米大手映画館、全従業員が減給または無給休暇へ ─ 収入源絶たれキャッシュ温存体制へ

事実上の収入源を失った米大手映画館が、キャッシュを温存するための厳しい消耗戦に突入する。
米最大手となる映画館チェーンAMCは、全米630館を誇るすべての劇場が新型コロナウイルスの影響で閉鎖されていることを受け、従業員の減給または休暇を言い渡すとした。
AMC社は声明を発表。「収入源は絶たれたが、固定支出は残る」とその苦境を記している。現時点で従業員を解雇する意向はないというが、「減給と勤務時間の削減、もしくは無給休暇」を要請する。ここには幹部およびCEOも含まれるという。同社の雇用は約27,000人。
この声明文は危機感に満ちたものである。「資金を維持し、この危機が去ったとき再びAMCの扉を開くためにも、この休暇プランを実行せざるを得ない状況となった。」同社は「すべての関係者とAMCとの雇用関係は、医療給付含め変わらない」と強調しており、是が非でも従業員は見放すまいとする姿勢が見て取れる。
給与減額についての詳細は米Deadlineが掴んでいる。期間中における週あたりの勤務日数により変動する形で、週4日勤務の従業員は満額から8割へ、週2日の場合は4割への減給となる。休暇となる場合は給与は発生しない。
新型コロナウイルスの影響を受け、AMCでは劇場収容人数を半分に減らしての運営継続を試みていた。その後、米政府は10人以上の集会を控えるよう指針発表。最大手のAMCのみならず、第2位規模のRegal Cinemas、3位規模のCinemarkも全館休業に追いやられた。これにより全米のほぼ全ての劇場がその運営を取りやめる形となり、米ボックス・オフィス(興行収入データ)の集計および発表は史上初の「なし」となっていた。