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ハリウッドを代表する名門映画館、コロナ禍で閉館が決定 ─ 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』にも登場

Cinerama Dome シネラマ・ドーム
Photo by Christopher Paulin https://www.flickr.com/photos/kevinandchris/3943613934/ Remixed by THE RIVER

ハリウッドを代表する映画館チェーン、ArcLight Cinemas(アークライト・シネマズ)とPacific Theatres(パシフィック・シアターズ)が、新型コロナウイルスの影響によって閉館することがわかった。米Deadlineなどが報じている。

米The Decurion Corporationが経営していたArcLight CinemasとPacific Theatresはカリフォルニア州で300以上のスクリーンを保有。最も代表的な施設はロサンゼルス・サンセット通りの巨大ドームで知られる「シネラマ・ドーム」で、1963年の開館以来、70mmフィルムの上映などで多くの映画人に愛された。クエンティン・タランティーノは『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)にドームを登場させ、『ヘイトフル・エイト』(2015)ではこの場所でプレミア上映を実施。前者の予告編にもシネラマ・ドームの姿は一瞬ながら登場している。

新型コロナウイルスの感染拡大により、Decurion社は劇場の営業停止を1年以上にわたり強いられてきた。閉館の発表にあたっては「誰も望まなかった結果です。ありとあらゆる選択肢を使い切る努力にもかかわらず、存続の道はありませんでした」との声明文が公開され、従業員と観客、そして業界関係者への感謝が記されている。

報道によると、両チェーンは『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』『クルエラ』が公開される2021年5月28日の営業再開を目指していたとのこと。劇場側は5月下旬にも100%の観客収容が可能になるという見込みで計画を進めてきたが、カリフォルニア州は制限解除を6月中旬に設定。Deadlineは「このことが劇場の希望を打ち砕いたとみられる」としている。

なお、今回の閉館は企業の破産によるものではなく、Decurion社が各劇場の権利を建物の権利者に返還したもの。したがって、今後の見通しは不明だが、コロナ禍の情勢が落ち着いたのちには別の企業が使用権を獲得し、同じブランドで劇場を再開する可能性もある。シネラマ・ドームに隣接するArcLight Hollywoodはハリウッドで最も優れた興行を誇る映画館として知られるため、このまま両チェーンの閉館が続けば、ハリウッドの経済的・文化的資産が失われたままになってしまうのだ。

Sources: Deadline, Variety

Writer

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稲垣 貴俊Takatoshi Inagaki

「わかりやすいことはそのまま、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすく」を信条に、主に海外映画・ドラマについて執筆しています。THE RIVERほかウェブ媒体、劇場用プログラム、雑誌などに寄稿。国内の舞台にも携わっています。お問い合わせは inagaki@riverch.jp まで。

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