『パイレーツ・オブ・カリビアン / ワールド・エンド』ジャック・スパロウは映画のスパイス?ジョニー・デップ&監督が役柄を解説

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの第3作『パイレーツ・オブ・カリビアン / ワールド・エンド』(2007)は、ゴア・ヴァービンスキー監督による3部作の完結編である。このシリーズを大ヒット・シリーズへと押し上げた理由のひとつが、世界中のファンに愛されたジャック・スパロウ役のジョニー・デップだろう。

第1作で観客を驚かせたクセのある演技は、「ジョニーが作品を汚している」当時のディズニー代表を激怒させたものの、映画が公開されるやいなや全世界に快く受け入れられた。その役づくりの秘密と不安、そしてキャラクターの作り方をデップとヴァービンスキー監督が明かしている。

ジョニー・デップ、役づくりを語る

シリーズ第3作『ワールド・エンド』は、第2作『パイレーツ・オブ・カリビアン / デッドマンズ・チェスト』(2006)と並行して撮影された(詳細はこちらの記事をご覧いただきたい)。『デッドマンズ・チェスト』の公開後に追加撮影が実施されたものの、多くのシーンは第3作の公開より随分以前に撮られたものなのである。

その撮影現場で、デップは自身の演じるジャック・スパロウについてこう語っている。第1作の撮影当時、デップにはディズニー社のCEOだったマイケル・アイズナー氏から恐怖の電話を受けていたのだ……。

「(第2・3作目は)少しだけやりやすくなったかな。あの恐ろしい、パニックになるような電話がかかってこなかったからね。“何をやってるんだ! お前が映画を台無しにしてる!”っていうね。それがなくて(演技に)弾みがついたかもしれない。でも、どんな感じになってるのかは知らないよ。映画を観てないからね、わからないんだ。見るのが怖いよ」

ジャック・スパロウは物語の主人公でありながら、映画にコメディとしての側面を与える重要な存在だ。その演じ方を問われたデップは、「ああ、そこが問題なんだよ」と前置きしてから自身のこだわりを話している。

「いかに新鮮に演じつづけるか、いかに役割を果たしつづけるのか? 僕にとっては、未だに演技のタイミング(編集部注:セリフや所作のテンポや間)こそが真の芸術なんだ。振り返れば、(チャーリー・)チャップリンや(バスター・)キートン、ドラマティックな役柄ならロン・チェイニーでさえ、実に驚くべきタイミングで演技をしているんだからね。サイレント映画は特にそうだよ。でも今の映画は、そのタイミングが編集に助けられたり邪魔されたりすることがある。だから(究極的には)わからないんだよ。僕は自分のベストを尽くすだけさ」

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ジャック・スパロウというキャラクターを監督が語る

デップの考えに一致して、作品を指揮するヴァービンスキー監督はデップとは異なる方法でジャック・スパロウというキャラクターをコントロールしていた。デップの“自由すぎる”演技を『パイレーツ・オブ・カリビアン』という映画の枠組みに収めるべく、スタッフたちは議論を重ねていたという。

ヴァービンスキー監督は、ジャック・スパロウというキャラクターの扱い方をこう述べる。

「(ジャックについては)やり過ぎなくらい何度も議論しています。一生懸命撮ってから、編集室では“オーケー、こっちはやり過ぎ。そっちはバカバカしくていいね”って。バカバカしいところをキープするのは好きですが、常に一定の緊張感を維持しておきたい。ジャックのキャラクターで大切なのは、ウソをつかないところです。だから、いつもそこに戻るようにしました。つまりジャックは自分が悪いヤツだと思ってるんです。でも彼はそうじゃない自分でありたくて……実際には、もう“そうじゃない”んですが。だから(キャラクターの)前面には偽物の彼が出ていますが、本当はすごく正直な男なんですよ。彼はただ自分自身を憎んでいるんです」

とはいえジャック・スパロウという人物は、物語の主人公にしては「すごくトリッキー」だという。監督は第1作の製作時、キーラ・ナイトレイとオーランド・ブルームの演技によって「デップは主役の責任から自由になれた」と語っていたほどなのだ。

ジャックはスープに入れるニンニクのかけらみたいなもので、彼に対して普通の男が7人必要になります。ジャックを単独で考えることはできません。(物語の)原型やプロットの構造などから彼を考えなければいけないんです。ジャック抜きで映画を考えてから、そこに彼を入れてみるんですよ。ジョニー・デップ主演の映画を作るにしては、(ジャックは)クセが強すぎますからね。入れる前にきちんとダシをとらないと」

こうして、ジョニー・デップとヴァービンスキー監督がそれぞれ別の視点からキャラクターを構築していったことが、ジャック・スパロウの人物造形、ひいては『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの人気につながっていったのである。その複雑な作り方に注目しながら3部作を見直すのも面白いはずだ。

最新作『パイレーツ・オブ・カリビアン / 最後の海賊』は2017年7月1日より全国ロードショー。今度のジャック・スパロウは、そして『ワールド・エンド』以来の登場となるエリザベス・スワン(キーラ・ナイトレイ)&ウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)は、どんな活躍を見せてくれるのだろうか?

Source: http://www.cinemablend.com/new/Inside-Pirates-Caribbean-Dead-Man-Chest-2903.html

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稲垣 貴俊(Takatoshi Inagaki)。THE RIVER編集部。わかりやすいことはそのままに、わかりづらいことはほんの少しだけわかりやすくしてお伝えできればと思っております。

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