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【ネタバレ考察】『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』ラストシーンで考える今後の展開 ─ クリス・プラットの結末解釈は

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
©2023 MARVEL

この記事には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』のネタバレが含まれています。

「伝説のスター・ロードは帰ってくる」の意味とは

ラストシーンの最後には、「The Legendary Star-Lord will Return(伝説のスター・ロードは帰ってくる)」とのテロップが表示された。主要キャラクターの再登場が予告されるのはMCU映画のお馴染みだが、これまで黒背景に白文字テロップであったのとは逆の配色で、さらにフォントも装飾されたものだった。その真意こそ定かではないものの、これまでとは違う、何か新しい展開を予感させるようでもある。

ところで、どうしてこのテロップには「The Legendary」と冠されていたのだろうか。ヒントとなるのが、2015年に米刊行されたコミック『Legendary Star-Lord』。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーを脱退したピーターを追う単独シリーズで、X-MENのキティ・プライドと恋仲となり、これが「シークレット・ウォーズ」へと続いていく。本作『VOLUME 3』後のスター・ロードの物語が、2025年公開予定の映画『アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ』に連なっていく道筋は大いにあり得る。

しかし懸念されるのが、ジェームズ・ガンが本作を最後にマーベルを離れたことだ。ガンは現在、マーベルのライバルであるDCスタジオの代表を務めており、今後長らくDC映画のみに集中することとなる。『VOLUME 3』のプロモーションに現DCのガンが参加していたことだって、考えてみれば珍しい展開なわけで、今後は(たとえアドバイザーのようなレベルでも)マーベルの新作に関与する可能性はほとんど考えられない。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』続編はどうなる?

つまり次のスター・ロードは、ジェームズ・ガン以外のフィルムメーカーが演出を手がけることとなるが、演じるクリス・プラットの方は胸中複雑である。「スター・ロードの物語をジェームズなしで続けるだなんて、変な感じです」と、英Total Magazineに打ち明けているのだ。

「ガンはこの3作で、これだけの名仕事をしました。みんなで一緒にピーター・クイルを作り上げたんです。ジェームズでなければ、間違いなく僕はこんな機会にはあずかれなかった。彼が執筆し、演出し、そして音楽もやってくれた。スクリーンに映されたのは、彼のイマジネーションなんです。

だから、この物語を続けるのであれば、彼の仕上げた3作と、ファンの皆さんがどうしてキャラクターを好きになってくれたのか、そのことにきちんと敬意を払うことが重要。ただお金を出してくれる人がいるから作るってわけにはいかないんです。

皮肉なアプローチになってしまうくらいだったら、僕は一切やるつもりはありません。今後、きちんと理にかなっているものがあがってくれば、やります。でも、そのためには条件がたくさんあるんです。」

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3
(c) Marvel Studios 2023

ガンが去った今、今後のピーター・クイルに正当性をもたらすのはクリス・プラットが中心人物となりそうだ。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』でも、劇中のピーターの行動をめぐって、同作製作陣とガンとで見解が分かれたケースがあった。捕まったガモーラを、本人の望み通りに殺そうとまでしたピーターが、怒りに任せてサノスを殴って作戦を台無しにするのはおかしい、というものだ。ガンからすれば辻褄が合わないこの演出、『VOLUME 3』ではピーター本人の口から自虐までさせた。キャラクターを通じてガンが見つめていたピーターのビジョンを、プラットはきちんとバトン渡ししてやる必要がある。

残念なことに、ラストの「The Legendary Star-Lord will Return」テロップは、ピーターの再登場のみを約束するもので、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの再登場を何ら保証していない。すでにガモーラ役のゾーイ・サルダナとドラックス役のデイヴ・バウティスタは本作をもっての出演終了を表明。特にバウティスタはドラックスのような筋肉コメディキャラ役をあまり快く思っておらず、いわゆる演技派や硬派な役者を志している。自身のキャリアアップを果たしてくれた大恩人ガンもいないとなれば、おそらく戻ってくることはないだろう。

Writer

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中谷 直登Naoto Nakatani

THE RIVER創設者。代表。運営から記事執筆・取材まで。数多くのハリウッドスターにインタビューを行なっています。お問い合わせは nakatani@riverch.jp まで。