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『ザ・バットマン』米最大手の映画館が特別料金を導入 ─ 苦境続く映画館業界、約3時間の上映時間も背景か

『THE BATMAN-ザ・バットマンー』
© 2021 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved TM & © DC

話題のDC映画『THE BATMAN-ザ・バットマン-』が、米国最大の映画館チェーンAMC Theatresにて、鑑賞料金を値上げして上映されることがわかった。米Entertainment Weeklyなどが報じている。

『THE BATMAN―ザ・バットマン―』は、クリストファー・ノーラン監督による『ダークナイト』3部作以来となる「バットマン」の単独映画。早くから大きな注目が寄せられており、公開直後の週末3日間で米国興行収入は1億ドルを超えるという予想だ。

こうした動きの中、AMCは新たな価格戦略に取り組んだ。アダム・アロンCEOは「同時期に同じ劇場で上映されている映画よりもわずかに高い料金設定となる」と発表。値上げ幅は劇場ごとに異なるが、ほかの作品より1ドル~1.5ドル高い料金でチケット販売が始まっているという。アロン氏は「アメリカではまったく新しいものですが、以前から我々はヨーロッパで同じ取り組みをしています」と語り、世界規模では珍しいことではないと強調。また、アメリカでは多くの映画館チェーンが平日と週末で価格設定を変更しているため、そちらと同様の取り組みとして位置づけることができそうだ。

作品に応じて鑑賞料金を変更するという戦略は以前から議論されてきたものだが、かつては業界内で「安い料金を付けることは作品の価値を下げることになりかねない」といった反応もあり、なかなか現実的には導入されてこなかった。しかし、2020年からの新型コロナウイルス禍は映画館に大きなダメージをもたらしており、以前のように観客が劇場に足を運ぶ状況が戻ってくるかどうかはわからない。配信サービスでの早期リリース(同時公開)もあいまって、映画館は大きな試練を迎えているのである。

決定の背景には、同じくコミック映画である『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の大ヒットもあるだろう。コロナ禍であることを忘れさせるほどの歴史的快挙を達成した同作は、この時代にも映画館の需要はあることを可視化した。したがって、次なる話題作である『ザ・バットマン』で価格面の挑戦が行われることは不自然ではない。また『ザ・バットマン』は約3時間という長尺のため、ほかの映画より一日あたりの上映回数が減るという事情もありそうだ。

AMCの挑戦は吉と出るか、それとも凶と出るか。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』は2022年3月4日にいよいよ米国公開を迎え、翌週の3月11日(金)より日本公開となる

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Sources: Entertainment Weekly, Los Angeles Times, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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