映画館の最前席は割安、中央席は割高に ─ アメリカの大手映画館で新料金

米映画館チェーン最大手のAMCシアターは、劇場内の座席の位置に応じてチケット価格が増減する新たな料金体系を発表した。
座席のエリア別に、3種類の価格が設定された。AMCのプレスリリースには、次のように掲載されている。
スタンダード・サイトライン:観客席の最も一般的な座席で、これまでのチケット価格で販売。
バリュー・サイトライン:観客席の最前列、およびADA席(編注:車椅子用の座席スペース)の一部はスタンダード・サイトラインよりも低価格で販売。バリュー・サイトラインは無料会員を含むAMC Stubs会員、AMC Insiderのみ利用可能。
プリファード・サイトライン:通常、観客席の中央の座席で、スタンダード・サイトラインの座席よりやや割高。AMCのお得意様映画ファンへの追加特典として、AMC StubsのAリスト会員は追加料金なしでプリファード・サイトライン座席の予約が可能。
AMCのEVP兼CMOエリオット・ハムリッシュは、「AMCでは全ての座席において素晴らしい映画体験をご提供しておりますが、特定の座席を優先したい映画ファンもいれば、映画鑑賞を優先したい映画ファンもいると思っています。AMCのサイトラインでは、両方のご要望に対して、ゲストがより自由に劇場体験をコントロールできるようにし、どなた様でもAMCで素晴らしい旅ができるようにするものです」とのコメントを発表した。
米Varietyはこの料金体系について、「音楽のコンサートやスポーツイベント、ブロードウェイと同じようなもの」として理解を示している。2023年2月10日(現地時間)よりニューヨーク、シカゴ、カンザスシティの一部劇場で適応され、年内に全米に拡大させる。
米最大手の映画館チェーンであるAMCはコロナ禍で大規模な休業を余儀なくされ、一時は破産危機に陥ったことがある。過去にも映画館の伝統的な料金体系を打破する試みを行なっており、2022年の映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』では1ドル〜1.5ドル高い料金でチケット販売を行ったことがある。