『アメリカン・サイコ』のクリスチャン・ベールは異次元だった ─ 共演者らが振り返る

『ダークナイト』トリロジーや『アメリカン・ハッスル』(2013)、『バイス』(2018)など、クリスチャン・ベールは作品ごとに異なる印象を抱かせる演技派俳優だ。体重の増減など徹底した役作りはファンも知るところだが、時として、役への入り込み具合は共演者も怖がらせてしまうようだ。『アメリカン・サイコ』(2000)で共演したクロエ・セヴィニーとジョシュ・ルーカスがVanity Fairのインタビューにて撮影当時を振り返っている。
『アメリカン・サイコ』は同名の長編小説を原作とするサイコ・ホラー作品。投資銀行で副社長を務めるベイトマン(ベール)は優雅な生活を謳歌するエリート・サラリーマンだが、何の理由もなく殺人を楽しんでいる。『太陽の帝国』(1987)や『ベルベット・ゴールドマイン』(1998)を経て注目の若手俳優として成長していたベールがメソッド俳優として認知されるようになったきっかけとも言える作品で、セヴィニーはベイトマンの秘書役を、ルーカスはベイトマンの同僚役を演じた。
ベールほかウィレム・デフォーやジャレッド・レトなど個性派俳優が集う本作の撮影現場で緊張していたと明かすルーカスは「クリスチャン・ベールを酷いと思ったことを今でも覚えています」と、ベールのメソッド演技の凄みに気づけなかったことを振り返っている。
「彼と一緒にやった最初のシーンを覚えています。彼は嘘っぽく見えたんです。今になって、彼はとんでもなく素晴らしいやり方だったと分かるんですけどね。彼はすでにとてつもない異次元レベルにいて、演技に何層にも渡る狂気をはらむことができる人だったんです。それって本物の演技じゃないなと当時は思っていたけど、その正反対でしたね。」
一方、セヴィニーは、恐れを抱きつつも、ベールの演技への向き合い方にリスペクトを示そうと感じたそう。『KIDS/キッズ』(1995)や『ガンモ』(1997)など闇を抱えた若者役のイメージが強かったセヴィニーは「知らず知らずのうちに社交的に、ちょっとおっちょこちょいに振舞ってしまう」性分だったらしく、ベールの演技にもベール自身にも怖気づいてしまったようだ。
「私にとっては試練となる変化でしたね。彼が悪いと思っていたわけではないですよ(笑)。でも戸惑ってしまって、”どうして社交的にしてくれないの?”って感じでした。私はメソッド演技って何なのかも知らなかったので。私は公式な演技のトレーニングも受けたことがなくて、『できるまでやってみろ』ってタイプだったと思うんですよね。”メソッド演技ってどんな手法なの?”って感じで、威圧的でもあったんです。」
役作りでは他者を寄せ付けないほどのオーラを放つベールも、主宰する児童養護施設建設プロジェクトとの兼ね合いで、最新主演作『ザ・ブライド!(原題:The Bride!)』の撮影開始を見合わせてほしいと周囲に頼むほど、私生活では温かく穏やかな人柄で知られている。
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Source:Vanity Fair