DC『アクアマン』続編、ややこしい状況でバットマン登場はカットか

現行DCユニバース映画の最後作『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム(原題)』が、なかなかややこしいことになっている。直近のDC再編に伴って、この映画は3つの異なる体制を経ているのだ。
ジェイソン・モモア主演、DC映画の中でも屈指のヒットを記録した2018年の『アクアマン』続編となる本作は、もともとウォルター・ハマダ率いる旧体制下で企画された。しかし、この主要撮影を終えて再撮影を行っているうち、ハマダは米ワーナー・ブラザースを退社。リーダー不在となったDCは、ワーナーで映画部門会長に任命されたマイケル・デ・ルカとパメラ・アブディが暫定的に舵を取ることになった。
米The Hollywood Reporterによると、ハマダ時代のカットはテスト試写で「退屈」なものだったといい、これをアブディが率先して編集。しかし、テスト試写してみるとハマダ時代よりも低いスコアとなってしまったため、改めて再撮影が行われた。
さらに本作は、度重なる公開延期に伴って、『ザ・フラッシュ』との公開順が入れ替わったことにより、「バットマン問題」も抱えることになった。実はハマダ時代、DCユニバースではマイケル・キートンのバットマンが、マーベル映画におけるニック・フューリーのように複数の作品に登場する熟練者となる予定だった(お蔵入りになった映画『バットガール』にも登場するはずだった)。しかし、公開順が一時『ザ・フラッシュ』前となったため、急きょベン・アフレックが再撮影に参加し、キートンと出番を差し替えたことがあった。

ところが再度公開日変動が生じ、今度は『ザ・フラッシュ』後に移動。すると今度はアフレック版バットマンの登場が疑問視されるようになってしまったというのだ。伝えられるところによると、結局最新のカットではどちらのバットマンも登場しないことになったという。
これは3つ目の体制、つまりジェームズ・ガンとピーター・サフランが率いる新生DCスタジオの方針にも起因する。彼らは全く新しいキャストで新世界を築こうとしているのだから、アフレックやキートンのような旧世界のヒーローを登場させることで、実現しない映画ユニバースを約束したくないのだということが、関係者の声として伝えられている。
結果として本作は、3度にわたる再撮影を経た。特に大作映画で再撮影が行われることは通常のプロセスと言えるが、3回ともなると「ほとんど前例がない」とThe Hollywoord Reporterは記している。この体制変動は、『ザ・フラッシュ』のラストシーンにも明確な影響を及ぼした。
ただ、ガン就任後に行われた直近の再撮影は、非常にスムーズに事が運んだようだ。この時の撮影は5日間となる予定だったが、ジェームズ・ワン監督がうまく進めたため、4日間で収まったという。また、こうしてワーナーが本作に追加費用を投じ続けているのは、それだけ作品に対する信頼があるからだ、との見方も伝えられている。
現行DCは、自信作の『ザ・フラッシュ』興収が期待外れなものに終わり、『ブラックアダム』(2022)『シャザム!~神々の怒り~』(2023)と連ねて3作連続で赤字計上という厳しい最終局面に立たされている。残る『ブルービートル』と『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム』にかかるプレッシャーは大きい。
なお『ブルービートル』は本国アメリカでは2023年8月18日より封切りを迎えるが、日本での公開予定は伝えられていない。『アクアマン・アンド・ザ・ロスト・キングダム』は12月20日の米公開で、日本公開は2024年。
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Source:The Hollywood Reporter