラヴェジャーズに加わることとなり、マンティスは自分の生き方を探すことにした。ドラックスは引き取った子どもたちの父親役を務めることとなり、ネビュラもノーウェアの街を導く役割を買って出る。そしてリーダーだったピーター・クイルは、自身の出自にきちんと向き合い、地球に帰還することを決意。いわば、「バンドのボーカルが実家に帰る」みたいな状況となった。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
(c) Marvel Studios 2023

劇中でドラックス(にそう伝えるよう仕向けたマンティス)から「泳ぎ方を覚えた方がいい」という言葉をかけられたことが、触発された理由のひとつになっている。「彼はスイレンの葉からスイレンの葉へ、女性から女性へ、ある関係からまた別の関係へと渡り歩いてきた。それはとても人間らしいものだと思います」と、演じたクリス・プラットは解釈している。「人はしばしば、他人との関係性や、チームや家族などとの関係性の中に自分を見出すことがある。そして、彼は迷子になっていた」。

プラットは、これまでのピーターは自分を誤魔化して生きていたとの考え方を示している。「まず初めに、彼は母の死から逃げた。でも、自分の幼少期に見た80年代後半のポップカルチャー・アイコンみたいになりきって、踊りながら生きてきた。彼はそこに自分らしさを見出していた。でも、それは言わばデタラメだったんです。

それから彼はガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの中に自分を見つけ、自分の父親も自力で見つけられたと思った。つまり、彼は常に自分探しをしていた男だったのです。ガモーラとの関係の中にも、自分を見つけることができた」。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ3作は、人は他者との関係の中にアイデンティティを見出すことができると定義した。それゆえに、ピーターとガモーラの関係性が壊れたのは辛い出来事だった。それはピーターの自己喪失そのものを意味することになる。『VOLUME 3』冒頭でピーターは酒浸りとなり、まともな生活が送れなくなっていることが描かれる。

この時、ピーターは「クイルだと思っていた様々な自分が、どれも本当の自分ではないと気付いてしまった状態」だと、プラットは解説している。「だからこそ迷子になっていたんです。おそらく、彼は悲しいということです」。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
(c) Marvel Studios 2023

そこに、仲間からかけられた「泳ぎ方を覚える」という言葉は、彼にとって啓示的だったに違いない。加えて、最終決戦突入前にガモーラから祖父母との家族写真を渡されたことも絡んでいるだろう。プラットの解説を元にすれば、本作のピーターは自己喪失から、自己の再発見への決意を徐々に固めていたということになる。

そしてこの解釈は、他のメンバーたちにも当てはまる。ロケットは友達との関係を、ドラックスは親子の関係を何より優先するので、彼らの最終的な進路は理にかなっている。マンティスもピーターと似た自己発見の旅に出ている。

地球に戻ったピーターは祖父ジェイソンと再会し、家族との感動的な抱擁を交わす。エンディング後のポストクレジットシーンでは、祖父とテーブルを共にしてシリアルをもぐもぐと食べるというほのぼの日常場面で幕を閉じた。かつて地球から誘拐されて以来、あらゆる形での「家族」を、そしてその関係性の中で見出せる「自分自身」を探し求めていたピーターに、ついに平穏が訪れたのである。シリーズ1作目のオープニング、1988年の地球でのシーンを共にした祖父とまた一緒になって。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。

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